②日本の周りの安全保障(ほしょう)環境(かんきょう)(2)

日本の周りの安全保障環境

(3)北朝鮮(きたちょうせん)

 北朝鮮(きたちょうせん)核兵器(かくへいき)保有(ほゆう)などを(みと)められていないにもかかわらず、核兵器(かくへいき)弾道(だんどう)ミサイルの開発を続けてきており、今では、弾道(だんどう)ミサイルに核兵器(かくへいき)をのせて日本を攻撃(こうげき)する能力(のうりょく)を持っているとみられます。こうした北朝鮮(きたちょうせん)の軍の動きは、日本や国際(こくさい)社会の平和と安全を(おびや)やかすものになっています。さらなる挑発(ちょうはつ)行動に出る可能性(かのうせい)も考えられ、こうした傾向(けいこう)は近年より一層(いっそう)強まっています。

北朝鮮(きたちょうせん)政治(せいじ)体制(たいせい)

 北朝鮮(きたちょうせん)では、金正恩(きむじょんうん)委員長がとても大きな権力(けんりょく)を持っています。周りの幹部(かんぶ)金正恩(きむじょんうん)委員長にほかの国との関係などに関する意見を言うことが(むずか)しいとも言われており、北朝鮮(きたちょうせん)が軍事的な挑発(ちょうはつ)行動に走る可能性(かのうせい)など、今後の動きを予想することは簡単(かんたん)なことではありません。

朝鮮労働党の会議でスピーチを行う金正恩委員長
朝鮮(ちょうせん)労働党(ろうどうとう)の会議でスピーチを行う金正恩(きむじょんうん)委員長【朝鮮(ちょうせん)通信=時事】

北朝鮮(きたちょうせん)核兵器(かくへいき)弾道(だんどう)ミサイル

 北朝鮮(きたちょうせん)核保有(かくほゆう)(みと)められていません。北朝鮮(きたちょうせん)に対しては、国際(こくさい)社会が国連の安全保障(ほしょう)理事会などを通じて、これまで何度もすべての核兵器(かくへいき)弾道(だんどう)ミサイルをなくすよう求めてきました。しかし北朝鮮(きたちょうせん)は、これまで6回の核実験(かくじっけん)実施(じっし)し、とても速いスピードで弾道(だんどう)ミサイルなどの開発を()(すす)めています。
 今では、北朝鮮(きたちょうせん)は日本にも(とど)弾道(だんどう)ミサイルを数百発持っており、これらのミサイルに核兵器(かくへいき)をのせて日本を攻撃(こうげき)する能力(のうりょく)を持っているとみられています。
 近年は、変則的(へんそくてき)軌道(きどう)で飛んだり、音の速さを大きく上回るスピードで、低い高度を飛ぶとする新しい弾道(だんどう)ミサイルも(ふく)め、立て続けにミサイルの発射(はっしゃ)()(かえ)しており、その中には潜水艦(せんすいかん)から発射(はっしゃ)するものや、鉄道から発射(はっしゃ)するものもあります。こうしたミサイルは、地上に固定された発射台(はっしゃだい)から発射(はっしゃ)するミサイルと(くら)べ、いつ・どこから()つのかを事前に知ることが困難(こんなん)です。
 特に2022年に入ってからは、アメリカ全土にも(とど)くとする新しい大陸間弾道(だんどう)ミサイル(ほかの大陸を攻撃(こうげき)できるくらい長い距離(きょり)を飛ぶミサイル)級の発射(はっしゃ)()(かえ)し、国際(こくさい)社会の平和と安全に対する深刻(しんこく)脅威(きょうい)となっています。

北朝鮮(きたちょうせん)平壌(ぴょんやん))を中心とする北朝鮮(きたちょうせん)保有(ほゆう)している弾道(だんどう)ミサイルの射程(しゃてい)(イメージ)
北朝鮮(平壌)を中心とする北朝鮮が保有している弾道ミサイルの射程(イメージ)
新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)と金正恩委員長
新型大陸間弾道(だんどう)ミサイル(ICBM(アイシービーエム))と金正恩(きむじょんうん)委員長
朝鮮(ちょうせん)中央通信の報道)【朝鮮(ちょうせん)鮮通信=時事】
北朝鮮が2021月9月に発射したとする鉄道発射型のミサイル【
北朝鮮(きたちょうせん)が2021月9月に発射(はっしゃ)したとする鉄道発射(はっしゃ)型のミサイル【朝鮮(ちょうせん)鮮通信=時事】

(4)ロシア

 ロシアは、(かく)戦力を(ふく)め、軍の装備(そうび)を新しいものにし、日本の周りも(ふく)めて軍の活動を活発化させており、このような動きを懸念(けねん)を持って注視(ちゅうし)する必要があります。また、(となり)の国であるウクライナのNATO(ナトー)(アメリカやヨーロッパの国々が参加する同盟(どうめい)関係)参加への反対などを背景(はいけい)として、2022年2月から軍による侵略(しんりゃく)を開始しました。これは、力によって一方的に現状(げんじょう)を変えようとする行動であり、国際法(こくさいほう)違反(いはん)するものです。このような行動を(みと)めることはできません。

ロシアの軍事力

 ロシアは、核兵器(かくへいき)をのせることができる大陸間弾道(だんどう)ミサイルや潜水艦(せんすいかん)から発射(はっしゃ)する弾道(だんどう)ミサイル、長距離(ちょうきょり)爆撃機(ばくげきき)(とても長い距離(きょり)を飛ぶことができる爆撃機(ばくげきき))を、アメリカと同じくらい数多く保有(ほゆう)しています。核兵器(かくへいき)核兵器(かくへいき)をのせることができるミサイルや爆撃機(ばくげきき)などの兵器をあわせて、核戦力(かくせんりょく)()びます。ロシアはこうした核戦力(かくせんりょく)について、さらに新しい装備(そうび)を開発したり、導入(どうにゅう)したりする動きを進めています。
 また、飛ぶスピードが音の速さを大きく上回るミサイルなど、新たな兵器の開発や配備(はいび)も進めています。

音速の20倍以上の速度で飛ぶとされる極超音速滑空兵器アヴァンガルド【ロシア国防省】

日本周辺や北方領土(ほっぽうりょうど)でのロシア軍の活動

2021年10月、ロシア軍と中国軍の艦艇計10隻が日本の周りを航行
2021年10月、ロシア軍と中国軍の艦艇(かんてい)計10(せき)が日本の周りを航行

 ロシアは近年、日本周辺での活動や、日本固有の領土(りょうど)である北方領土(ほっぽうりょうど)での活動を活発化させています。また、日本の周りでは、ロシア軍と中国軍が、爆撃機(ばくげきき)を共同で飛行させたり、艦艇(かんてい)を共同で航行させたりするなど、連携(れんけい)を強化する動きがみられています。

ウクライナへの侵略(しんりゃく)

 ロシアは、(となり)の国であるウクライナのNATO(ナトー)参加に対する反対などを背景(はいけい)として、2022年2月から軍によるウクライナへの侵略(しんりゃく)を開始しました。これは、力によって一方的に現状(げんじょう)を変えようとする行動で、国際法(こくさいほう)違反(いはん)するものです。そして、国際(こくさい)社会にとっても、とても深刻(しんこく)事態(じたい)であり、日本は(きび)しく非難(ひなん)し、ロシアへの輸出(ゆしゅつ)などを停止するといった強い対応(たいおう)をとっています。

ウクライナ国内でのロシア軍の装甲車
ウクライナ国内でのロシア軍の装甲車(そうこうしゃ)【SPUTNIK/時事通信フォト】
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