着隊から一夜明けた3月30日、今日は血液検査からスタートしました。
自衛官は体が資本ですから、入隊にあたりいろいろな検査をします。
入隊前に限らず、私たちは災害派遣やPKOなどに派遣される前にも、健康診断や検査を受けて出動するのです。
採血しているのは、衛生科の隊員です。
彼らは入隊後に自衛隊の機関で教育を受けて准看護師の資格を取得し、病院勤務を経て駐屯地で勤務しています。
そして、本日早々にその時がやってきました。
宣誓です。
写真にある「自衛隊法施行規則第39条の2」に定められているように、服務の宣誓をしなければ、自衛官候補生になれないのです d(-_-)
緊張した様子の人もいますね。
この後、少し話を聞いたところ・・・
― 署名するとき、どう感じた?
「緊張しました。」
「これから(ふざけていたら)怒られるのかなと思いました。」
だいたいこういう趣旨の話が多かったです。
ここで“自候生”とあるのは自衛官候補生の略称です。
自衛官候補生には階級章がないので、その代わりに“自候生”とつけて呼称するわけです。
入隊予定者だった若者たちが晴れて自候生となったので、教育隊の要員全員は自己紹介をしました。
改めて、自分の班長を見た自候生たち・・・険しい顔をしています (^^;)
やはり“威圧感”を感じるのでしょうか。
私も二十数年前を思い出します。
今日から自候生だ、と言われてもジャージ姿では格好がつきません。
なので、すぐに採寸がはじまりました。
前回触れた、被服を貸与するためです。
自衛隊では、任務に必要な被服は基本的にすべて貸与されます。
自分でそろえなくていいんですね (^o^)/
訓練を経るうちに傷んだり、古くなってくると交換もしてくれます。
シャツがちょっとキツかったので、合うものが見つかるまで何度も合わせる自候生もいました。
合間に、各班長は面談をしていました。
班長は、自候生を直接指導する者ですから、区隊長以上に心情をよく知っておかなければなりません。
自候生の不安を払拭しようと、趣味の話などを交えながら話をしていました。
翌3月31日、これから生活していくうえで必要な行動などの教育が始まりました。
これは日朝・日夕点呼や朝・終礼の要領を教えています。
いずれ、自候生の点呼から就寝までの1日を追った記事をアップしたいと思っていますのでお楽しみに。
昨晩、班付から指導があったのでしょうか、みんなメモをとっていますし、昨日までとは違って真剣さが増した感じがします。
すばらしい!
つづいて、駐屯地にある施設の案内がありました。
といっても、見せられるものはそんなにないんですけどね (- -;)
体育館など教育期間中、使用してよい場所や逆に入ってはいけない場所などの説明がありました。
戻ってくると、体育訓練の時間でした。
今後、定期的に実施される体力検定の説明です。
腕立て伏せや腹筋の回数を記録するのですが、手の位置や膝の曲げ方が細かく決まっていて、規定通りにやらないとカウントされない、つまり、正しくやっていないと何回やっても0回なんです!
矢継ぎ早に教育は続きます。
もっとも自衛隊らしい動作ではないでしょうか。
“敬礼”ですね。
他にも、“休め” “右向け右”など、最低限必要な動作を学んで本日は終礼です (;-o-)-3
自候生、初めての国旗に対して敬礼、いかがでしょう?
4月2日、これから勉強していくうえで必要な教範(教科書のことです)を配布されました。
「やばい・・・」って声が聞こえてきそうです。分厚いですもんねぇ。
この教範も貸し出しです。鍵のかかる場所で保管しなければなりません。
入隊式を4日後に控え、基本教練もいよいよ熱が入ってきました。
班長たちも教えることより反復演練に重きをおいて指導しています。
8枚目の写真は、班付が向いている方向に進んでいて「左向け~とまれ」と号令を受けた直後のものです。
青ジャージの自候生だけが正しく止まりました。
これ、自候生あるあるです。
ふつうは、数人が間違えるという場合が多いんですけどね。
何回も止まったり歩いたり、右へ左へ方向変換しているうちに、よくわからなくなってしまうんですよ(^o ^)
班長が最後まで集中するように注意しています。
あと1時間ほどで課業(就業時間のことです)が終了という頃、待望の制服や迷彩服が到着しました。
このあと彼らに待っているのは・・・
はい、被服の手入れです。
班付がアイロンの使い方から迷彩服などへのかけ方、靴の磨き方を教えてくれました。
その間、班長たちは、本日指導したことをこと細かく記録しています。
これらの記録は区隊長などの上官も確認して情報を共有し、自候生一人ひとりに合わせた指導に役立てています。
自衛隊が誇る“人を育てる力”はこういう地道な努力によって成り立っているのです。
4月3日、昨日受け取った制服や迷彩服に、名札や階級章を縫い付ける作業が始まりました。
自候生にとって、これが着隊から入隊式までの間の最もつらいことではないかと私は思いますね。
自衛隊では、縫い付けるものはその場所が「ポケットの上端から〇mm(例)」と決まっています。
・・・・・・・・・ミリ!?
ミリですよ?センチでよくないですか!?
・・・よくないんですねぇ ×(-_-)
それだけ正確にやりなさい、ということなんです。自候生が班長に早速指導されていますね。このときは3㎜ほどずれていたそうです。
当然、やり直しです。他にもたくさんやり直しを受ける自候生がいました。
― 縫物ってしたことあるの?しんどくない?
「学校の授業以外でしたことはないです。」
「(やり直しが)筋トレよりきついです。」
二十数年たっても感想は変わらないですね (*^^*)
でも、こういうことを地道にキッチリやっていると、自ずと本来任務も最後まで遂行できるようになるのです。
いままで綴ってきた着隊からの一週間は、このように過ぎていきました。
他にも、着隊直後は私の前を黙って通り過ぎていた彼らが、「おはようございます!」「お疲れさまです!」と自ら大きな声で言うようになったり、班長の指導に対して「はい!!」と反応するようになりました。
また、その態度も少しずつテキパキと節度あるものになってきました。
週が明けるといよいよ入隊式です。
紫紺の制服に身を包み、宣誓書を読み上げるとき、彼らは何を思うのでしょうか。
楽しみです。
ではまた。次回「桜満開!入隊式」にて。