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整 形 外 科

整形外科外来からのお知らせ

 整形外科医官の減少に伴う診療時間に関するお知らせ
 平成29年度10月の異動に伴い、整形外科医官が減少しました。
 このため、整形外科診療(特に予約外)に時間がかかりますことをご承知置きください。

 なお、通院車をご利用の隊員の方は、復路の通院車の出発時間に間に合わないことも想定されます。 ご自身で帰隊できますように事前準備をお願いいたします。

整形外科の紹介

1)整形外科とは
 整形外科では骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉・神経などからなる「運動器」の機能的改善 を目指して治療を行います。
 スポーツ傷害や交通事故などにみられる打撲、捻挫、骨折などの外傷だけでなく変形性変化を伴う加齢性 疾患など新生児期から高齢者まで幅広い患者層を対象としています。
整形「外科」といっても全てを手術するのではなくそれぞれの症状にあった治療方法を提案しています。

2)当院の整形外科について
 2019年12月現在、日本整形外科学会研修施設、日本手外科学会研修施設に認定されています。
 常勤医8名(整形外科学会専門医4名うち手外科学会専門医1名)と1名の非常勤医師(整形外科学会、手外科学会専門医)で診療、手術を行っています。
 全員が基本的な外傷の治療を行うほか、より良い治療を提供するために、体を支える背骨を扱う脊椎グループ、膝や足関節を扱う下肢グループ、手細かい作業を要する手を扱う手外科などそれぞれの専門性を生かして診療しています。

 また、当院には日本スポーツ協会公認スポーツドクターが多く在籍しており、スポーツ競技への医療支援・衛生帯同などを積極的に行っています。運動活動性の高い自衛官やスポーツ選手の関節の外傷・障害に対し、手術を行わない治療や、手術治療、リハビリテーションを駆使して、業務復帰及び競技レベル復帰を目指して治療しています。特に低侵襲である鏡視下手術に力を入れています。
 外来診療は手術対応のため平日午前中のみの診療となっておりますので受診の際にはお気をつけください。(詳細は外来担当表をご覧ください。)

3) 関節鏡視下手術とは
 関節鏡視下手術と小さな傷から関節内にカメラを挿入し、関節内の様子をモニターに映して行う手術で肩関節脱臼や腱板損傷、肘関節の変形性関節症、テニス肘、手関節損傷、膝関節靭帯再建、半月板手術、足関節靭帯修復、変形性関節症に積極的に取り入れることで早期復帰しています。

4)脊椎グループ
 椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頚髄症などにお薬やブロック注射などの保存治療から手術治療まで対応させて頂きます。くび、腰の痛みや手足のしびれと痛みなどでお困りの方はご相談ください。防衛医大病院の医師とも連携しております。

5)上肢(手・肘・肩)グループ
 当院は日本手外科学会が認定する手外科認定研修施設であり、防衛医科大学校と連携し、上肢(肩・肘・手)の疾患に対する治療を行っています。自衛官に多い外傷(骨折・脱臼など)だけでなく、一般の方に多い疾患(手根管症候群、ばね指、母指関節症など:下図参照)の治療(保存的治療・手術的治療)も行っております。
 手指の血管・神経の損傷に対しては顕微鏡を用いた手術や、皮膚の欠損が大きい場合にはほかの部位の皮膚を移動させる手術(皮弁)を形成外科と協力して行います。手指の外傷の治療にはリハビリが非常に重要であり手術成績を左右しますが、リハビリテーション科の作業療法士と連携してリハビリを行っております。
 関節内の疾患(反復性肩関節脱臼・テニス肘・損傷など)に対しては関節鏡を用いた手術を中心に実施しております。

 手・肘・肩のことでお困りの方は一度ご相談ください。また、開業医の先生方で、保存治療に抵抗し手術治療が必要な手外科疾患の患者さんがいらっしゃいましたら、ご紹介ください。

  

(出典:日本手外科学会監修代表的な手外科疾患)


6) 下肢グループ
【靭帯・半月板損傷】
 アスリートや自衛官になどに多い、膝の靭帯・半月板損傷に対しては、侵襲の少ない関節鏡手術を積極的に行っています。スポーツ生命を脅かす前十字靭帯損傷に対しては、解剖学的二重束靭帯再建術(図を中心に行っており、遺残靭帯が使える場合には遺残靭帯も利用する靭帯再建術も積極的に行っています。



  

(図1)前十字靭帯解剖学的二重束再建術


 

 若年者の半月板損傷に対しては、積極的に温存を目的とした半月板縫合術(図2)を行っています。


  

(図2)半月板縫合術

【変形性膝関節症】
 高齢化、また健康寿命延伸を目指したスポーツ人口の増加により、膝関節に痛みを感じている人は増加の一途をたどっています。日常生活やスポーツ活動に支障を来すほど痛みが強い場合、保存的治療(薬や注射)では十分な効果が得られないことがあります。
 膝関節のクッションの役目をしている軟骨が、加齢等によりすり減ってしまうために痛みを生じます。日本中に2500万人以上もいると推測され、非常に多くの方が苦しんでいます。症状が軽い場合は、筋力訓練・投薬・注射(ヒアルロン酸)で改善しますが、変形が高度となると手術を行うことも多いです。

 当院では、膝関節温存と活動性の維持を目的として、骨切り術を積極的に行っております。骨切り術(図3)は短期的には人工関節より長いリハビリが必要ですが、骨癒合後は自身の膝としてスポーツ活動や正座が可能となる場合もあります。変形が強く骨切り術の適応とならない高度変形の患者さんには人工膝関節置換術(図4)を行う事もあります。筋肉(大腿四頭筋)への侵襲を小さくし、早期より歩行可能となることを目指していますそれぞれの症状に応じた手術を選択し行っています。術後のリハビリも手術と同じくらい大切です。必要に応じて、近隣の病院と連携してリハビリテーションを行っています。



  

図3)膝関節周囲骨切り術



(図4)人工関節置換術