第8高射特科群教育隊が実施する今回の「自衛官候補生課程」教育の野外行動訓練はこの25km行進が最後になります。
もちろんまだ、各種検定を含む訓練課目は残っているものの、野外こそが私たちの本領を発揮する場所ですから、この訓練を乗り越えることはきっと彼らの自信の拠り所となるはずです。
ではまず、前回触れた6月4日に実施した“隊容検査(事前点検)”から見ていただきましょう。
どんなものが入っているのかな?
着替えやタオル、あとは水分ですね。
今回、特に指定されたのは水を2.5L以上用意することでした。
それ以上の必要量は、自分の体力を考えて持っていかなければなりません。
たくさん持っていけば重くなるし、少ないと途中で足りなくなるかもしれない…悩ましいですね(-"-;)
このあと、10km行進の時より重くなった背のうを実際に背負ってみたり、行進して手信号の確認をして明日(5日)に備えました。
忘れ物や名前の書き忘れなどの指導事項もバッチリ是正していましたよ。
GUCCHI曹長の取材によると…
「絶対に完歩したい…でも前回(10km)より長いのでちょっと不安」
「10kmの時に足が痛くなったので半長靴の中敷き(クッション性がよいもの)を買いました。」
「被服を小さく上手くたためなくて防水用のビニールに入れられない(-"-;)」
ということでした。
そして・・・
翌早朝…
いつもならまだ寝ている時間、彼らは集合しました。
班長や衛生科隊員の最終チェックを受け、区隊長から前進命令を下達されたら…
出発!!!
本訓練の実施にあたり、使用する道路や施設などについて関係所掌に連絡しています。
まずは加西市内を行進して第1休止点に到着。
衛生科隊員がすかさずチェックします。
それほど距離は歩いていませんが、ほとんどの者が靴下を変えたり、冷却スプレーをかけたりして対策を施していますね。
私は使ったことがありませんが、赤ちゃん用のパウダーを塗ると靴擦れが少ないそうですよ。
あと、足の匂いもマシになるんだとか(笑)
みんな油断はありませんね (^^)
ここは小休止なので、必要なことをやったらすぐ前進再開です。
ここから少しアップダウンのあるコースになっているので、まだ背のうに水がたっぷり入っている彼らには少ししんどいかもしれません。
途中、すれ違う地元の小学生が元気よく挨拶してくれました(^^)
青野原駐屯地周辺の市町はいわゆる田舎ですが、人は馴染みやすいし、知る人ぞ知る隠れ家的名店もあり、車さえあれば姫路、神戸、大阪が約1時間圏内の住みやすいところばかりなんですよ。
このあたりが地元でもない隊員が家を建てることもしばしばです。
ちょっと話がそれました f(^^;
加東市に入りましたね。
ここで、小休止です。
ここでは着替えたりする者もいました。
用便などを済ませて速やかに出発です。
第3休止点です。
この辺りでは有名な一級河川の加古川沿いを歩いてきました。
草の中で休憩というのが、自衛官候補生らしくていいですね
(^-^)
旗が立ててありますね。
旗は部隊の存在を示すものですから、決して倒してはいけません。歩く時も高く掲げます。
次の休止点を目指してどんどん進みます。
第4休止点です。
だいぶ疲れが出てきていますね。
この辺りは出発点から約14kmほどの場所です。
気温も高くなってきて、疲れが見え始めた自候生も出てきました。
次は大休止、昼食が待っています!
がんばれ !(^^)!
この行程で小野市に入ります。
各班長に班員の様子を聞くと「大丈夫!…と信じています(-.-;)」と答えてました。
この時点でちょっと大丈夫じゃなさそうな自候生がいる班もあったので、班長も笑顔を作ってはいますが内心はすごく不安だったと思います。
ようやく到着しました!
大休止ポイントです!!
ほぼ同時に第8高射特科群長が視察のため到着され、激励品のスポーツドリンクをいただきました。
いただいた冷え冷えのスポーツドリンクをさっそくがぶ飲みです。
余分にあったので、ジャンケンで争奪戦をやっていましたよ(笑)
おや?体力を消耗しきった自候生もいますね。
大丈夫かな(-o-;)
昼食が出来上がるまでの間、それぞれ自分の体をケアしています。
体力の消耗が激しい自候生は衛生科隊員の管理のもと、木陰で横になったりしていました。
ここまでに飲んだ水の量もすごいですね!
これまで戦闘糧食(コンバットレーション)を食べるシーンをお見せしていませんでしたが、今回はインタビューをしながらその感想などをお届けしたいと思います。
私も食事をしながらで、編集の都合上、若干ノイズもありますが、自候生たちの素の様子をご覧いただけると思います。
「食べた戦闘糧食でどんな訓練をしてきたか思い出す」というのは面白い感想でした。
「訓練より訓練後の整備がしんどい」というのも自候生らしいですね。
また、今回1コ班だけ背のうの負いひもにクッション性のよい肩パッドを購入してこれを試した班がありました。
肩の負担を相当軽減できたらしいですよ(^o^)
各班ごとの統制だったので、ほかにも購入した自候生がいましたが、班の全員がそろえていなかったので使用できなかったとのこと。
この休憩中に後悔を露わにした者も多数いましたね(笑)
お腹いっぱいになったら前進あるのみ!
果たしてダウンしていた自候生は復帰できたのでしょうか?
はたまた全員完歩の目標はここで終わってしまうのでしょうか!?
もちろん、そんなことはありませんでした。
背のうを背負うことはできませんでしたが(上から2番目の写真)、頑張ってみんなについて行っていますね!
途中、近くの保育所の子供たちが大きな声で私たちを応援してくれました!
川沿いを歩いているときも遠いところから応援してくれた子供たちがいました。
本当にありがたいですね m(_ _)m
行程も最終段階に入っているところですが、ズレを直す仲間の背のうを支えてやったり、最初に教育された逓伝※や手信号もしっかりできていました!
すばらしい!
※伝言ゲームのイメージです。
最後の休止点。
ここから少し急な登り坂の山道を歩きます。
でも駐屯地まではあとわずかです。
自候生たちの顔にも笑顔が見られました。
駐屯地に帰ってきました!
最後は意気揚々と歩調を合わせて“まだまだいける”姿を駐屯地の隊員に披露しながら帰還しました。
群長にも彼らをあたたかく迎えていただきました。
最後はいつもどおり銃・装具などの点検をして報告です。
銃の点検では、いつも以上に大きな声で、若干うれしそうにやっていまいたね(^^)
教育隊長から「よくやった」と称賛の言葉をいただきました。
こうして長かった行進訓練は無事『全員完歩』という目標を達成して幕を閉じました。
今週(6月1日~5日)はとても密度の濃い訓練期間でしたね。
前半は戦闘訓練、そして射撃をしたら行進訓練。
彼らにとっては息つく間もなく過ぎ去った一週間だったことでしょう。
でも、だからこそこれらを乗り越えたことは大きな自信になったはずです。
今は実感できなくても、のちのち「俺のときはこんな状況ですごくしんどかったんだぞ」なんてことを後輩に自慢していると思います(^^)
そしてこれを繰り返して(自慢のことじゃないですよ)、より大きな自信をつけ、真に強靭な陸上自衛官になっていくのです。
週が明けると修了式まで残りはきっかり2週間です。
(この記事が発信される頃には残り1週間になっていますね。)
この間に否応にも後期教育に向けたそれぞれの新任地が決まります。
つまり、これまで互いに支えあってきた仲間とも別れの時がやってくるのです。
彼らにはあと少しの期間を大切にしてもらいたいですね。
ではまた <(^o^)