海上交通の安全確保

 長い海岸と点在する島嶼及び広大な管轄海域を有し,経済の発展及び生活の安定に必要な物資の多くを海上輸送に依存している我が国にとって、航行の自由や海洋資源の開発等の経済的存立の基盤となる海洋権益は、平和と安全を確保する上で重要です。このような海洋権益を確保するため,海洋における秩序の維持及び安全の確保が必要です。
 しかしながら、周辺海域においては、周辺国海軍の艦艇の活動の活発化等、我が国の海洋権益及び治安を損なう恐れのある事態が発生し、また、中東からマラッカ・シンガポール海峡を経由して我が国周辺に至る海域を含む海上輸送路では、海賊行為や大量破壊兵器の拡散問題等が懸念されています。

我が国近海における安全確保

 海上交通は我が国の生命線であり、海上交通の安全確保のための作戦は、我が国の継戦能力と生存基盤を確保するのみならず、米軍来援のための基盤という観点からも極めて重要です。
 自衛艦隊は、我が国の周辺数百海里の海域において、また、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において、対水上戦、対潜水艦戦、防空戦、対機雷戦などの各種の作戦を組み合わせて、哨戒、船舶の護衛、海峡・港湾の防備などを行い、海上交通の安全を確保します。

海上保安庁との連携強化

近年、海洋における様々な事態に適時適切に対処するため、海洋の状況把握の重要性が特に認識されるようになっています。海洋の状況把握には、同じく海洋を活動の場とする海上保安庁との連携が重要です。 自衛艦隊は、船舶等の目標情報を必要に応じ海上保安庁と共有するとともに、不審船対処に係る訓練や原子力発電所に対するテロ対処に係る訓練を継続的に実施しています。