⑤日本の防衛(ぼうえい)基本政策(きほんせいさく)

これまで日本は日本国憲法(けんぽう)のもと、専守防衛(せんしゅぼうえい)(つらぬ)き、ほかの国を(おびや)かすような軍事大国とならないとの基本(きほん)的な考えで、国の防衛(ぼうえい)に取り組んできました。こうした考えのもと、平和国家としての歩みは、今後とも決して変わるものではありません。ここでは、このような日本の防衛(ぼうえい)基本政策(きほんせいさく)について見ていきましょう。

専守防衛(せんしゅぼうえい)

専守防衛(せんしゅぼうえい)とは、相手から武力(ぶりょく)による攻撃(こうげき)を受けた時にはじめて防衛力(ぼうえいりょく)を用い、その場合であっても、日本を守るために必要最小限(さいしょうげん)のものにとどめるなど、憲法(けんぽう)精神(せいしん)(のっと)った受動的な防衛戦略(ぼうえいせんりゃく)姿勢(しせい)のことをいいます。

軍事大国とならないこと

日本は、国を守るための必要最小限(さいしょうげん)を上回り、ほかの国を(おびや)かすような強大な軍事力を保持(ほじ)することはありません。

非核三原則(ひかくさんげんそく)

非核三原則(ひかくさんげんそく)とは、核兵器(かくへいき)を持たず、作らず、持ち()ませずという原則(げんそく)を指し、日本はこれをかたく守っています。

文民統制(とうせい)確保(かくほ)

文民とは一般(いっぱん)的に軍人ではない人のことを指すとされています。文民統制(とうせい)はシビリアン・コントロールともいい、民主主義(しゅぎ)の国において国民の代表である政治(せいじ)が軍事力を統制(とうせい)することを意味します。
 日本の場合、国会、内閣(ないかく)防衛(ぼうえい)省という三つのレベルで、政治(せいじ)による自衛隊(じえいたい)への統制(とうせい)がはたらく仕組み(もう)けています。
 まず、国民を代表する国会が、自衛官(じえいかん)の人数、主な組織(そしき)などを法律(ほうりつ)・予算の形で決定するといった権限(けんげん)を持っています。
 次に、内閣(ないかく)の一員である内閣総理(ないかくそうり)大臣や防衛(ぼうえい)大臣は、憲法(けんぽう)において文民でなければならない、つまり、現役(げんえき)自衛官(じえいかん)であってはならないとされています。内閣総理(ないかくそうり)大臣は自衛隊(じえいたい)に対する最高の指揮監督権(しきかんとくけん)を持っており、防衛(ぼうえい)大臣は自衛隊(じえいたい)の仕事を統括(とうかつ)します。
 防衛(ぼうえい)省においても、防衛(ぼうえい)大臣がトップとして自衛隊(じえいたい)を管理・運営(うんえい)することに加え、防衛(ぼうえい)副大臣、防衛(ぼうえい)大臣政務官(せいむかん)などが防衛(ぼうえい)大臣を助ける体制(たいせい)をとっています。
 以上のように、文民統制(とうせい)制度(せいど)整備(せいび)していますが、これがきちんと機能(きのう)するためには、国民のみなさんひとりひとりが国の防衛(ぼうえい)に対して関心を持つことが重要です。

観閲(かんえつ)を行う岸田内閣総理(ないかくそうり)大臣と浜田(はまだ)防衛(ぼうえい)大臣(国際観艦式(こくさいかんかんしき)