⑨日本と地域(ちいき)、そして世界の平和を守るための日米同盟(どうめい)

日本と地域、そして世界の平和を守るための日米同盟

日本とアメリカは自由や民主主義(しゅぎ)といった基本的(きほんてき)価値(かち)戦略(せんりゃく)上の利益(りえき)を共有する、とても大切な同盟(どうめい)の関係にあります。日米同盟(どうめい)は日本だけでなく、インド太平洋地域(ちいき)、さらには国際(こくさい)社会の平和と安定、そして繁栄(はんえい)に大きな役割(やくわり)を果たしています。

なぜ日本はアメリカと同盟(どうめい)を結んでいるの?

 国の平和や安全を守るためには、どのような危険(きけん)な場面にも対応(たいおう)できるようにしなければなりません。しかし、現在(げんざい)国際(こくさい)社会においては、どの国も自分たちの力だけで自分の国の安全を守ることは(むずか)しくなっています。
 そこで、日本は、同じような価値観(かちかん)を持ち、経済面(けいざいめん)においても関係が深く、また、強大な軍事力を持つアメリカと、日米同盟(どうめい)という強い結びつきを持つことで日本を守ってきました
 日本とアメリカは日米安全保障(ほしょう)条約(じょうやく)という約束を()()わしており、その中では、日本が攻撃(こうげき)された場合には、日本とアメリカが共同で立ち向かうことが決められています。この約束によって、もしもどこかの国が日本に対して攻撃(こうげき)をしようとしても、その国は自衛隊(じえいたい)だけではなく、世界一の軍事力を持つアメリカ軍とも直接(ちょくせつ)対決することを覚悟(かくご)しなければなりません。相手国から見ると、世界一の軍事力を持つアメリカと戦うと大きなダメージを受けることは明らかなので、日本を攻撃(こうげき)するのはやめておこう、と思いとどまることになるのです。
 また、日本の周りには、大きな軍事力を持っている国家が集中し、中には核兵器(かくへいき)を持っている国もあります。こうした国々(くにぐに)が軍事力をさらに強化したり、軍事活動を活発化させたりしているため、日本の周りの地域(ちいき)はとても不安定になっています。こうした中で、日本にいるアメリカ軍は、日本とアメリカの利益(りえき)を守るだけではなく、地域(ちいき)国々(くにぐに)に大きな安心をもたらす存在(そんざい)でもあります。日本とアメリカの協力関係は、インド太平洋地域(ちいき)の平和と安定にとても重要な役割(やくわり)を果たしているのです。
 さらに、日本とアメリカの協力関係は、インド太平洋地域(ちいき)の中だけにとどまりません。現在(げんざい)の世界には、海洋・宇宙(うちゅう)・サイバー空間を安定して使うことに対するリスク、海賊(かいぞく)行為(こうい)、大量破壊(はかい)兵器や弾道(だんどう)ミサイルの拡散(かくさん)国際(こくさい)テロ、気候変動など、一つの国だけで対応(たいおう)することが(むずか)しい安全保障(ほしょう)に関係する問題が数多く存在(そんざい)しています。日本はアメリカと協力して、こうした色々な国に(かか)わる問題を解決(かいけつ)するための取組を進めており、日米同盟(どうめい)は世界の平和と安定にも貢献(こうけん)しているのです。

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アメリカとどのように協力しているの?

宇宙(うちゅう)やサイバー領域(りょういき)における協力

 日本とアメリカは、宇宙(うちゅう)やサイバー領域(りょういき)における様々(さまざま)な取組について、情報(じょうほう)交換(こうかん)や共同訓練、専門(せんもん)の人材の育成のための協力を行っています。


ミサイルなど空からの脅威(きょうい)への対応(たいおう)

 日本とアメリカは、ミサイルや航空機などの日本に対する空からの脅威(きょうい)について、情報(じょうほう)を共有したり、どのように協力して対処(たいしょ)するかを事前に話し合ったりすることにより、共同で対処(たいしょ)する能力(のうりょく)を高めています。また、北朝鮮(きたちょうせん)から弾道(だんどう)ミサイルが発射(はっしゃ)された(さい)には、実際(じっさい)に日本とアメリカで協力して対処(たいしょ)しています。


共同訓練・演習(えんしゅう)

 自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍は普段(ふだん)からな共同訓練・演習(えんしゅう)を行っています。そのような訓練などを通じて、それぞれの能力(のうりょく)を高めるとともに、お(たが)いの連携(れんけい)を強化させることで、日本とアメリカが共同して対処(たいしょ)する力を高めています。


情報(じょうほう)収集(しゅうしゅう)警戒(けいかい)監視(かんし)偵察(ていさつ)活動(ISR活動)

 日本とアメリカは、協力して地域(ちいき)における情報(じょうほう)収集(しゅうしゅう)や、日本が()()まれないように見張(みは)る活動を行うことでその効率(こうりつ)効果(こうか)を高めています。

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海洋安全保障(ほしょう)

 日本とアメリカは、自由で開かれた海の平和と安定を守るため、海洋における監視(かんし)情報(じょうほう)の共有など、様々な取組を協力して実施(じっし)しています。


アメリカ陸軍によるトモダチ作戦において
アメリカ陸軍によるトモダチ作戦において

後方支援(しえん)

 日本とアメリカは、日米物品役務(えきむ)相互(そうご)提供(ていきょう)協定(ACSA(アクサ))という約束を()()わしています。この協定により、共同訓練や災害(さいがい)派遣(はけん)、国連PKOなどの国際(こくさい)平和協力業務(ぎょうむ)、日本がほかの国から武力(ぶりょく)攻撃(こうげき)を受けた場合などの様々(さまざま)状況(じょうきょう)で、自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍がお(たが)いに燃料(ねんりょう)や食料、輸送(ゆそう)施設(しせつ)の利用などを()し借りできるようになっています。


日本における大規模(だいきぼ)災害(さいがい)への対処(たいしょ)のための協力

 東日本大震災(だいしんさい)では、アメリカ軍は最も多い時で人員約1万6千人、艦艇(かんてい)約15(せき)、航空機約140機によって「トモダチ作戦」を行い、その支援(しえん)活動は日本の復旧(ふっきゅう)復興(ふっこう)に大きく貢献(こうけん)しました。その後も、日本国内での災害(さいがい)においてどのように日米で共同して対応(たいおう)するかについて話し合ったり、一緒(いっしょ)防災(ぼうさい)演習(えんしゅう)などを実施(じっし)したりしています。

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