日本は第二次世界大戦の後、再び戦争によるいたましい被害を繰り返すことがないよう、平和国家を目指して努力を重ねています。この平和主義の理想をかかげる日本国憲法のもと、日本の平和と安全を守るため、自衛隊を保持・整備・運用しています。
日本国憲法は、第9条に戦争放棄、戦力不保持、交戦権を認めないことを定めていますが、これは、国として当然に保有している自衛権(外部からの攻撃があった場合に、国を守る権利)を否定するものではなく、自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められています。したがって、外国が武力を用いて攻撃してきた場合に、国を守るための必要最小限度の防衛力として自衛隊を持つことは、憲法第9条のもとでも認められています。
自衛隊の持つ防衛力を実際に用いることについて、憲法第9条を読むと、国と国との関係における「武力の行使」をすべて禁止しているように見えます。しかし、外国が武力を用いて日本を攻撃してきた場合や、他国に対する攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、自衛隊が国を守るために武力を行使することが認められています。
ただし、このような場合でも、ほかに適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使であることが求められます。相手国の領土の占領などは、自衛のための必要最小限度を超えるものと考えられるので、認められません。