蝉が鳴き始め、もうすっかり夏の気候になってきましたね。
本日は雲があるものの、5月らしいカラッとした日です。
穴を掘るには抜群のコンディション!
まず、午前中は掩体構築訓練です。
身を守りながら監視をしたり、射撃をするために壕(穴)を掘って掩体と呼ばれるものを構築します。
今回は小銃用の掩体です。
まずは、いつもどおり班長がレクチャーを始めました。
この課目はただの掘ればいいというものではありませんので、しっかり聞いておかないと戦える掩体を作れません。
みんな自分のメモに書いた掩体のサイズを確認しながら説明を聞いています。
あわせて、エンピ(シャベル)、十字(ツルハシ)、携帯エンピの使い方も教わりました。
シャベルの使い方の説明なんて必要?…と思った方もいるかもしれませんが、意外とみんな知らないものなんですよ。
もちろん説明がなくても何となくはできるんですが、力の入れ方とかコツとかを知らないと無駄に疲れたり、腰を痛めたりするんです。
自衛官は事に臨むときは連続長期となります。
短時間で疲れるようでは話になりませんから、効率的な作業のためには自分がつかう道具に習熟しなければなりません。
これは大事な説明なのです (-ω-)
一連の説明を受けたら、さっそく作業開始です。
通常1時間程度で掘らなければならないものを、今回は特別に1コ班で1時間30分の時間を与えられました。
ちなみに、深さは1m以上は掘らなければなりません。
班長は、1mは掘ってくれるだろうと期待していましたが・・・さて、どうなったのでしょうねぇ (^-^)
9:30 作業開始です!
うむうむ (^-^) みんなで話し合って要領を決めています。
サイズもしっかり測っていますね。
これならいい掩体ができそうだ!
10:00
うむ (-ω-)
ちょっと…遅いかな?まだ、30cm弱というところ。
まぁ、エンピの使い方も慣れてきたみたいだし、これからですね!
ちょっと話を聞いてみましょう。
― こういうことやったことあるの?
「ないです。初めてです。」
― やってみた感じはどう?掘るの難しい?
「メモが間に合わなくて正しいサイズが分からなかったけど、仲間がメモしてて助かりました。」
「土が硬いですね。十字がうまく刺さらないです。」
そうなんですよ。青野ヶ原演習場の土は粘土質でちょっと硬いんですよね。
彼らには少し難易度が高めですが、そこは若さでなんとかしてくれるでしょう!
10:40
うむむ? (-"-;)
これは…間に合わない…かな?まだまだ、50cmというところ。
でもみんなあきらめていない!がんばれ!!
交代で前方監視している自候生にも話を聞いてみましょう。
― みんなちょっと遅れているけど、原因はなんだろう?
「うーん、チームワークですかね。もっと連携できたらいいのかな?
あとは、(掘り方とか)考えすぎないでもっとガンガン掘ればよかったかも。」
なるほど、彼らなりにいろいろ考えていますね。
中でもチームワークは重要なポイントです。
実際のところ、後で担当の鬼班長から一番よくできていると言われた掩体を作った班は、よく連携(意思の疎通)がとれていました。
各班で個人的な力の差はあまりありませんから、チームワーク=団結力はとても重要なことがわかります。
このあとに全コ班の掩体を紹介しますね。
さぁ、ラストスパート、みんな必死に頑張っています!
11:00 状況(作業)終了です。
みんな最後の最後まで「あと〇〇分!」「早く早く、間に合わんぞ!」と声を掛け合いながら掘り続けていました (^^)
非常にすばらしいですね!
少し休憩をとったあと、全員で各班の出来高を確認します。
お互いに掘っているところは見ていませんから、ちょっと緊張しますね。
では1班から見てみましょう (* ̄0 ̄)/
先に紹介した、鬼班長から「この中では一番よくできている」と言われた班の掩体は上から5番目のものです。
ちなみにこの班は人数も一番少なかったのですが、終始よく声を掛け合っていたし、各個人が役割をしっかり理解していたように感じました。
ただ、他の班の名誉のために補足しておくと、あくまで “この中では” の話で、しかも “言われた” だけで褒められてません (^^;
穴の深さは一番深いもので約60cmでしょうか。
写真にあるように座ればなんとか・・・戦えないかな(笑)
頭も銃も出すぎですね。それにこれ以上隠れられませんしね。
思ったより掘れなかったと感じた者も多かった今回の訓練ですが、これも自分たちの今の力を知るよい機会となりました。
彼らはまだ候補生です。
現状に甘んじてはいけませんが、失敗や未熟なところはこれから直していけばよいのです (*^_^*)
今日はこのあと場所を変えて別の訓練がありますから、ここを撤収します。
自衛官は痕跡を残してはいけません。
穴埋めをして速やかに移動します!
はい、午後になりました。
本日後半は偽装訓練です。
偽装…辞書には「人や敵の目をあざむくため、ほかの物と紛らわしい色・形状・状態などを装う」とありますが、今回はこれを個人、つまり自候生たち自身にやります。
担当班長が代わり、説明が始まりました。
今回はドーラン(化粧道具)と草木を使います。
草木には漆のような肌に触れると荒れるものもあるので注意が必要です。
班長がしっかり指導します。
続いて、実際に偽装がどの程度効果があるのか(つまり見つかりにくいのか)を彼ら自身の目で確認させます。
次の写真では、班付が隠れていますが、さて、見つけられるかな?
すごいのが出てきましたね(笑)
ちなみに、この班付はちゃんと自候生たちを監視し続けていました。
つまり、自分からは見えてるけど、相手からは見えない。
今回の訓練で達成すべき姿を見せることができていたわけです。
ではやってみよう!
ということで、各班に分かれて状況開始です。
訓練に先立ち、班長からは「見つからないようにな」とだけ言われていましたが...
なんだか意味深ですね (-"-)
このあと、みんな隠れるんですが、そうなるともう何の誰の写真かわからなくなるので多めに掲載しました。
楽しそうですね。
あ、ふざけているわけではありませんよ?それは、出来高を見ていただければわかると思います。
せっかくなので、記念撮影です。
自衛隊人生で、こんな写真はおそらく最初で最後でしょう。
楽しい時間はここまでです。
訓練再開、班長から訓練の要領が指示されます。
でも、内容は簡単。
“示された範囲内に潜んで、仮想敵となった班付に見つからないようにしろ” というものでした。
みんな隠れ抜くことはできたのでしょうか?!
ご覧のみなさんも探してみてください。
あ~、何人か捕まっていますねぇ (*´Д`)
捕まった自候生が班長に指さされて向かった先には楽しい体幹トレーニングが待っていましたよ。
最後には、班長からなぜ班付が見つけることができたのか、どうすればよかったのかなどの指導がありました。
茂みに隠れていても、ごそごそして音で見つかったり、体につけていた草が隠れている場所の近くで落ちていたり、頭は隠れているけど足が出ていたり…と、まだまだ甘さが文字通り隠せていませんでしたからね。
終日気持ちのいい風が吹く中、よい訓練ができました。
できたことはもちろんですが、できなかったことも立派な成果です。もちろん精いっぱいやることが条件ですが。
できなかったことの問題点を明確にして、対策を取り、また次の訓練で生かし修正できれば、よりよい成果を得ることができます。
思い切って失敗できるのもこの自衛官候補生課程という教育の良いところですね。
明日からはいよいよ、演習場での戦闘訓練が始まります。
今日は比較的楽しい一日となったようですが、果たして同じ気持ちで明日以降を乗り切れるのか、楽しみです。
ではまたお会いしましょう (-ω-)/
答え合わせです。
見つけられましたか?