日本とアメリカは自由や民主主義といった基本的価値と戦略上の利益を共有する、とても大切な同盟の関係にあります。日米同盟は日本だけでなく、インド太平洋地域、さらには国際社会の平和と安定、そして繁栄に大きな役割を果たしています。
なぜ日本はアメリカと同盟を結んでいるの?
国の平和や安全を守るためには、どのような危険な場面にも対応できるようにしなければなりません。しかし、現在の国際社会においては、どの国も自分たちの力だけで自分の国の安全を守ることは難しくなっています。
そこで、日本は、同じような価値観を持ち、経済面においても関係が深く、また、強大な軍事力を持つアメリカと、日米同盟という強い結びつきを持つことで日本を守ってきました。
日本とアメリカは日米安全保障条約という約束を取り交わしており、その中では、日本が攻撃された場合には、日本とアメリカが共同で立ち向かうことが決められています。この約束によって、もしもどこかの国が日本に対して攻撃をしようとしても、その国は自衛隊だけではなく、世界一の軍事力を持つアメリカ軍とも直接対決することを覚悟しなければなりません。相手国から見ると、世界一の軍事力を持つアメリカと戦うと大きなダメージを受けることは明らかなので、日本を攻撃するのはやめておこう、と思いとどまることになるのです。
また、日本の周りには、大きな軍事力を持っている国家が集中し、中には核兵器を持っている国もあります。こうした国々が軍事力をさらに強化したり、軍事活動を活発化させたりしているため、日本の周りの地域はとても不安定になっています。こうした中で、日本にいるアメリカ軍は、日本とアメリカの利益を守るだけではなく、地域の国々に大きな安心をもたらす存在でもあります。日本とアメリカの協力関係は、インド太平洋地域の平和と安定にとても重要な役割を果たしているのです。
さらに、日本とアメリカの協力関係は、インド太平洋地域の中だけにとどまりません。現在の世界には、海洋・宇宙・サイバー空間を安定して使うことに対するリスク、海賊行為、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、国際テロ、気候変動など、一つの国だけで対応することが難しい安全保障に関係する問題が数多く存在しています。日本はアメリカと協力して、こうした色々な国に関わる問題を解決するための取組を進めており、日米同盟は世界の平和と安定にも貢献しているのです。
アメリカとどのように協力しているの?
宇宙やサイバー領域における協力
日本とアメリカは、宇宙やサイバー領域における様々な取組について、情報交換や共同訓練、専門の人材の育成のための協力を行っています。
ミサイルなど空からの脅威への対応
日本とアメリカは、ミサイルや航空機などの日本に対する空からの脅威について、情報を共有したり、どのように協力して対処するかを事前に話し合ったりすることにより、共同で対処する能力を高めています。また、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際には、実際に日本とアメリカで協力して対処しています。
共同訓練・演習
自衛隊とアメリカ軍は普段からな共同訓練・演習を行っています。そのような訓練などを通じて、それぞれの能力を高めるとともに、お互いの連携を強化させることで、日本とアメリカが共同して対処する力を高めています。
情報収集・警戒監視・偵察活動(ISR活動)
日本とアメリカは、協力して地域における情報の収集や、日本が攻め込まれないように見張る活動を行うことでその効率や効果を高めています。
海洋安全保障
日本とアメリカは、自由で開かれた海の平和と安定を守るため、海洋における監視の情報の共有など、様々な取組を協力して実施しています。
後方支援
日本とアメリカは、日米物品役務相互提供協定(ACSA)という約束を取り交わしています。この協定により、共同訓練や災害派遣、国連PKOなどの国際平和協力業務、日本がほかの国から武力攻撃を受けた場合などの様々な状況で、自衛隊とアメリカ軍がお互いに燃料や食料、輸送や施設の利用などを貸し借りできるようになっています。
日本における大規模災害への対処のための協力
東日本大震災では、アメリカ軍は最も多い時で人員約1万6千人、艦艇約15隻、航空機約140機によって「トモダチ作戦」を行い、その支援活動は日本の復旧・復興に大きく貢献しました。その後も、日本国内での災害においてどのように日米で共同して対応するかについて話し合ったり、一緒に防災演習などを実施したりしています。