新たな脅威への対応

 防衛大綱では、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織の活動などにより大きく変化した安全保障環境を踏まえ、新たな脅威や多様な事態への実効的な対応を防衛力の重要な役割として位置づけています。
 そして、新たな脅威や多様な事態のうち、代表的なものとして、
(1)弾道ミサイル攻撃への対応
(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃などへの対応
(3)島嶼部に対する侵略への対応
(4)周辺海空域の警戒監視及び領空侵犯対処や武装工作船などへの対応
(5)大規模・特殊災害などへの対応
 の5項目を例示しています。
 自衛艦隊は、主に海上でこれらの事態の対処を行います。

弾道ミサイル防衛システムの整備

 弾道ミサイル防衛(BMD)機能を付加するための改修が進められてきたイージス護衛艦「こんごう」は、平成19年12月18日早朝(日本時間午前7時12分)に、ハワイ・カウアイ島沖においてSM-3ミサイルの発射試験を実施し、カウアイ島から発射された模擬弾道ミサイルを大気圏外において海上から迎撃することに成功しました。
 これまでのペトリオットPAC-3の配備に加え、「こんごう」に対する弾道ミサイル迎撃能力の付与により、限定的ながら弾道ミサイル攻撃に対する我が国独自の多層防衛体制が整備されました。

能登半島沖の不審船事案への対処

 平成11年3月23日、警戒監視中の海上自衛隊のP-3C(哨戒機)が工作船と判断される不審船を発見しました。訓練に向かっていた護衛艦「はるな」が船舶の船名を確認して、ただちに海上保安庁へ通報しました。
 この不審船に対し、海上保安庁の巡視船が威嚇射撃を実施するなどの措置を講じましたが追尾が困難になりました。
 24日未明、この事案に対し海上自衛隊に「海上における警備行動」が発令されました。これは海上自衛隊創設以来、初の発令でした。
 護衛艦「はるな」は停船命令を実施するとともに警告射撃を行いましたが不審船は逃走を続けました。
 日本の防空識別圏外に逃走した後も、日本の防空識別圏内からP-3C(哨戒機)のレーダーによる追尾を続けましたが、レーダーによる探知が不可能になるほど遠くへ移動し、また、日本周辺においても特異事象が見られないことから、海上警備行動を終結しました。