国を守る組織である自衛隊がその能力を発揮するためには、装備品(戦車、護衛艦、戦闘機など)を整備したり、しっかりと自衛隊員の教育・訓練をする必要があります。このような取組を「防衛力整備」といいます。「防衛力整備」のために必要となるお金を「防衛関係費」といい、毎年必要なお金(=予算)を確保し使っています。
防衛力整備はどのようにして考えるの?
日本の周りの安全保障環境がこれまでになく厳しさを増す中、防衛力を強化するスピードを速めていく必要があります。防衛省・自衛隊では、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画といった戦略や計画にもとづいて、防衛力整備を進めています。
毎年の防衛関係費ができるまで
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❶将来(おおむね10年程度)の戦略や防衛力の目標を決める
国家安全保障戦略
外交政策及び防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針
防衛計画の大綱
今後の防衛の基本方針、防衛力の役割や保有すべき水準を規定
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❷5年間の国の防衛に必要な金額や整備する主な装備品の内容を決める
中期防衛力整備計画
5年間で必要なお金の総額と主な装備品の整備数量を示す
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❸毎年の国の防衛に関する予算を決める
年度予算
情勢を踏まえて、各年度ごとに必要な経費を予算として計上
お金は何に使われている?
令和4(2022)年度の日本の予算全体は約108兆円になりますが、そのうち防衛関係費(防衛力整備に必要なお金)は約5兆円になります。
その内訳としては、約4割が自衛隊員の給料や食事などのお金(人件・糧食費)、約2割が燃料の購入や施設の維持管理などに必要なお金です。新しい装備品などを購入するためのお金は、約2割を満たしません。
防衛関係費(当初予算)の内訳(令和4(2022)年度)
自衛隊には、全国でどれぐらいの人がいるの?
自衛官だけでも20万人以上、それ以外にも技官や事務官など様々な人たちが働いています。
外国との国防費の比較
主要国の国防費(2021年度)
予算の制度は国ごとに違うことなどから、国防のために使っているお金が多いか少ないかを正確に比較することは困難です。そのうえで、日本の防衛関係費と各国が公表している国防費をアメリカの通貨ドルに換算すると、左のグラフのとおりとなります。
日本はG7の国々やオーストラリア、韓国と比べても国防費の対GDP比(国防費をGDP(Gross Domestic Product:国内総生産。国内で一定期間内に生産された物やサービスの付加価値の合計額)で割った比率)は最も低いです。また、国防のために使われるお金を人口で割って、1人当たりの国防費を計算した場合でも、日本はほかの国より低い水準となっており、防衛力を強化するために必要なお金をしっかりと確保していく必要があります。
防衛省・自衛隊の取組
陸・海・空という従来の領域のほかに、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を含む、すべての領域を横断的に連携させ、それぞれの領域における能力をうまく組み合わせて、全体として発揮できる能力を大きくするための新たな防衛力(多次元統合防衛力)の構築を目指し、予算を使って様々な取組を進めています。
宇宙・サイバー・電磁波などの領域における能力の獲得
従来の領域における能力の強化