自衛官として必須の技術、射撃の訓練が始まりました。
先週の木曜日(16日)のことです。
と言ってもいきなり、さあ撃ちましょう、というわけにはいきません。
特に射撃訓練は、ひとつ間違えると人命に関わります。
そのため安全管理、とりわけ “銃を人に向けないこと” を徹底したのち、姿勢の取り方や構え方を教育します。
もちろん、これらの前に講義によって射撃全般の安全管理に対する理解を徹底していることは言うまでもありません。
ひと通り射撃姿勢を教えてもらったらすぐ実習です。
始めるとすぐに班長から「銃を正面(前方)から動かすな!」と厳しく指導が入ります。
まだ、手に持っているものが本物の銃である実感が乏しいのでしょう。このままで射撃はさせられません。
班長たちは正しい姿勢や動作を徹底して指導します。
班長の指導に応えるべく、彼らなりに頑張っています。
目に真剣さが出ていますね!
4月17日、今日は射場にて訓練です。
来週月曜日に空砲射撃が実施されるため、実際の場所でその要領を学びます。
ここでは、射場内の躾に関することや禁止事項、入場から射撃開始、終了そして退場までの一連の行動を教え込まれます。
ここでも安全管理について徹底されます。
「銃を前に向けろ!」
「安全装置をかけろ!」
「復命・復唱しろ!」「声が小さい!」(※)
※自分が理解していることを上官や周囲に知らせるために必要なことなのです。
「先に実施した者が指導されたことを繰り返すな!」
などなど
安全に関することは考えなくてもできるようにと、班長たちの口調もより厳しいものになっていました。
でも、この徹底した安全管理(危機意識)が新型コロナウィルスの集団感染が広がったクルーズ船における災害派遣活動において、延べ活動人員約2,700名(※)もの隊員が感染しなかった自衛隊の根本であると私は思っています。
※出典:「新型コロナウィルス感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取り組み」(2020.4.10 防衛省)
最後の写真は、訓練の順番を待つ自候生がその後方で練習をしている様子です。
短い訓練時間を有効に使って、少しでも技術を習得しようとする姿勢に感心しますね。
20日(月)、本日は空砲射撃です。
これは、今週末に実施される教習射撃のために、その感覚や衝撃を体験するものでもあります。
おや?班長が何やら準備をしています。
射撃に関する一連の実施要領の展示を兼ねて空砲の威力を自候生たちに見せるようです。
これを見た自候生たちは自分たちの使うものがどういうものなのかを認識します。
このように、様々な手段で十二分とも言える安全管理教育を受け、危機意識を高めた後にようやく彼らは空砲による射撃訓練の実施を許可されます。
そして、射撃開始です。
と、その前に。
射場では指揮官の指揮のもと、以下のように射撃が統制されています。
弾は厳重に管理され、その行方は何人もの隊員によって常時監視されます。撃ち終わった薬きょうまですべて回収です。
また、射撃に関しても一人ぼっちで撃つことはなく、複数人の隊員によって監視されます。
射撃一つひとつの動作は号令によってのみ許され、号令の復唱・報告をもってもれなく管理されます。
そんな厳格な雰囲気の中で訓練に励む彼らをご覧ください。
上から順番に入場~射撃~退場までの写真を並べましたが、皆さんどんな印象でしょうか?
自候生たちは、しっかり安全点検をして確実に射撃をしていましたよ。
そして、射撃訓練が終了したら、移動する前に銃を点検して破損がないことや万が一にも弾が銃の中に残っていないことを確認します。
自候生の訓練だから、あるいは初めての射撃だからこんなにたくさんチェックするんだと思った人がいるかもしれませんが、先にも触れたように、これらは自衛隊では普通に行われていることなのです。
ある自候生に感想を聞いてみました。
― 空砲だけど、初めて撃った感想は?思ってたことと違うことはある?
「想像していたよりも簡単に撃てたことに驚いたし、怖くなった。」
― 来週は教習射撃だけど大丈夫?
「今回の訓練で銃の怖さを知ったけど、同時にこれまでの訓練の意味も分かったので、気を引き締めて頑張りたい。」
・・・まさか自候生からこんな感想が聞けるなんて思ってもみませんでしたが、班長たちの厳しい指導をしっかり理解していてすばらしいですね! (^^)
やってきました週末金曜日、実射の日です。
空砲射撃の訓練が終わってからも練成を続けてきた成果を出す日です。
彼らはまだ、自分が撃つ弾が本当に的に当たるのかを知りませんし、想像もできません。今日、初めてそれを知ることになります。
成果が出せる(的に当てられる)のは、これまでの訓練における班長の指導を忠実にこなしてきた者だけです。
そういえば、自衛官候補生になって車両に乗るのも初めてです。
乗り方は昨日練習したそうなので、スムーズに乗車完了しましたよ (^o^)
到着しました!
乗るときはスムーズでしたけど、降りるときは足元が見えないので少し手間取っていました。
降りるだけ…なんですが、意外とケガをしやすいところなんですよ。
降りたらすぐに銃の点検です。結節ごとに点検するんです。
自分たちが狙う的を準備して弾薬を受領したら、射場指揮官に報告していよいよ教習射撃開始です。
今回は非常に短い距離で訓練をします。
この後の訓練からは、的がごま粒ほどしか見えない距離で射撃をするので、彼らはここで的を狙うということを体得しなければなりません。
それを理解しているのかいないのか分かりませんが、一週間前までの彼らの顔つきとは違いますね。
終始、真剣なまなざしで訓練に臨んでいました (*^_^*)
教習射撃が終了した自候生に話を聞いてみました。
― 教習射撃の感想は?思いどおりに撃てた?
「もっと当たると思っていたけど、ほとんど当たらなかった」
「的にうまく当たってうれしかった。早く次の射撃をしたい。」
「衝撃と音が(空砲射撃と)全然違って驚いた。」
当たった者、そうでない者さまざまですが、みんなそれなりに感じるものがあったようです。
青野原に戻ったら、さっそく復習ですね。
このようにして第1回教習射撃までの一連の訓練は終了しました。
しかし、射撃訓練はまだ始まったばかりとも言えます。
今日の成果をしっかり持って帰って自分の弱点を克服し、これからの練成訓練で一発必中の技術を身につけていかなければなりません。
そして、教育の後半に待っている検定に挑むことになります。
まだまだ道半ば、自衛官になるには成さねばならないことがたくさんあります。
外出自粛でストレスもたまるけど、だからこそ目標を達成したときの喜びは得がたい一瞬になるはず!
きみたちはまだまだやれる!
がんばれ自衛官候補生!!
では次回、「密着!自候生の一日」でお会いしましょう! (^o^)/