⑩世界の国々(くにぐに)との安全保障(ほしょう)協力の推進(すいしん)

世界の国々との安全保障協力の推進

国際(こくさい)社会の力関係はとても速いスピードで複雑(ふくざつ)に変化しており、もはやどの国も一国だけで自分たちの国を守ることはできません。日本や地域(ちいき)国際(こくさい)社会の平和や繁栄(はんえい)を守るために、防衛省(ぼうえいしょう)自衛隊(じえいたい)は、外国の国防省(こくぼうしょう)・軍との協力・交流を通じて、様々(さまざま)な取組を行っています。

「自由で開かれたインド太平洋」という考え方

画像 ※地図などについてはイメージ

 インド太平洋地域(ちいき)は、世界の人口の半数が住む、世界の活力の中核(ちゅうかく)であり、主要なシーレーン(商船やタンカーなどの船舶(せんぱく)が通る海上交通路が通過(つうか)しています。このような状況(じょうきょう)において、すべての国がルールに(もと)づいて、自由に、安心してシーレーンを使えるようにしておくことは、とても重要になります。
 「自由で開かれたインド太平洋」という考え方は、インド太平洋地域(ちいき)を、ルールに(もと)づいた、自由で開かれたものとすることで、地域(ちいき)全体、ひいては世界の平和と繁栄(はんえい)確保(かくほ)していくとの考え方に根差したものです。
 防衛省(ぼうえいしょう)自衛隊(じえいたい)では、以下の三つの方針(ほうしん)で「自由で開かれたインド太平洋」の維持(いじ)・強化に向けた取組を行っています。

  • ❶ ほかの国の国防省や軍隊との協力や交流を活用し、日本の生活を支える商船、タンカーなどが安心してシーレーンを航行し続けられるようにすること
  • ❷ ほかの国とおたがいに理解を深め、信頼しんらい関係をきずき、不測の事態(予測できないような衝突しょうとつなど)が起きないようにすること
  • ❸ ほかの国との協力で、地域ちいきの平和と安定に貢献こうけんすること

 主要なシーレーンが通っていることやエネルギー安全保障(ほしょう)の観点から、東南アジア、南アジア、太平洋の島国、中東・アフリカ、中南米の国々(くにぐに)に対しては、次のページで紹介(しょうかい)するような幅広(はばひろ)手段(しゅだん)を活用しながら、協力を強化しています。
 また、こうした取組は同盟(どうめい)国であるアメリカ以外にも、オーストラリア、インド、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ諸国(しょこく)、カナダ、ニュージーランドといった、「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を共有する多くの国々(くにぐに)とも協力して行っています。このような国々と次のページにあるような安全保障(ほしょう)上の協力を行うことが、シーレーンを(ふく)海域(かいいき)などの安全確保(かくほ)や、ルールを守らない国が(あらわ)れにくくすることにつながっていきます。

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防衛省(ぼうえいしょう)自衛隊(じえいたい)が行う協力・交流の手段(しゅだん)

人的な協力・交流

 防衛(ぼうえい)大臣や陸海空各自衛隊(じえいたい)のトップである幕僚長(ばくりょうちょう)などの会談、実務者(じつむしゃ)による協議や国際(こくさい)会議への参加を通じて、外国の国防省(こくぼうしょう)・軍との間でお(たが)いの理解(りかい)を深め、信頼(しんらい)関係を(きず)くとともに、日本の考え方を(しょ)外国や国際(こくさい)社会に向けて発信しています。

防衛大臣とベトナム国防大臣の会談
防衛(ぼうえい)大臣とベトナム国防(こくぼう)大臣の会談

アメリカ、イギリス、オランダ、カナダとの共同訓練(パシフィック・クラウン21)
アメリカ、イギリス、オランダ、カナダとの共同訓練(パシフィック・クラウン21)

艦艇(かんてい)・航空機や部隊を活用した協力・交流

 艦艇(かんてい)や航空機のお(たが)いの国への訪問(ほうもん)や、他国との訓練、部隊同士の交流などを通じて、信頼(しんらい)を高め合うとともに、相手国の部隊と連携(れんけい)する力を高め、自衛隊(じえいたい)能力(のうりょく)の向上や相手国との関係の強化を進めています。


能力(のうりょく)構築(こうちく)支援(しえん)

 自衛隊(じえいたい)経験(けいけん)(すぐ)れた能力(のうりょく)技術(ぎじゅつ)()かして、東南アジア、南アジア、太平洋の島国などの国々(くにぐに)に対し、安全保障(ほしょう)防衛(ぼうえい)分野における人材の育成・教育などを行い、各国の軍隊が国際(こくさい)社会の平和や地域(ちいき)の安定のための役割(やくわり)をきちんと果たすことができるよう支援(しえん)しています。

パプアニューギニア軍楽隊に技術指導をする陸自中央音楽隊員
パプアニューギニア軍楽隊に技術指導をする陸自中央音楽隊員

日本からフィリピンに移転された海自練習機TC-90(後ろ)とフィリピン軍兵士
日本からフィリピンに移転された海自練習機TC(ティーシー)-90(後ろ)とフィリピン軍兵士

防衛(ぼうえい)装備(そうび)技術(ぎじゅつ)協力

 防衛(ぼうえい)装備(そうび)品(自衛隊(じえいたい)が使う車両や航空機など)の外国への輸出(ゆしゅつ)提供(ていきょう)、外国と共同での防衛(ぼうえい)装備(そうび)品の開発・生産などを推進(すいしん)しています。こうした取組は、協力の相手となる国やその周辺地域(ちいき)の平和と安定だけでなく、自衛隊(じえいたい)のための防衛(ぼうえい)装備(そうび)品を生産する日本企業(きぎょう)製造(せいぞう)ラインや技術(ぎじゅつ)維持(いじ)にも役立つものです。

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外国語が好きなんだけど、防衛省(ぼうえいしょう)自衛隊(じえいたい)では語学能力(のうりょく)()かす場所はありますか。
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あらゆる職場(しょくば)で語学能力(のうりょく)()かせる可能性(かのうせい)がありますよ。海外での任務(にんむ)もありますし、日本国内でも海外の人々との訓練や話し合い、イベントなどでも必要とされ、防衛省(ぼうえいしょう)自衛隊(じえいたい)では語学能力(のうりょく)はとても大切な力の一つです。
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