司令官日記

自衛艦隊のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

長雨の季節も一服し、本格的な夏の訪れを感じる7月に入りました。
自衛艦隊は、7月1日をもちまして、昭和29年(1954年)の新編から69周年を迎えることができました。これはひとえに、皆様のご支援とご理解の賜物と深く受け止めています。今後も、自衛艦隊は、これまで培ってきた素晴らしい伝統を継承しつつ、あらゆる事態に即応するべく誠実に任務を遂行してまいります。
それでは6月中の主な活動について紹介します。


●6月3日、横須賀基地において、第45次派遣海賊対処行動水上 部隊護衛艦「いかづち」の出国式典を実施しました。派遣される隊員の士気は旺盛であり、必ずや任務を完遂して、元気に帰国してくれるものと確信しました。また、今回の派遣任務にご理解を賜り、隊員を快く送り出していただいた隊員のご家族・ご友人の皆様方に、この場を借りまして改めて感謝を申し上げます。


●6月5日、厚木航空基地において、米海軍第72任務部隊司令官ウィル・トラソン海軍大佐の支援の下、最新鋭の米海軍P-8A哨戒機の搭乗研修を行いました。この研修を通じて、米海軍の警戒監視・情報収集能力について多くを学ぶことができました。自衛艦隊と米海軍第7艦隊は、装備品の能力や任務の進め方を相互に理解することで、より緊密な連携を実現できます。日本の防衛とインド太平洋地域の平和と安定に貢献するため、日米の両艦隊は、警戒監視及び情報収集の分野においても、引き続き強固に連携してまいります。

●6月7日、米海軍士官学校候補生の表敬を受けました。今後の米海軍を担う各候補生は、希望と期待に満ち溢れており、若人からの活力あるエネルギーをいただきました。

●6月7日、海上自衛隊艦艇の「次世代の装備品」を実際に搭載して検証することを任務とする試験艦「あすか」を視察しました。ここでは、「次世代の海上自衛隊」を担う若年隊員との懇談を通じて、瞳輝き、好奇心と熱意に溢れる姿を目の当たりにして、とても清々しい気持ちになりました。

●6月15日、英海軍艦隊司令官アンドリュー・バーンズ海軍中将の来訪を受けました。懇談では、一方的な現状変更の試みを許さない日英双方の立場を確認するとともに、今後も人的交流、アセットの派遣を含めた日英共同訓練又は多国間訓練等を通じて、英海軍艦隊との一層の連携強化を図ることで一致しました。

●6月23日、硫黄島周辺海域において令和5年度実機雷処分訓練・掃海特別訓練(日米共同訓練)を視察しました。また、米海軍第75任務部隊司令官ショーン・リーブ海軍大佐及び陸上自衛隊水陸機動団長 梨木信吾陸将補と懇談し、自衛隊の統合運用・日米共同態勢の深化を直接肌で感じることができました。。

●6月23日~24日、令和5年度実機雷処分訓練・掃海特別訓練に従事中の掃海母艦「うらが」及び掃海艇「ひらしま」を視察するとともに、海士隊員と懇談しました。海士隊員は皆、実動訓練に従事しつつも、一切の疲れも見せず非常にエネルギシュであり、常に問題意識をもって、勤務する姿勢に感銘を受けました

●6月24日、硫黄島基地において、米海軍で両用戦を担任する第75任務部隊司令官ショーン・リーブ海軍大佐とともに、天山慰霊碑、再開の碑を訪れ、この硫黄島を巡る激戦によって亡くなられた日米の将兵に対して鎮魂の祈りを捧げ、真の平和への誓いを新たにしました。

●6月26日~30日、自衛艦隊は、令和5年度自衛隊統合防災演習(05JXR)に参加し、南海トラフ地震への緊急対処について演練しました。将来、起こりうる可能性が高いこの南海トラフ地震に備えることは、喫緊の課題であり、自衛艦隊は、国民の皆様の生命と財産を必ず守り抜くという固い決意の下、災害対処を含めたあらゆる事態に迅速かつ適切に対応すべく万全の準備を整えています。

昨年末に制定された国家安全保障戦略等を踏まえ、自衛艦隊は隊員が一丸となって「即応」・「精強」・「誠実」を勤務方針として、24時間365日、一分の隙もない万全な警戒監視態勢を維持し、我が国周辺海域の平和と安定に努めるとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、力による一方的な現状変更の試みや法の支配への挑戦を抑止するために、これからも積極的に貢献して参ります。 皆様の変わらぬご支援を賜りますようお願い申しあげます。


令和5年7月
自衛艦隊司令官
海将 齋藤 聡