⑩日本と地域(ちいき)、そして世界の平和を守るための日米同盟(どうめい)

日本とアメリカは自由や民主主義(しゅぎ)といった基本(きほん)価値(かち)戦略(せんりゃく)上の利益(りえき)を共有する、とても大切な同盟(どうめい)の関係にあります。日米同盟(どうめい)は日本だけでなく、インド太平洋地域(ちいき)、さらには国際(こくさい)社会の平和と安定、そして繁栄(はんえい)に大きな役割(やくわり)を果たしています。

なぜ日本はアメリカと同盟(どうめい)を結んでいるの?

国の平和や安全を守るためには、どのような危険(きけん)な場面にも対(おう)できるようにしなければなりません。しかし、現在(げんざい)国際(こくさい)社会においては、どの国も自分たちの力だけで自分の国の安全を守ることは(むずか)しくなっています。
 そこで、日本は、同じような価値観(かちかん)(民主主義(しゅぎ)基本(きほん)人権(じんけん)など)を持ち、経済(けいざい)面においても関係が深く、また、強大な軍事力を持つアメリカと、日米同盟(どうめい)という強い結びつきを持つことで日本を守ってきました。
 日本とアメリカは日米安全保障条約(ほしょうじょうやく)という約束を取り交わしており、その中では、日本が攻撃(こうげき)された場合には、日本とアメリカが共同で立ち向かうことが決められています。この約束によって、もしもどこかの国が日本に対して攻撃(こうげき)をしようとしても、その国は自衛隊(じえいたい)だけではなく、世界一の軍事力を持つアメリカ軍とも直接(ちょくせつ)対決することを覚悟(かくご)しなければなりません。相手国から見ると、アメリカと戦うと大きなダメージを受けることは明らかなので、日本を攻撃(こうげき)するのはやめておこう、と思いとどまることになるのです。
 また、日本の周りには、大きな軍事力を持っている国家が集中し、中には核兵器(かくへいき)を持っている国などもあります。こうした国々(くにぐに)が軍事力をさらに強化したり、軍事活動を活発化させたりしているため、日本の周りの地域(ちいき)はとても不安定になっています。こうした中で、日本にいるアメリカ軍は、日本とアメリカの利益(りえき)を守るだけではなく、地域(ちいき)国々(くにぐに)に大きな安心をもたらす存在(そんざい)でもあります。日本とアメリカの同盟(どうめい)関係は、インド太平洋地域(ちいき)の平和と安定のために、とても重要な役割(やくわり)を果たしているのです。
 さらに、日本とアメリカの協力は、インド太平洋地域(ちいき)の中だけにとどまりません。現在(げんざい)、世界には、海洋・宇宙(うちゅう)・サイバー空間を安定して使うことに対するリスク、海賊行為(かいぞくこうい)、大量破壊(はかい)兵器や弾道(だんどう)ミサイルの拡散(かくさん)国際(こくさい)テロ、気候変動など、一つの国だけで対(おう)することが(むずか)しい安全保障(ほしょう)に関係する問題が数多く存在(そんざい)しています。日本はアメリカと協力して、このような色々(いろいろ)な国に関わる問題を解決(かいけつ)するための取組を進めており、日米同盟(どうめい)関係は世界の平和と安定にも貢献(こうけん)しているのです。

日米首脳(しゅのう)会談(2023年5月)【首相官邸(かんてい)HP】
日米防衛(ぼうえい)相会談(2023年1月)

アメリカとどのように協力しているの?

宇宙(うちゅう)やサイバー領域(りょういき)における協力

日本とアメリカは、宇宙(うちゅう)やサイバー領域(りょういき)における様々(さまざま)な取組について、情報交換(じょうほうこうかん)や共同訓練をしたり、専門(せんもん)の人材の育成のための協力も行っています。


ミサイルなど空からの脅威(きょうい)への対(おう)

日本とアメリカは、ミサイルや航空機(こうくうき)などの日本に対する空からの脅威(きょうい)について、情報(じょうほう)を共有したり、どのように協力して対(しょ)するかを事前に話し合ったりすることにより、共同で対(しょ)する能力(のうりょく)を高めています。また、北朝鮮(きたちょうせん)から弾道(だんどう)ミサイルが発射(はっしゃ)された(さい)には、実際(じっさい)に日本とアメリカで協力して対(しょ)しています。


共同訓練・演習(えんしゅう)

自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍は普段(ふだん)からいろいろな共同訓練・演習(えんしゅう)を行っています。そのような訓練などを通じて、それぞれの能力(のうりょく)を高めるとともに、お(たが)いの連携(れんけい)を強化させることで、日本とアメリカが共同して対(しょ)する力を高めています。

水陸両用作戦の訓練の様子(2023年2月)

情報収集(じょうほうしゅうしゅう)警戒監視(けいかいかんし)偵察(ていさつ)活動(ISR(アイエスアール)(※)活動)

日本とアメリカは、協力して地域(ちいき)における情報(じょうほう)収集(しゅうしゅう)や、日本が()()まれないように見張(みは)る活動を行うことでその効率(こうりつ)効果(こうか)を高めています。

ISR(アイエスアール):Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance

水陸両用作戦の訓練の様子(2023年2月)


後方支援(しえん)

日本とアメリカは、日米物品役務相互提供(えきむそうごていきょう)協定(日米ACSA(アクサ)(※))という約束を取り交わしています。この協定により、自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍がともに参加する訓練や大規模災害(だいきぼさいがい)への対(おう)、国連PKO(ピーケーオー)などの国際(こくさい)平和協力業務(ぎょうむ)、日本が外国から武力攻撃(ぶりょくこうげき)を受けた場合などの様々(さまざま)状況(じょうきょう)で、自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍がお(たが)いに燃料(ねんりょう)や食料、輸送(ゆそう)施設(しせつ)の利用などを()し借りできるようになっています。

ACSA(アクサ):Acquisition and Cross-Servicing Agreement


共同使用

自衛隊(じえいたい)は、自衛隊(じえいたい)駐屯地(ちゅうとんち)演習場(えんしゅうじょう)だけでなく、アメリカ軍の演習場(えんしゅうじょう)港湾(こうわん)、飛行場などをアメリカ軍と共同で使用し、活動することもあります。このような共同使用は、自衛隊(じえいたい)とアメリカ軍の関係の強化に(つな)がっています。


日米共同訓練(2023年2月)(空自F(エフ)-15戦闘機(せんとうき)とアメリカ空軍F(エフ)-16戦闘機(せんとうき)
日米共同訓練(2022年8月)(海自艦艇(かんてい)(手前・(おく))と洋上補給(ほきゅう)を行うアメリカ海軍艦艇(かんてい)(中央))
鹿屋航空基地(かのやこうくうきち)に一時展開(てんかい)されたアメリカ軍無人機(MQ(エムキュー)-9)
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