国際社会の力関係はとても速いスピードで複雑に変化しており、もはやどの国も一国だけで自分たちの国を守ることはできません。日本や地域・国際社会の平和や繁栄を守るために、防衛省・自衛隊は、外国の国防省・軍との協力・交流を通じて、様々な取組を行っています。
「自由で開かれたインド太平洋」という考え方
※地図などについてはイメージ
インド太平洋地域は、世界の人口の半数が住む、世界の活力の中核であり、主要なシーレーン(商船やタンカーなどの船舶が通る海上交通路が通過しています。このような状況において、すべての国がルールに基づいて、自由に、安心してシーレーンを使えるようにしておくことは、とても重要になります。
「自由で開かれたインド太平洋」という考え方は、インド太平洋地域を、ルールに基づいた、自由で開かれたものとすることで、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄を確保していくとの考え方に根差したものです。
防衛省・自衛隊では、以下の三つの方針で「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた取組を行っています。
- ❶ ほかの国の国防省や軍隊との協力や交流を活用し、日本の生活を支える商船、タンカーなどが安心してシーレーンを航行し続けられるようにすること
- ❷ ほかの国とお互いに理解を深め、信頼関係を築き、不測の事態(予測できないような衝突など)が起きないようにすること
- ❸ ほかの国との協力で、地域の平和と安定に貢献すること
主要なシーレーンが通っていることやエネルギー安全保障の観点から、東南アジア、南アジア、太平洋の島国、中東・アフリカ、中南米の国々に対しては、次のページで紹介するような幅広い手段を活用しながら、協力を強化しています。
また、こうした取組は同盟国であるアメリカ以外にも、オーストラリア、インド、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ諸国、カナダ、ニュージーランドといった、「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を共有する多くの国々とも協力して行っています。このような国々と次のページにあるような安全保障上の協力を行うことが、シーレーンを含む海域などの安全確保や、ルールを守らない国が現れにくくすることにつながっていきます。
防衛省・自衛隊が行う協力・交流の手段
人的な協力・交流
防衛大臣や陸海空各自衛隊のトップである幕僚長などの会談、実務者による協議や国際会議への参加を通じて、外国の国防省・軍との間でお互いの理解を深め、信頼関係を築くとともに、日本の考え方を諸外国や国際社会に向けて発信しています。
艦艇・航空機や部隊を活用した協力・交流
艦艇や航空機のお互いの国への訪問や、他国との訓練、部隊同士の交流などを通じて、信頼を高め合うとともに、相手国の部隊と連携する力を高め、自衛隊の能力の向上や相手国との関係の強化を進めています。
能力構築支援
自衛隊の経験や優れた能力・技術を活かして、東南アジア、南アジア、太平洋の島国などの国々に対し、安全保障・防衛分野における人材の育成・教育などを行い、各国の軍隊が国際社会の平和や地域の安定のための役割をきちんと果たすことができるよう支援しています。
防衛装備・技術協力
防衛装備品(自衛隊が使う車両や航空機など)の外国への輸出や提供、外国と共同での防衛装備品の開発・生産などを推進しています。こうした取組は、協力の相手となる国やその周辺地域の平和と安定だけでなく、自衛隊のための防衛装備品を生産する日本企業の製造ラインや技術の維持にも役立つものです。
外国語が好きなんだけど、防衛省・自衛隊では語学能力を活かす場所はありますか。
あらゆる職場で語学能力が活かせる可能性がありますよ。海外での任務もありますし、日本国内でも海外の人々との訓練や話し合い、イベントなどでも必要とされ、防衛省・自衛隊では語学能力はとても大切な力の一つです。