(3)北朝鮮
北朝鮮は核兵器保有などを認められていないにもかかわらず、核兵器や弾道ミサイルの開発を続けてきており、今では、弾道ミサイルに核兵器をのせて日本を攻撃する能力を持っているとみられます。こうした北朝鮮の軍の動きは、日本や国際社会の平和と安全を脅やかすものになっています。さらなる挑発行動に出る可能性も考えられ、こうした傾向は近年より一層強まっています。
北朝鮮の政治体制
北朝鮮では、金正恩委員長がとても大きな権力を持っています。周りの幹部は金正恩委員長にほかの国との関係などに関する意見を言うことが難しいとも言われており、北朝鮮が軍事的な挑発行動に走る可能性など、今後の動きを予想することは簡単なことではありません。
北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル
北朝鮮の核保有は認められていません。北朝鮮に対しては、国際社会が国連の安全保障理事会などを通じて、これまで何度もすべての核兵器や弾道ミサイルをなくすよう求めてきました。しかし北朝鮮は、これまで6回の核実験を実施し、とても速いスピードで弾道ミサイルなどの開発を推し進めています。
今では、北朝鮮は日本にも届く弾道ミサイルを数百発持っており、これらのミサイルに核兵器をのせて日本を攻撃する能力を持っているとみられています。
近年は、変則的な軌道で飛んだり、音の速さを大きく上回るスピードで、低い高度を飛ぶとする新しい弾道ミサイルも含め、立て続けにミサイルの発射を繰り返しており、その中には潜水艦から発射するものや、鉄道から発射するものもあります。こうしたミサイルは、地上に固定された発射台から発射するミサイルと比べ、いつ・どこから撃つのかを事前に知ることが困難です。
特に2022年に入ってからは、アメリカ全土にも届くとする新しい大陸間弾道ミサイル(ほかの大陸を攻撃できるくらい長い距離を飛ぶミサイル)級の発射も繰り返し、国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威となっています。
北朝鮮(平壌)を中心とする北朝鮮が保有している弾道ミサイルの射程(イメージ)
(4)ロシア
ロシアは、核戦力を含め、軍の装備を新しいものにし、日本の周りも含めて軍の活動を活発化させており、このような動きを懸念を持って注視する必要があります。また、隣の国であるウクライナのNATO(アメリカやヨーロッパの国々が参加する同盟関係)参加への反対などを背景として、2022年2月から軍による侵略を開始しました。これは、力によって一方的に現状を変えようとする行動であり、国際法に違反するものです。このような行動を認めることはできません。
ロシアの軍事力
ロシアは、核兵器をのせることができる大陸間弾道ミサイルや潜水艦から発射する弾道ミサイル、長距離爆撃機(とても長い距離を飛ぶことができる爆撃機)を、アメリカと同じくらい数多く保有しています。核兵器と核兵器をのせることができるミサイルや爆撃機などの兵器をあわせて、核戦力と呼びます。ロシアはこうした核戦力について、さらに新しい装備を開発したり、導入したりする動きを進めています。
また、飛ぶスピードが音の速さを大きく上回るミサイルなど、新たな兵器の開発や配備も進めています。
日本周辺や北方領土でのロシア軍の活動
ロシアは近年、日本周辺での活動や、日本固有の領土である北方領土での活動を活発化させています。また、日本の周りでは、ロシア軍と中国軍が、爆撃機を共同で飛行させたり、艦艇を共同で航行させたりするなど、連携を強化する動きがみられています。
ウクライナへの侵略
ロシアは、隣の国であるウクライナのNATO参加に対する反対などを背景として、2022年2月から軍によるウクライナへの侵略を開始しました。これは、力によって一方的に現状を変えようとする行動で、国際法に違反するものです。そして、国際社会にとっても、とても深刻な事態であり、日本は厳しく非難し、ロシアへの輸出などを停止するといった強い対応をとっています。