先端技術(せんたんぎじゅつ)を活かした新たな挑戦(ちょうせん)の時代へ

科学技術(ぎじゅつ)発展(はってん)は、国の防衛(ぼうえい)や安全保障(ほしょう)にも大きな影響(えいきょう)(あた)えるため、各国は新しい技術(ぎじゅつ)の研究や開発にかけるお金を()やしたり、自分の国を攻撃(こうげき)するかもしれないほかの国に重要な技術(ぎじゅつ)(わた)らないようにするなど、様々(さまざま)な取組を進めています。
日本でも、防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)だけではなく他の省(ちょう)企業(きぎょう)などとも協力して、(すぐ)れた技術(ぎじゅつ)防衛(ぼうえい)に使えるようにしながら、防衛(ぼうえい)にとって重要な技術(ぎじゅつ)を守ることが必要になっています。

先端技術(せんたんぎじゅつ)などに対する、防衛(ぼうえい)省のアプローチ

近年、人工知能(ちのう)AI(エーアイ))、量子技術(ぎじゅつ)情報(じょうほう)通信技術(ぎじゅつ)などの技術(ぎじゅつ)が急速に発展(はってん)し、防衛(ぼうえい)や安全保障(ほしょう)にも大きな影響(えいきょう)(あた)えるようになっています。このように、これまでの防衛(ぼうえい)・安全保障(ほしょう)変革(へんかく)を起こすかもしれない技術(ぎじゅつ)は「ゲーム・チェンジャー」と()ばれています。
 先端技術(せんたんぎじゅつ)は、防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)にとっても重要です。例えば、AI(エーアイ)装備品(そうびひん)に活用することで、戦闘機(せんとうき)操縦(そうじゅう)支援(しえん)や、無人機の活用による警戒監視任務(けいかいかんしにんむ)の無人化・省人化が可能(かのう)になり、過酷(かこく)任務(にんむ)(はげ)自衛隊(じえいたい)員の負担(ふたん)軽減(けいげん)することができます。
 防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)は、将来(しょうらい)的に防衛(ぼうえい)分野に活用しうる技術(ぎじゅつ)を育てるために、企業(きぎょう)や大学などの先進的な技術(ぎじゅつ)に関する基礎(きそ)研究に対しての支援(しえん)なども実施(じっし)しています。企業(きぎょう)や大学などと連携(れんけい)しつつ、このような取組を進めることで、新たな技術(ぎじゅつ)芽吹(めぶ)きにつながり、日本の科学技術(ぎじゅつ)発展(はってん)にも貢献(こうけん)しています。
 防衛(ぼうえい)に関係する装備品(そうびひん)の開発や生産をする国内の会社は、自衛隊(じえいたい)の運用を(ささ)える基盤(きばん)であり、日本の防衛力(ぼうえいりょく)そのものです。防衛(ぼうえい)省はこうした国防(こくぼう)(にな)う会社とも日ごろからしっかりと連携(れんけい)しています。

AI(エーアイ)導入(どうにゅう)した将来(しょうらい)の無人機と戦闘機(せんとうき)との連携(れんけい)

人工知能(ちのう)AI(エーアイ)

人工知能(ちのう)AI(エーアイ))とは、人間の(のう)と同じように記憶(きおく)判断(はんだん)推論(すいろん)・学習する能力(のうりょく)を持ったコンピューターのことです。AI(エーアイ) を使えば、これまで人間が行ってきた情報(じょうほう)分析(ぶんせき)判断(はんだん)などを、もっと速いスピードで自動的に行うことができるようになります。
 例えば、アメリカでは、AI(エーアイ)()せた無人の航空機(こうくうき)を、人間が操縦(そうじゅう)する航空機(こうくうき)一緒(いっしょ)に飛行させて、作戦を行う実験を行っています。ロシアも同じように取り組んでいるほか、中国も、AI(エーアイ)様々(さまざま)武器(ぶき)搭載(とうさい)して作戦を行うなどの戦い方を目指しているといわれています。
 防衛(ぼうえい)省では、複雑(ふくざつ)かつ高速に(うつ)り変わる戦闘(せんとう)の様相に対して、AI(エーアイ)により相手の行動パターンを分析(ぶんせき)したり、指揮官(しきかん)判断(はんだん)をサポートするための技術(ぎじゅつ)装備品(そうびひん)反映(はんえい)するための研究を行っています。

AI(エーアイ)()いた絵を見たり、AI(エーアイ)が読むニュースを聞いたりしたことがあるよ。
防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)でも、いろいろな情報(じょうほう)処理(しょり)したり、部隊を動かすために、各分野へのAI(エーアイ)導入(どうにゅう)が進められているよ。これまで、隊員がやっていた仕事も、AI(エーアイ)がやるようになる分野もあるよ。
情報(じょうほう)通信技術(ぎじゅつ)5G(ファイブジー)など)

みなさんの使っている携帯(けいたい)電話は4G(ジー)でしょうか、5G(ジー)でしょうか。5G(ジー)とは「第5世代」のことを指しており、1980年代に最初に登場した携帯(けいたい)電話を1G(ジー)(第1世代)とし、そこから2G(ジー)、3G(ジー)、4G(ジー)と進化し、日本では現在(げんざい)新しく5G(ジー)携帯(けいたい)電話サービスが広まり始めています。
 5G(ジー)への進化によって、単に多くの情報(じょうほう)を速くやりとりできるようになるだけではなく、やりとりをする(さい)遅延(ちえん)(タイムラグ)もほとんどなくなり、たくさんの機器を同時にネットワークにつなげることができるようになります。タイムラグがなくなることで遠隔操作(えんかくそうさ)での自動車の運転などにも安心して使えるようになりますし、携帯(けいたい)電話だけでなく例えば冷蔵庫(れいぞうこ)やエアコンなどの電化製品(せいひん)もネットワークにつなげることができるようになります。
 防衛(ぼうえい)の分野においても、複数(ふくすう)情報(じょうほう)機器端末(たんまつ)の利用など新たな活用方法に注目が集まっています。

無人化・省人化について

日本の人口減少(げんしょう)と少子高齢(こうれい)化に(ともな)い、自衛隊(じえいたい)に入隊する人の数も年々減(ねんねんへ)ってくることが予想されます。そのため、装備品(そうびひん)をいかに少ない人数で動かすかということを、考えていく必要があります。
 例えば、無人機を使うことで、航空機(こうくうき)に乗る隊員や整備(せいび)する隊員を大幅(おおはば)()らすことが可能(かのう)となり、さらには有人機よりもより連続して長い時間、警戒監視(けいかいかんし)ができるようになります。
 そのため、防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)では、先端技術(せんたんぎじゅつ)導入(どうにゅう)しつつ、装備品(そうびひん)の無人化や省人化の取組を進めています。例えば、無人航空機(こうくうき)UAV(ユーエーブィ))、無人水上航走(こうそう)体(USV(ユーエスブィ))、無人水中航走(こうそう)体(UUV(ユーユーブィ))、陸上無人車両(UGV(ユージーブィ))の整備(せいび)などがあります。

機雷(きらい)捜索(そうさく)するための水中無人機
偵察(ていさつ)UAV(ユーエーブィ)UGV(ユージーブィ)(イメージ)

経済(けいざい)安全保障(ほしょう)(め ぐ)る動向

新型(しんがた)コロナウイルスの影響(えいきょうか)下において、医薬品などが必要なところに行き(わた)らなくなるといったことが起こりました。必要な物の供給(きょうきゅう)確保(かくほ)できなければ、それが国や国民の安全をおびやかすことになりかねません。
 また、アメリカと中国を中心に先端技術(せんたんぎじゅつ)の利活用や管理をめぐる国家間競争が激化(げきか)しており、わが国としても自国の強みとなるような技術(ぎじゅつ)を育てつつ、そのような技術(ぎじゅつ)が流出しないよう措置(そち)(こう)ずる必要があります。こうした安全保障(ほしょう)経済(けいざい)横断(おうだん)する新しい課題が経済(けいざい)安全保障(ほしょう)という新たな安全保障(ほしょう)の課題として、広く認識(にんしき)されるようになってきています。
 そのため、日本でも2021年にはじめて「経済(けいざい)安全保障(ほしょう)」を担当(たんとう)する大臣を置き、(よく)2022年には「経済(けいざい)安全保障推進(ほしょうすいしん)法」という法律(ほうりつ)策定(さくてい)するなど、政府(せいふ)全体で協力して様々(さまざま)な取組を実施(じっし)しています。防衛(ぼうえい)省・自衛隊(じえいたい)も、こうした政府(せいふ)一体の取組に積極的に協力しています。

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