⑧宇宙(うちゅう)・サイバー・電磁波領域(でんじはりょういき)での挑戦(ちょうせん)

人工衛星(えいせい)を活用すれば、地球上のあらゆる地域(ちいき)の観測(かんそく)や通信、位置の測定(そくてい)を行うことができます。このため、主要国は、軍事施設(しせつ)の偵察(ていさつ)やミサイルなどの発射(はっしゃ)を探知(たんち)する衛星(えいせい)をはじめ、宇宙(うちゅう)を利用した能力(のうりょく)を上げることに力を注いでいます。
　一方、自分の国が軍事的に有利な状況(じょうきょう)を確保(かくほ)するために、他国が宇宙(うちゅう)を利用することを妨(さまた)げる能力(のうりょく)も重視(じゅうし)されています。
　具体的には、中国やロシアが衛星(えいせい)を破壊(はかい)することを目標としたミサイルを発射(はっしゃ)したり、衛星(えいせい)を攻撃(こうげき)するための衛星(えいせい)（キラー衛星(えいせい)）を開発していると指摘(してき)されています。このような宇宙(うちゅう)空間における脅威(きょうい)の増大(ぞうだい)が指摘(してき)されるなか、アメリカをはじめ、宇宙(うちゅう)空間を「戦闘領域(せんとうりょういき)」や「作戦領域(りょういき)」と位置づける動きが広がっており、宇宙(うちゅう)の安全保障(ほしょう)は差し迫(せま)った課題となっています。

電磁波(でんじは)は防衛(ぼうえい)の分野においても、命令を伝えるための通信機器、敵(てき)を発見するためのレーダー、ミサイルを目標に向かわせるための誘導装置(ゆうどうそうち)などに数多く使われています。そのため、現代(げんだい)の作戦では、電磁波(でんじは)が使えなくなると著(いちじる)しく不利になってしまうため、自分が電磁波(でんじは)をうまく使えるようにするとともに、相手が電磁波(でんじは)をうまく使えなくなるようにすることが必要不可欠(ふかけつ)です。
　電磁波領域(でんじはりょういき)を利用した作戦は「電磁波(でんじは)作戦」と呼(よ)ばれ、各国は電磁波(でんじは)作戦能力(のうりょく)を強化しています。