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第III部 防衛目標を実現するための3つのアプローチなど

2 各国との防衛協力・交流の推進

安全保障分野での協力・交流を推進するにあたっては、地域の特性、相手国の実情やわが国との関係なども踏まえつつ、最適な手段を組み合わせた二国間・多国間での防衛協力・交流が重要となる。

1 オーストラリア
(1)オーストラリアとの防衛協力・交流の意義

オーストラリアは、わが国にとって、ともに米国の同盟国として、基本的価値のみならず安全保障上の戦略的利益を共有する、インド太平洋地域の特別な戦略的パートナーである。

これまで、日豪ACSAや日豪情報保護協定、日豪防衛装備品・技術移転協定、日豪RAAといった、協力のための基盤を整備してきた。また、「安全保障協力に関する日豪共同宣言1」を踏まえ、国家防衛戦略では、両国の防衛協力をさらに深化させ、日米防衛協力に次ぐ緊密な関係を構築するとしている。さらに、平時から緊急事態に至るまで、あらゆる状況、あらゆるレベルで実効的な連携を確保することを視野に、各分野での防衛協力についてより強化された協議を行う戦略的防衛調整枠組み2(FSDC:Framework for Strategic Defence Coordination)が存在する。

両国は、平素から緊急事態に至るあらゆる状況で自衛隊と豪軍が実効的に連携するための議論や、情報収集・警戒監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance)における協力、豪軍に対する武器等防護、二国間・多国間共同訓練などを推進し、相互運用性を向上している。また、第三国における能力構築支援、人道支援・災害救援(HA/DR:Humanitarian Assistance/Disaster Relief)にかかる協力や防衛装備・技術協力なども推進している。

参照II部4章3項9(米軍等の部隊の武器等防護)資料25(米軍等の部隊の武器等防護の警護実績(自衛隊法第95条の2関係))

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年6月、中谷防衛大臣(当時)は、マールズ豪副首相兼国防大臣とシンガポールにて会談を行い、日豪両国がかつてないほど戦略的に整合しており、引き続き、運用協力・共同訓練、防衛装備・技術協力などあらゆる分野で防衛協力を拡大することで一致した。

同年9月には、中谷防衛大臣および岩屋外務大臣(当時)が東京において、マールズ副首相兼国防大臣およびウォン豪外務大臣と第12回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を行った。両国は、安全保障・防衛協力の進展を確認するとともに、8月にもがみ型護衛艦の能力向上型がオーストラリアの汎用フリゲートとして選定されたことについて、オーストラリア政府の決定を歓迎し、今後の両国の緊密な連携を確認した。

また、中谷防衛大臣とマールズ副首相兼国防大臣は日豪防衛相会談を行うとともに、もがみ型護衛艦「みくま」を視察した。

同年10月、高市内閣総理大臣はアルバニージー豪首相と日豪首脳会談を行い、東アジア情勢も含め、インド太平洋地域の安全保障環境や戦略課題について意見交換を行い、連携を強化していくことで一致した。さらに2026年5月、両首相はキャンベラにおいて日豪首脳会談を実施し、「強化された防衛・安全保障協力」に関する首脳声明などを発表した。

また、小泉防衛大臣は、2025年11月にクアラルンプール、同年12月に東京、2026年2月にはミュンヘンで、マールズ豪副首相兼国防大臣と日豪防衛相会談を行った。東京での会談では、日豪防衛相共同声明を発出し、日豪が地域の平和と安定を維持するために果たす重要な役割を認識したうえで、戦略的防衛調整枠組み(FSDC)の設置を発表した。さらに2026年4月、東京とメルボルンにてそれぞれFSDCのもとで日豪防衛相会談を実施するとともに、メルボルンでは、海上自衛隊護衛艦「くまの」艦上において、豪州汎用フリゲートに係る契約締結及び関係当局間文書の署名を記念する式典に出席し、オーストラリア汎用フリゲート事業について、引き続き両国が官民一体となって緊密に協力する旨等を盛り込んだ「もがみメモランダム」への署名を行った。

大和防衛事務次官は2025年12月にモリアーティ豪国防次官と、東京にて日豪防衛次官級協議を行い、地域情勢について意見交換を行ったほか、FSDCが設置されたことを踏まえ、さまざまな分野の協力について協議した。

参照2節(同志国との訓練・演習など)IV部3章3節1項1(オーストラリア)資料43(最近の日豪防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))

(3)日米豪の協力関係など

わが国とオーストラリアの協力をより実効的なものとし、地域の平和と安定に貢献していくためには、日豪それぞれの同盟国である米国を含めた日米豪3か国による協力を積極的に推進することが重要である。

日米同盟を基軸として同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化することは、わが国の国家安全保障戦略における柱であり、日米豪は同盟国・同志国連携の中核であると位置付け、2024年からは、平時から緊急事態に至るまで、自衛隊・豪軍・米軍が実効的に連携する態勢を構築するための、日米豪防衛協議体(TDC:Trilateral Defense Consultations)3が設置されている。

(3)日米豪の協力関係など

4

2025年5月、中谷防衛大臣(当時)は、ヘグセス米戦争長官およびマールズ豪副首相兼国防大臣と、TDC設置後初の閣僚級会合をシンガポールで行った。3大臣は、協力の目覚ましい進展を認識し、戦略的整合および運用協力、防衛先進能力および産業強靱化、地域のパートナーとの協力という様々な分野で、実践的な協力を深化させることとした。

日米豪3か国は、日米豪共同訓練やその他の国も交えた多国間共同訓練などの軍種間協力も継続して行っている。同年7月には、海軍種間におけるロジスティクス協力を推進するための「日米豪ロジスティクスTOR」に署名した。

さらに、2026年5月、ミサイル脅威への対処などに関して日米豪で情報共有を行う枠組みを「TRISHIP(Trilateral Air/ Surface/Missile Information Sharing in the Indo-Pacific)」として運用していくことで合意した。また、2026年3月に、防衛装備庁は「航空機用複合材料の損傷進展解析技術に係る日米豪共同研究」に関する事業取決めに署名した。

2025年12月、グアムにおいて、日米豪印による「インド太平洋ロジスティクス・ネットワーク」にかかる実働訓練を実施した。本訓練は、インド太平洋地域における自然災害への対応を念頭に、日米豪印が輸送協力を行い、迅速かつ効果的な支援を目指すことを目的としたものであり、4か国の要員が空自のC-130H輸送機に搭乗し、協力の具体化に向けて自然災害への対応などを確認した。

参照2節(同志国との訓練・演習など)資料54(最近の多国間ハイレベル交流の実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

動画アイコンQRコード資料:日米豪比防衛相会談共同発表(2025年11月1日)(仮訳)
URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2025/1101b_usa_aus_phl-j.html

2 インド
(1)インドとの防衛協力・交流の意義

インドは、世界第1位の人口と、高い経済成長や潜在的経済力を背景に影響力を増しており、わが国と中東、アフリカを結ぶシーレーン上のほぼ中央に位置するなど、極めて重要な国である。

インドとわが国は、基本的価値を共有するとともに、インド太平洋地域および世界の平和と安定、繁栄に共通の利益を有しており、特別戦略的グローバル・パートナーシップを構築している。このため、日印両国は「2+2」などの枠組みも活用しつつ、海洋安全保障をはじめとする幅広い分野において協力を推進している。

インドとの間では、2025年8月「日印間の安全保障協力に関する共同宣言」が改定され、従来の安全保障・防衛の協力のさらなる強化に加え、防衛装備・技術および経済安全保障など、新たな分野を含め、今後の日印間の具体的な安全保障協力の指針が明記された。日印防衛装備品・技術移転協定、日印秘密軍事情報保護協定、日印ACSAがそれぞれ締結されるなど、地域やグローバルな課題に対応できるパートナーとしての関係とその基盤が強化されている。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

5

2025年5月、中谷防衛大臣(当時)は、シン印国防大臣と日印防衛相会談を実施し、日印が防衛面でそれぞれの主体的取組の間の連携を強化し、大きな相乗効果を生み出すことで、両国のみならず地域全体に新たな価値と利益をもたらしていくことの重要性で一致し、今後、日印防衛当局間において「インド太平洋地域における日印の防衛協力(JIDIP:Japan-India Defense cooperation in the Indo-Pacific region)」のもとで具体的協力・連携をスピード感をもって具体化していくことを提案した。また、両大臣は、日印間の包括的・統合的観点から協力・連携を調整・進捗管理するための協議体を設置する方向で調整することや、日印で実施される共同訓練の拡大や深化、海上交通保護の面での継続的な連携、東南アジアにおける日印両国での連携深化などについて具体的に議論していくこととした。

参照2節(同志国との訓練・演習など)2章5節(日米共同訓練・演習など)IV部3章3節1項2(インド)資料44(最近の日印防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料54(最近の多国間ハイレベル交流の実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

3 欧州諸国

欧州諸国は、わが国と基本的価値を共有し、また、テロ対策や「瀬取り」対応などの非伝統的安全保障分野や国際平和協力活動を中心に、グローバルな安全保障上の共通課題に取り組むための中核を担っている。そのため、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識のもと、これらの国と防衛協力・交流を進展させることは、わが国がこうした課題に積極的に関与する基盤を提供するものであり、わが国と欧州諸国の双方にとって重要である。

参照2節(同志国との訓練・演習など)資料45(最近の欧州諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

(1)英国

ア 英国との防衛協力・交流の意義

英国は、欧州のみならず世界に影響力を持つ大国であるとともに、わが国と歴史的にも深い関係があり、安全保障面でも米国の重要な同盟国として戦略的利益を共有している。このような観点から、国際平和協力活動、テロ対策、海賊対処、サイバーなどのグローバルな課題における協力や地域情勢などに関する情報交換を通じ、日英間で協力を深めることは、わが国にとって非常に重要である。また、英国は近年、空母打撃群のインド太平洋地域への派遣や哨戒艦2隻を同海域へ恒久的に展開し、北朝鮮船舶による「瀬取り」を含む違法な海洋活動への警戒監視活動に当たらせるなど、ルールに基づく海洋秩序の確保に重要な貢献をしていることから、わが国にとって、FOIPの実現のため日英の協力を深化させることは重要である。

英国との間では、日英「2+2」の開催、防衛装備品・技術移転協定、日英情報保護協定、日英ACSA、日英RAAの締結により、戦略的パートナーシップが一層円滑・強固なものとなっている。

参照IV部3章3節1項3(英国)

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年8月から9月にかけて、英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」と、同空母打撃群に属する英海軍駆逐艦「ドーントレス」、ノルウェー海軍フリゲート「ロアール・アムンセン」が日本に寄港した。中谷防衛大臣(当時)は東京においてヒーリー英国防大臣と会談を行った。英空母打撃群の日本寄港について、日英両国間の防衛協力のさらなる進展を示すものであると同時に、英国のインド太平洋地域の平和と安定への力強いコミットメントを示すものとして歓迎した。

両大臣は日英防衛当局間で初となる共同声明の発出を歓迎するとともに、同文書を踏まえ、共同訓練をはじめとする全ての軍種における協力、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP(ジーキャップ):Global Combat Air Programme)6を含む防衛装備・技術協力、宇宙・サイバーといった新領域や女性・平和・安全保障(WPS)など、幅広い分野での日英防衛協力をさらなる高みに押し上げるべく、一層緊密に連携していくことを確認した。

(2)フランス

ア フランスとの防衛協力・交流の意義

フランスは、欧州やアフリカのみならず、世界に影響力を持つ大国であり、わが国と歴史的にも深い関係を持つ特別なパートナーである。

フランスとは、これまで日仏「2+2」などのハイレベル交流を継続的に行い、日仏情報保護協定や日仏防衛装備品・技術移転協定、日仏ACSAが締結されているほか、部隊間での共同運用・演習のための行政上、政策上、法律上の手続を相互に恒常的に改善する方策についての議論を一層加速させることで一致している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

中谷防衛大臣(当時)は、第22回IISS(The International Institute for Strategic Studies)(英国国際戦略研究所)が主催するIISSアジア安全保障会議7(シャングリラ会合)に際し、ルコルニュ・フランス軍事大臣(当時)と会談を行い、EU加盟国として唯一インド太平洋地域に常続的な軍事プレゼンスを有するフランスとの連携の重要性を述べた。

(3)ドイツ

ア ドイツとの防衛協力・交流の意義

ドイツは、わが国と基本的価値を共有し、G7などにおいて国際社会の問題に対し協調して取り組むパートナーである。2020年に策定された「インド太平洋ガイドライン」に基づき、インド太平洋地域への関与を強めており、2021年にドイツ海軍フリゲートが日本に寄港し、共同訓練などを行って以降、定期的に陸・海・空軍を同地域へ派遣している。ドイツとの間では、日独防衛装備品・技術移転協定、日独情報保護協定および日独ACSAが締結されている。また、日独「2+2」が開催されるなど、ハイレベルを含む交流が進展している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

(4)イタリア

ア イタリアとの防衛協力・交流の意義

イタリアは、G7の一員であり、基本的価値を共有する戦略的パートナーである。イタリアとの間では、日伊情報保護協定や日伊防衛装備品・技術移転協定の締結、日伊防衛協力・交流に関する覚書の署名、2025年9月の日伊ACSAの発効など、防衛協力を行っていくうえでの制度面の整備が進んでいる。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年7月、11月に実施した日英伊防衛相テレビ会合における次期戦闘機の共同開発事業についての議論のほか、同年12月には小泉防衛大臣とクロセット伊国防大臣は日伊防衛相テレビ会談を実施し、基本的価値を共有する日伊関係の深化への意図を表明した。また、共同訓練や防衛装備・技術協力などの日伊防衛協力を一層推進する意志を確認した。さらに、両大臣は地域情勢についても意見交換を行い、小泉防衛大臣から12月に発生した中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射事案や、同月に行われた中露爆撃機による共同飛行について説明し、強い懸念を共有した。

(5)オランダ

ア オランダとの防衛協力・交流の意義

オランダは、わが国と400年以上の歴史的関係を有し、基本的価値を共有する戦略的パートナーであり、2016年に署名された防衛協力・交流に関する覚書に基づき、防衛当局間の関係をさらに強化することで一致している。なお、オランダは2020年に「インド太平洋ガイドライン」を策定し、2021年にはオランダ海軍フリゲートが英国の空母打撃群とともに日本に寄港するなど、近年、インド太平洋地域への関与を強めている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年10月、荒井陸幕長はオランダ陸軍司令官スウィレンス陸軍中将を公式招待し、オランダ陸軍司令官は20年ぶりの訪日となった。懇談においては、戦略環境認識を共有し、今後の日オランダ陸軍種間協力の方向性について率直に意見を交換した。

(6)スペイン

スペインは、わが国と基本的価値を共有する戦略的パートナーであり、2014年に日スペイン防衛協力・交流に関する覚書に署名している。

(6)スペイン

2025年11月、東京において、第6回日スペイン防衛当局間協議が開催され、地域情勢や両国の防衛政策などについて意見交換を行った。

(7)NATO

ア NATOとの防衛協力・交流の意義

NATO(North Atlantic Treaty Organization)はわが国と基本的価値や戦略的利益を共有するパートナーである。

2022年6月に採択された「NATO戦略概念」において、インド太平洋地域は、欧州・大西洋地域の安全保障に直接的な影響を及ぼしうるNATOにとって重要な地域であるとされ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などのインド太平洋地域のパートナーとの対話および協力を強化することとされた。

また、2014年に「日・NATO国別パートナーシップ協力計画8(IPCP:Individual Partnership and Cooperation Programme between Japan and NATO)」が策定されて以来2度の改定を経て、現下の国際安全保障環境を踏まえ、サイバー分野や偽情報対策を含む情報戦、海洋安全保障など、幅広い分野で日NATO間の実務的協力をさらに推進する観点から、2023年7月、新たな協力文書である「日・NATO国別適合パートナーシップ計画9(ITPP:Individually Tailored Partnership Programme)」に合意した。日NATOは、今後、ITPPに基づき、協力を一層深めていくことが重要であるとの認識で一致している。

防衛省・自衛隊は、ITPPに基づき、女性・平和・安全保障(WPS:Women, Peace and Security)分野における協力として、NATO本部に女性自衛官を派遣するとともに、毎年、NATOジェンダー視点委員会(NCGP:NATO Committee on Gender Perspectives)年次会合に職員が参加している。

現在は、政策幕僚として、NATO本部軍事幕僚部協調的安全保障局(NHQIMSCS:NATO Headquarters International Military Staff, Cooperative Security Division)に自衛官を派遣し、NATOとパートナー国との協力案件の調整業務に携わっている。

また、防衛省は、欧州連合軍最高司令部(SHAPE:Supreme Headquarters Allied Powers Europe)、NATO海上司令部(MARCOM:NATO Allied Maritime Command)にもそれぞれ連絡官を派遣10している。2025年6月のNATO首脳会合の際に、日本とNATOとの防衛産業協力の更なる強化のため、日・NATO間の防衛装備・産業対話が立ち上げられた。2025年10月、その第1回目の対話では、無人航空機システム(UAS)、対UAS、科学技術、イノベーション、標準化、サプライチェーンのセキュリティなどを含む現在の防衛産業における優先課題に焦点が当てられた。

参照I部3章9節2項1(NATO)

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年12月、小泉防衛大臣とマルク・ルッテNATO事務総長はテレビ会談を行い、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分となるなか、日本とNATO、またNATOとIP4(Indo Pacific 4)(日豪ニュージーランド韓)との間の協力は戦略的に重要であると伝達し、これまで以上に協力を強化したい旨述べた。

また、2026年1月および2月にも、小泉防衛大臣とルッテ事務総長との会談を実施し、日NATO協力強化に向けて緊密なコミュニケーションのもとで、協力関係を一層推進していくことを確認した。

(8)EU

ア EUとの防衛協力・交流の意義

EU(European Union)は、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値を共有しており、2019年に「日EU戦略的パートナーシップ協定」の暫定適用を開始して以降、安全保障・防衛分野における協力を着実に発展させてきている。2021年には、「インド太平洋戦略に関する共同コミュニケーション」、2022年3月には、パートナー国との海軍演習や寄港・哨戒の頻度を向上させる方針を盛り込んだ「戦略的コンパス」が発表され、2024年11月には日EU安全保障・防衛パートナーシップが公表されるなど、EUのインド太平洋地域への関与が強化されているなか、防衛省・自衛隊は、同地域へのEUのコミットメントが不可逆的なものになるよう、積極的かつ主体的に協力を進めている。

参照I部3章9節2項2(EU)

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2024年11月の第1回日EU外相戦略対話の際に発表された日EU安全保障・防衛パートナーシップにおいて、日本とEUが、厳しさを増す安全保障環境に直面するなか、安全保障および防衛に関するあらゆる分野において、協力を更に発展強化するため、日EU局長級安全保障・防衛対話が立ち上げられた。2025年6月、その第1回目において、日EU双方は、サイバー、偽情報、宇宙、海洋安全保障、女性・平和・安全保障(WPS)、軍縮・不拡散などの分野で安全保障・防衛協力を具体化させるための議論を行った。

同年7月、中谷防衛大臣(当時)は、訪日中のカッラスEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長との間で会談を実施し、地域情勢について意見交換を行い、力または圧力による一方的な現状変更の試みに対して一層連携を強化していくことで一致した。

2026年2月、ミュンヘン安全保障会議参加のためドイツを訪問した小泉防衛大臣は、カッラスEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長との間で会談を実施し、日EU防衛協力・交流を一層深化させるとともに、ルールに基づく国際秩序の維持と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、緊密に連携していくことで一致した。

4 韓国
(1)韓国との防衛協力・交流の意義

韓国は、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国である。安全保障・防衛分野においても、北朝鮮の核・ミサイル問題をはじめ、テロ対策や、大規模自然災害への対応、海賊対処、海洋安全保障など、日韓両国を取り巻く安全保障環境が厳しさと複雑さを増すなか、日韓の連携は益々重要となっている。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年9月、中谷防衛大臣(当時)は、日本の防衛大臣として2015年以来約10年ぶりに韓国を訪問し、安圭伯(アン・ギュベク)韓国国防部長官と防衛相会談を行い、両国の防衛当局間での意思疎通を強化していくこととし、両閣僚の相互訪問および防衛相会談を含む両防衛当局間の定例協議や人的交流をさらに活性化することで一致した。そして、急変する安保環境の中で、日韓·日米韓安保協力を安定的に推進していくことが重要であり、両国の防衛協力関係を未来志向的に発展させていく必要性について一致した。特に、AI・無人システム・宇宙など先端科学技術分野において未来志向的かつ相互互恵的な協力の可能性を模索していくこととした。

同年11月、第12回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)出席のためマレーシアを訪問した小泉防衛大臣は、安圭伯国防部長官との間で初の防衛相会談を行った。両閣僚は、地域情勢について意見交換を行い、日韓・日米韓で引き続き緊密に連携していくことを確認した。

2026年1月、宮﨑防衛副大臣は、航空自衛隊那覇基地に初めて寄航した韓国空軍アクロバットチーム「ブラック・イーグルス」を歓迎した。「ブラック・イーグルス」は、航空自衛隊「ブルーインパルス」との間で初の部隊間交流を行い、日韓空軍種間の相互理解を深めた。

同月、小泉防衛大臣は、訪日した安圭伯国防部長官と横須賀において防衛相会談を行った。両閣僚は、日韓防衛協力・交流を安定的に推進していくことが重要である点で一致し、そのため、両閣僚の相互訪問および防衛相会談を毎年実施することとし、防衛当局間の意思疎通を強化していくことで一致した。そして、自衛隊と韓国軍の間の相互理解と信頼増進のため、人的交流および部隊交流を活性化することを確認した。同年5月、防衛大臣は、シンガポールで開催されたシャングリラ会合に際し、安圭伯国防部長官と日韓防衛相会談を行い、防衛当局間で活発な交流が実施されていることを歓迎し、このモメンタムを維持することで一致し、日韓・日米韓防衛協力を引き続き推進していく意思を改めて確認した。そして、6月には、海上自衛隊と韓国海軍との間で、約9年ぶりとなる日韓捜索・救難共同訓練を実施し、技量向上および連携強化を図った。

参照資料46(最近の日韓防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))

(3)日米韓の協力関係

日米韓3か国は、インド太平洋地域の平和と安定に関して共通の利益を有しており、機会をとらえて緊密な連携を図っていくことが、北朝鮮への対応を含めた様々な安全保障上の課題に対処するうえで重要である。

(3)日米韓の協力関係

2025年4月、韓国国防部において、日米韓3か国防衛当局による日米韓防衛実務者協議(DTT:Defense Trilateral Talks)ワーキンググループおよび机上演習(TTX:Table Top Exercise)が実施された。本協議を通じ、3か国の防衛当局は、3か国安全保障協力のモメンタムを維持し続けることを約束した。

同年7月、吉田統幕長(当時)は、金明秀(キム・ミョンス)韓国合同参謀議長(当時)、ケイン米国統合参謀本部議長とともに、第22回日米韓参謀総長等会議を開催し、朝鮮半島、インド太平洋およびそれを超える地域における安全保障上の課題に対応するため、日米韓3か国の緊密な協力の重要性を認識した。3者は、北朝鮮の脅威に対応するために引き続き協力していくことを約束した。

参照2章5節(日米共同訓練・演習など)資料54(最近の多国間ハイレベル交流の実績(2022年度以降)資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

5 カナダおよびニュージーランド

カナダおよびニュージーランドは、わが国と基本的価値を共有し、また、テロ対策や「瀬取り」対応などの非伝統的安全保障分野や国際平和協力活動を中心に、グローバルな安全保障上の共通課題に取り組むための中核を担っている。これらの国と防衛協力・交流を進展させることは、わが国がこうした課題に積極的に関与する基盤を提供するものであり、わが国とカナダ、ニュージーランドの双方にとって重要である。

参照2節(同志国との訓練・演習など)資料47(最近のカナダ、ニュージーランドとの防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

(1)カナダ

ア カナダとの防衛協力・交流の意義

カナダは、G7に参加し、同じ太平洋国家であるとともに、基本的価値を共有する包括的戦略的なパートナーである。2019年の防衛協力に関する共同声明や、日加ACSAの発効など、日加防衛当局間の関係は、ここ数年で飛躍的に深化してきた。

なお、カナダは2022年11月に「インド太平洋戦略」を発表し、FOIPへの支持のためインド太平洋地域に派遣する海軍艦艇を増加するなど、近年、同地域への関与を強めている。

参照I部3章9節3項4(カナダ)

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

石破内閣総理大臣(当時)は、2025年6月のG7カナナスキス・サミットの機会にカーニー・カナダ首相と日カナダ首脳会談を行った。また、高市内閣総理大臣は、同年11月のAPEC首脳会議の機会や2026年3月のカーニー首相の来日の機会に日カナダ首脳会談を行った。2026年3月の日カナダ首脳会談では、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮への対応などの地域情勢や、2026年1月に発効した情報保護協定や同月に署名した防衛装備品・技術移転協定などの法的基盤が整備されてきたことを踏まえ、共同訓練の更なる拡充などについて、引き続き緊密に連携していくことで一致した。また、同会談においては「日カナダ首脳声明」および「日カナダ包括的戦略的ロードマップ」を土台として、緊密に協力していくことで一致した。

(2)ニュージーランド

ア ニュージーランドとの防衛協力・交流の意義

ニュージーランドは、わが国と基本的価値を共有しており、戦略環境が厳しさを増すインド太平洋地域において、重要な戦略的協力パートナーである。防衛当局間においても、ハイレベル交流や共同訓練、部隊間交流などを活発に行っている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年6月、中谷防衛大臣(当時)は、第22回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)の機会に実施されたコリンズ・ニュージーランド国防大臣(当時)との防衛相会談において、防衛相会談を含む定期的なハイレベル交流や、2024年に実施した初の二国間共同訓練および太平洋島嶼国における連携を含め、二国間の協力の着実な協力・連携の強化を歓迎した。防衛大臣からは、引き続き、アセットの相互派遣や、その機会をとらえた共同訓練を通じた相互運用性の向上が重要である旨述べた。

同年11月、小泉防衛大臣は、ADMMプラスに際し、コリンズ国防大臣と会談を行い、ニュージーランド海軍がフリゲートを更新する意向を示していることを確認し、今後も緊密な意思疎通を行っていくことで合意した。

さらに、両大臣は同年12月に東京において防衛相会談を行い、同月に発生した中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射事案および中露爆撃機による共同飛行について強い懸念を共有するとともに、両者で緊密に連携していくことを確認した。

また、防衛相会談と同日に、茂木外務大臣とコリンズ国防大臣との間で日・ニュージーランドACSAおよび情報保護協定が署名された。

2026年2月、ミュンヘン安全保障会議参加のためドイツを訪問した小泉防衛大臣は、コリンズ国防大臣と会談を行い、両国の防衛協力・交流の進展を踏まえ、防衛装備にかかる協力も今後発展させる方向で一致した。また、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるとの認識のもと、IP4の一員としてニュージーランドと共にNATOや欧州諸国との協力を推進していくことを確認した。さらに、同年4月、小泉防衛大臣はペンク・ニュージーランド国防大臣とVTCで会談し、今後の防衛協力について意見交換した。また同年5月には初となる日豪ニュージーランド防衛相会談をシンガポールで実施し、包摂的で強靱な「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、3か国で協力していくことを確認した。会談ではニュージーランド政府がもがみ型護衛艦の能力向上型をアンザック級フリゲートの後継艦の候補の一つとして発表したことを歓迎した。

6 北欧・バルト諸国
(1)スウェーデン

ア スウェーデンとの防衛協力・交流の意義

日スウェーデン両国は、それぞれロシアの東西に位置しており、情勢認識や戦略的利益の点で共通点が多く、基本的価値を共有し、共に国際社会の諸課題に取り組む重要なパートナーである。スウェーデンとは、2022年12月には、北欧諸国で初となる防衛装備品・技術移転協定が締結されるなど、防衛協力・交流を進めている。また、近年、NATOとわが国の関係が強化されていることから、2024年にNATOへの新規加盟を果たしたスウェーデンとの防衛協力・交流の進展が見込まれる。2024年3月、スウェーデンは伝統的な軍事非同盟を見直し、NATOへの正式加盟を果たした。わが国は同志国間の連携がこれまで以上に重要になっているとの観点から、スウェーデンによる加盟を支持している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年10月、加野防衛審議官はボーリン・スウェーデン民間防衛大臣との間で、二国間防衛協力や安全保障環境を踏まえた両国の取組など、幅広い分野について意見交換を行った。

(2)デンマーク

ア デンマークとの防衛協力・交流の意義

デンマークは、基本的価値を共有する戦略的パートナーであり、ハイレベルの会談や研究交流などの防衛交流を積み重ねている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年10月、南雲統合作戦司令官(当時)は、ヘレビヤウ・デンマーク軍司令部統合作戦部長と懇談を行った。

統合作戦司令官は、自衛隊の領域横断作戦を含む統合作戦能力の強化および同盟国・同志国との連携強化により、抑止力・対処力を一層高めていくことを強調した。両者は、国際情勢および相互の地域情勢について認識を共有するとともに、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障がますます相互に連関し、日EU協力、日NATO協力の戦略的意義が拡大している状況も踏まえ、今後の日デンマークにおける防衛協力・交流の更なる深化について意見を交換した。

また、同年4月より、駐日デンマーク王国大使館に常駐の国防武官が初めて配置され、国防武官を通じた国防当局間の意思疎通が円滑化されている。

(3)ノルウェー

ア ノルウェーとの防衛協力・交流の意義

ノルウェーは、わが国と長い友好の歴史を有する価値や原則を共有する戦略的パートナーであり、2023年に日本とノルウェーとの間の戦略的パートナーシップを表明している。2024年には約40年ぶりに日ノルウェー防衛相会談が実施され、それ以降活発なハイレベル交流が行われている。

また、わが国は、F-35A戦闘機に搭載するスタンド・オフ・ミサイルであるJSM(Joint Strike Missile)をノルウェーから取得している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年4月、小林政務官(当時)は、ノルウェーを訪問し、ゲルハンセン・ノルウェー国防副大臣、ヤーレ国防装備庁長官と会談を実施し、地域情勢や、同年夏のノルウェー艦艇の日本初寄港、JSMの調達をはじめとする防衛協力について意見交換した。

同年8月、本田防衛副大臣(当時)は、訪日したフロム・ノルウェー王国国防副大臣と会談を行い、英空母打撃群(CSG)の一員として、初めてノルウェーがフリゲート艦「ロアール・アムンセン」をインド太平洋地域に派遣し、日本に寄港したことを歓迎した。会談では、二国間の防衛協力・交流について議論が行われ、両副大臣は、ハイレベル交流や部隊間交流、防衛装備・技術協力、宇宙協力、NATOを通じた協力など、様々な分野において、更なる防衛協力・交流を推進していくことで一致した。

(4)フィンランド

ア フィンランドとの防衛協力・交流の意義

フィンランドは、価値や原則を共有する戦略的パートナーであり、2019年に日フィンランド防衛協力・交流に関する覚書に署名している。また、近年、NATOとわが国の関係が強化されていることから、2023年にNATOへ新規加盟を果たしたフィンランドとの防衛協力・交流の進展が見込まれる。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年5月、吉田統幕長(当時)は、統幕長としては約7年ぶりにフィンランドを訪問し、ヤーッコラ・フィンランド国防軍司令官との会談を行い、国際情勢の変化を踏まえ、両国の防衛協力の更なる強化に向けて意見交換をした。

同年8月には本田防衛副大臣(当時)がフィンランドを訪問し、ハッカネン・フィンランド国防大臣と地域情勢や二国間防衛協力について意見交換を行い、防衛装備・技術協力を含む両国の防衛協力の更なる強化に向けて連携していくことで一致した。また、同年9月にはプルッキネン国防次官が訪日し、加野防衛審議官との意見交換を行い、引き続き幅広い分野において両国の更なる関係強化を図ることで一致した。

(5)エストニア

エストニアは、基本的価値を共有するパートナーである。世界有数のIT立国として先進的な取組を行っており、防衛省・自衛隊との間でサイバー防衛分野における協力が進展している。また、国内にNATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE:Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence)を擁し、同センターには防衛省職員を派遣しているなど、日NATO協力の観点からも重要な役割を担っている。

これまで、在フィンランド防衛駐在官がエストニアを兼轄していたところ、2025年3月より、新たに防衛駐在官を派遣している。

(6)ラトビア

ア ラトビアとの防衛協力・交流の意義

ラトビアは、価値や原則を共有するパートナーである。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分という認識が同志国間で広がるなか、FOIPの実現に向けた連携やEU、NATOなどを通じた協力が重要となってきている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

(7)リトアニア

ア リトアニアとの防衛協力・交流の意義

リトアニアは、戦略的パートナーであり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、連携を深めている。リトアニアは2023年に「インド太平洋戦略」、2025年5月に「インド太平洋地域における防衛・安全保障への関与戦略」を策定している。また、2023年には日リトアニア防衛協力・交流に関する覚書に署名しており、本覚書に基づき防衛協力・交流を推進している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年5月、中谷防衛大臣(当時)とシャカリエネ国防大臣(当時)との間で防衛相会談を実施し、ハイレベル交流、サイバー分野における協力、情報分野での実務者レベルでの交流、教育交流、ウクライナ支援など、様々な分野で二国間防衛協力・交流が進展していることを高く評価し、引き続き推進することで一致した。

参照資料45(最近の欧州諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))

7 中東欧諸国
(1)ウクライナ

ア ウクライナとの防衛協力・交流の意義

ウクライナは、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有するパートナーである。

2022年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナの主権および領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国連憲章を含む国際法の深刻な違反であるとともに、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、断じて認められない。こうした立場のもと、わが国は、国際社会と結束し、断固たる決意で対応に当たっている。

2024年6月、岸田内閣総理大臣(当時)は、イタリアにおいて、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と首脳会談を行い、「日本国政府とウクライナとの間のウクライナへの支援および協力に関するアコード」に署名した。また、同年11月、安保・防衛分野において独自の経験と知見を有するウクライナとの間で情報共有の拡大・促進を進めるため、駐ウクライナ日本国大使とウクライナ保安庁第一副長官との間で日ウクライナ情報保護協定の署名が行われた。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

防衛省・自衛隊においては、2023年5月、G7広島サミットに際し行われた日ウクライナ首脳会談に基づき、翌月、費用を原則日本側が負担するかたちで、下腿切断(膝から下の足が切断された状態)のウクライナ負傷兵2名を自衛隊中央病院に受け入れた。2025年3月以降は新たに防衛医科大学校病院および自衛隊入間病院への受入れ、同年7月以降は下腿を含む下肢切断に加えて上肢切断の負傷兵の受入れもそれぞれ開始し、2026年3月末現在で合計18名の負傷兵を受け入れるなど、国際社会と緊密に連携しながら、ウクライナを最大限支援している。

2023年12月から、防衛省・自衛隊は、欧州などの有志国が参加するウクライナ支援のための「地雷除去コアリション11」および「ITコアリション12」へ参加している。「地雷除去コアリション」に関して、2025年11月から12月にかけて、リトアニアにおいて同国と北欧5か国が共同で実施した、ウクライナ兵に対する人道地雷除去に関する教育訓練課程へ、陸上自衛隊の教官2名を派遣した。本教育支援を通じて、ウクライナ軍の地雷除去分野の能力向上に寄与することで、困難に直面するウクライナの方々に対する人道支援の推進に貢献した。また、同年12月、「ITコアリション」において、防衛省・自衛隊のサイバーセキュリティにかかる知見を共有するためのワークショップを実施した。本教育支援を通じて、ウクライナ軍のITに関する能力の向上と「ITコアリション」の参加国である欧州諸国との関係強化に貢献した。

参照IV部3章3節1項6(ウクライナ)

(2)チェコ

ア チェコとの防衛協力・交流の意義

チェコは、価値と原則を共有する戦略的パートナーである。2017年に中東欧諸国との間では初となる防衛協力・交流に関する覚書が署名された。また、国家防衛戦略では、チェコを含む中東欧諸国との連携を強化していくことが明記されている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年7月、石破内閣総理大臣(当時)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のナショナルデー行事に出席するため訪日したペトル・パヴェル・チェコ共和国大統領と会談を行った。総理大臣からは、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との共通認識のもと、二国間・国際場裏の双方で緊密に連携したい旨述べた。両者は、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮への対応をはじめとするインド太平洋情勢や、ウクライナ情勢についても意見交換を行い、両国が緊密に連携していくことで一致した。

(3)ポーランド

ア ポーランドとの防衛協力・交流の意義

ポーランドは、価値と原則を共有する戦略的パートナーである。同国との間では、戦略的パートナーシップに関する行動計画に基づき、政治・安全保障の分野を含めた協力が進められている。2022年には、日ポーランド防衛協力・交流に関する覚書が署名された。また、国家防衛戦略では、ポーランドを含む中東欧諸国との連携を強化していくことが明記されている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2026年2月、宮﨑防衛副大臣は、ポーランド国防省を訪問し、ザレフスキ・ポーランド国防大臣との会談を行った。欧州・大西洋およびインド太平洋の安全保障が不可分な現在の国際情勢下での二国間の防衛協力・交流、地域情勢、ウクライナ支援などについて意見交換を行い、様々な分野での二国間の防衛協力・交流を一層推進していくことで一致した。また、ポーランド国内にあるウクライナ支援拠点を視察し、同施設の取組などについて説明を受けた。

(4)ルーマニア

ルーマニアは、戦略的パートナーであり、ロシアによるウクライナ侵略など、厳しさを増す安全保障環境を受け、両国間における安全保障分野での対話を強化することとしている。

参照資料45(最近の欧州諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降)

8 東南アジア諸国(ASEAN諸国)
(1)ASEAN諸国との防衛協力・交流の意義

ASEAN(Association of Southeast Asian Nations)諸国は、高い経済成長を続けるなど、世界の「開かれた成長センター」としての高い潜在性を有している。また、わが国のシーレーンの要衝を占めるなど戦略的に重要な地域に位置し、わが国および地域全体の平和と繁栄の確保に重要な役割を果たしている。

こうしたASEAN諸国の重要性を踏まえれば、防衛省・自衛隊が、地域協力の要となるASEANの中心性・一体性・強靱性の強化を支援しつつ、ASEAN諸国それぞれとの間で防衛協力・交流を強化することは、FOIPの実現において大きな意義を有する。また、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出することにもつながるものである。

わが国は、このような考えに基づき、ASEAN諸国との間でハイレベル・実務者レベル交流を通じ、信頼醸成や相互理解の促進を行っている。また、能力構築支援や共同訓練、防衛装備・技術協力などを推進している。さらに、二国間協力に加え、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス:ASEAN Defence Ministers' Meeting Plus)やASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)といった多国間の枠組みでの協力も行っている。

参照3項(多国間安全保障協力の推進)4項(能力構築支援への積極的かつ戦略的な取組)2節(同志国との訓練・演習など)資料48(最近のASEAN諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料54(最近の多国間ハイレベル交流の実績(2022年度以降)資料58(ビエンチャン・ビジョン2.0)資料59(防衛協力強化のための日ASEAN大臣イニシアティヴ(ジャスミン))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度))

(2)インドネシア

ア インドネシアとの防衛協力・交流の意義

インドネシアは、ASEANでリーダーシップを発揮する域内の大国であり、わが国と基本的価値を原則共有する包括的・戦略的パートナーである。マラッカ海峡など海上交通の要衝に位置し、2015年の日インドネシア首脳会談において、海洋と民主主義に支えられた戦略的パートナーシップの強化で一致して以降、日インドネシア「2+2」を開催するなど、様々なレベルと分野で防衛協力・交流が活発に行われており、2021年には防衛装備品・技術移転協定を締結した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年11月に実施された、第3回日インドネシア「2+2」において、四大臣は、厳しさを増している現下の安全保障環境への認識を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化すべく、二国間の安全保障・防衛協力や地域情勢・国際場裏における協力を更に強化していくことを確認した。前回の「2+2」以降、日本からインドネシアに対する政府安全保障能力強化支援(OSA:Official Security Assistance)13による高速警備艇供与などの協力が進展していることを歓迎し、今後も海洋安全保障分野における協力を拡大していくことで一致した。さらに、防衛装備品・技術移転協定に基づく防衛装備品・技術協力を含む防衛当局間の議論を前進させていくことや、二国間の連携を深めるため、軍事情報の保護のあり方について、防衛当局間で議論を開始することで一致した。また同日実施された防衛相会談においては、両大臣による閣僚級対話のもと、装備・技術協力を含む政策面における次官級の「防衛戦略対話」および運用面における統幕長とインドネシア国軍司令官のハイレベル対話を早期に立ち上げ、いわば統合防衛対話メカニズムのもとで、スピード感をもって両国の協力を具体化していくことで一致した。

同年12月に実施された、日インドネシア防衛相テレビ会談において、小泉防衛大臣からシャフリィ・インドネシア国防大臣に対し、同月発生した中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射事案や中露爆撃機による共同飛行について説明し、強い懸念を伝達するとともに、インド太平洋地域の平和と安定に向け、共に取り組んでいくことで一致した。2026年5月、小泉防衛大臣はインドネシアを訪問し、シャフリィ国防大臣との間で、2015年に署名した防衛協力の覚書を拡充した「防衛協力取決め(DCA)」に署名した。また、シャフリィ国防大臣との防衛相会談では、両国の防衛面における協働を統合的・包括的な形で拡大・深化させるため、「統合防衛対話メカニズム」を立ち上げ、閣僚級対話のもと、次官級の防衛戦略対話及び統合幕僚長のハイレベル対話を実施していくことや、新たな装備移転制度を踏まえ、両大臣の下にワーキンググループを設置し、海洋抑止力の向上に資する防衛装備・技術分野の協力について議論を深めていくことなどで一致した。

日インドネシア「2+2」

日インドネシア「2+2」

(3)カンボジア

ア カンボジアとの防衛協力・交流の意義

カンボジアは、1992年にわが国として初めて国連PKO(Peacekeeping Operations)に自衛隊を派遣した国である。また、2013年から能力構築支援を開始するなど、両国間での防衛協力・交流は着実に進展している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

(4)シンガポール

ア シンガポールとの防衛協力・交流の意義

シンガポールは、2009年に東南アジア諸国の中で最初に、わが国との間で防衛交流に関する覚書(2022年改定)に署名した国である。以後、この覚書に基づき、各種協力関係が着実に進展しており、2023年には、防衛装備品・技術移転協定が発効した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年5月、中谷防衛大臣(当時)は同国で開催されたシャングリラ会合に際し、チャン・シンガポール国防大臣と防衛相会談を実施し、同年1月にシンガポール軍が降下訓練に初めて参加したことなど、部隊間交流の促進を歓迎した。また、8月、若宮防衛大臣補佐官(当時)は、ザキー・シンガポール国防担当上級国務大臣との間で意見交換し、防衛装備・技術協力を含む防衛分野についても協力を強化していきたい旨述べた。

また、11月にはADMMプラスの機会を捉え、小泉防衛大臣とチャン大臣による初の防衛相会談を行い、小泉防衛大臣から2026年に日・シンガポール外交樹立60周年を迎えるにあたり、防衛分野においても協力を強化したい旨述べた。両大臣は、二国間の防衛交流の架け橋となる防衛大学校への留学生の受入れなどの人的交流およびハイレベル交流を中心とした緊密な意思疎通や、部隊運用や訓練に際しての両国運用当局間の緊密な連携を歓迎し、今後二国間の防衛協力を様々な分野において一層強化していくことで一致した。

また、2026年3月には第20回日シンガポール防衛当局間(MM)協議を実施し、地域情勢などについて意見交換を行うとともに、今後の日シンガポール防衛協力・交流などについて議論を深めた。

(5)タイ

ア タイとの防衛協力・交流の意義

タイとの間では、早くから防衛駐在官の派遣や防衛当局間協議を開始するなど、伝統的に良好な関係のもと、長きにわたる防衛協力・交流の歴史を有している。また、防衛大学校において、1958年に初めて外国人留学生として受け入れたのがタイ人学生であり、その累計受入れ数も最多となっている。

2022年5月、防衛装備品・技術移転協定が発効するとともに、同年11月、両国の関係を包括的戦略的パートナーシップに格上げし、両国の安全保障協力深化に向けた協議を加速させている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

(6)東ティモール

2025年10月、東ティモールは、ASEANに正式に加盟した。2015年から、ハリィ・ハムトゥック演習において、防衛省・自衛隊は、継続してオーストラリア、米国、ニュージーランド(ニュージーランドは2021年以降)と共に東ティモール国防軍に対して施設分野にかかる技術指導を実施するなど、引き続き、防衛協力・交流を進めている。

(6)東ティモール

(7)フィリピン

ア フィリピンとの防衛協力・交流の意義

フィリピンは、南シナ海やルソン海峡といったわが国にとって重要なシーレーンに面しており、フィリピンとの連携および同国の沿岸監視能力や海洋状況把握(MDA:Maritime Domain Awareness)能力の強化は、これらのシーレーンの安全を確保するうえで重要である。米国の同盟国でもあるフィリピンとの間では、ハイレベル交流のほか、艦艇の訪問や防衛当局間協議をはじめとする実務者交流、軍種間交流が頻繁に行われている。

中古装備品の無償譲渡や警戒管制レーダーの移転などの防衛装備・技術協力やOSAに基づく協力が進展している。

2023年2月には、「防衛省とフィリピン国防省との間のフィリピンにおける自衛隊の人道支援・災害救援活動に関する取決め14」が署名されたほか、2025年9月には、日・フィリピン円滑化協定(RAA)が発効するなど、両国の安全保障協力が着実に深化している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年4月、石破内閣総理大臣(当時)はフィリピンを訪問し、マルコス・フィリピン共和国大統領と会談を行い、日比ACSAの締結に向けた交渉を開始することで一致した。また、両首脳は情報保護協定の早期締結の重要性を確認し、政府間での議論を行っていくことで一致した。

2025年9月、日比RAAが発効し、同年10月にフィリピンにおいて実施された日・フィリピン人道支援・災害救援共同訓練「ドウシン・バヤニハン」には、同協定が初めて適用された。また、同年9月30日深夜に発生したセブ州島沖地震対応のため、フィリピン側の要請を受け、当該共同訓練の機会に、自衛隊がフィリピン国内で救援物資の輸送支援を行った。

日比RAAを活用することにより、両国の共同演習や災害救援などの実施が円滑化されるとともに、両国部隊間の相互運用性が向上することが期待される。

同年10月、高市内閣総理大臣は、マルコス大統領と首脳会談を行い、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、戦略的パートナーであるフィリピンとの関係を一層強化していきたい旨を述べた。安全保障分野に関し、両首脳は、日比ACSAが実質合意に至ったことを歓迎した。両首脳は、2026年が国交正常化70周年の節目の年であり、フィリピンがASEAN議長国を務めることも踏まえ、南シナ海情勢、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮への対応、ミャンマー情勢、カンボジア・タイ国境情勢といった国際社会の諸課題への対応にあたり、引き続き緊密に連携していくことで一致した。

同年11月、第12回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)に際して、小泉防衛大臣は、ヘグセス米戦争長官、マールズ豪副首相兼国防大臣およびテオドロ・フィリピン国防大臣との間で4か国防衛相会談を実施し、海空域における様々な活動を深化させ、地域における抑止力・対処力を高めていくことの重要性などについて確認した。

2026年1月には、茂木外務大臣とラザロ・フィリピン外務大臣との間で、日比ACSAが署名された。

同年5月、小泉防衛大臣はフィリピンを訪問してテオドロ国防大臣と防衛相会談を実施し、情報共有の制度的枠組を含めた関連制度を迅速に構築し、議論を進めていくことや、二国間での連携に加え、日米比、日米豪比、ASEANなどでの多国間における協力の強化などで一致した。また、テオドロ国防大臣からは新たな防衛装備移転制度への支持と期待が示され、両大臣は「防衛装備・技術協力のさらなる推進に関する日・フィリピン防衛相の声明」に署名した。

両大臣は米比主催多国間共同訓練「バリカタン26」を視察し、自衛隊が日比RAAを適用して地対艦ミサイルの実射訓練を実施したことは、両国の防衛面での連携の深化を象徴するものであるとの認識を共有した。

参照IV部3章3節1項7(ASEAN諸国)

(8)ブルネイ

ブルネイとの間では、2023年に防衛協力・交流に関する覚書に署名しており、ハイレベルを含む各種交流や艦艇などの寄港(航)、共同訓練などを通じ、両国防衛当局間の関係を一層強化していくことに合意している。

(8)ブルネイ

(9)ベトナム

ア ベトナムとの防衛協力・交流の意義

南シナ海の沿岸国であるベトナムとの間では、日越二国間だけではなく、地域や国際社会の平和と安定により積極的に貢献するための「新たな段階に入った日越防衛協力」のもと、ハイレベル交流などを推進している。2023年11月には、両国の関係を、アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップに発展することとし、安全保障分野では、防衛装備移転に向けた手続を着実に進めることの重要性やOSAについて議論することで一致するなど、防衛協力・交流をさらに拡大している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年4月、石破内閣総理大臣(当時)はベトナムを訪問し、チン・ベトナム首相と会談を行った。会談では、両国の安全保障協力進展を歓迎するとともに、戦略的意思疎通の強化のため、外務・防衛次官級協議(次官級「2+2」)を創設することで一致した。

これを受け、同年12月、東京において日・ベトナム外務・防衛次官級協議(次官級「2+2」)が開催された。本協議では、「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」のもと、安全保障分野の協力を具体化させていくことを確認し、人材交流や人道支援・災害救助活動にかかる協力、OSA、防衛装備・技術協力などについて議論した。両者は、両国の外交・安全保障政策および東シナ海・南シナ海情勢、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮への対応を含む地域情勢について幅広く意見交換を行い、地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増すなか、「インド太平洋ASEANアウトルック(AOIP:ASEAN Outlook on the Indo-Pacific)」と連携する形で、法の支配に基づくFOIPの実現の重要性について確認した。2026年5月、高市内閣総理大臣はベトナムを訪問し、ラム党書記長兼国家主席や、フン首相と首脳会談を行った。会談では、次官級「2+2」を含む安全保障分野における協議・交流の進展を歓迎するとともに、安全保障協力を一層進めることで一致した。

(10)マレーシア

ア マレーシアとの防衛協力・交流の意義

マレーシアは、マラッカ海峡および南シナ海という海上交通の要衝に位置する。マレーシアとの間では、防衛協力・交流に関する覚書への署名、防衛装備品・技術移転協定の締結のほか、2023年12月には、両国の関係を包括的・戦略的パートナーシップに格上げし、両国の安全保障協力をさらに推進することとしている。また、近年は海軍種間での協力が深化しており、2024年2月の初の共同訓練を皮切りに、2025年11月には第7回の共同訓練を実施した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年10月、高市内閣総理大臣は、日ASEAN首脳会談に出席するため、マレーシアを訪問し、アンワル・マレーシア首相と会談を実施した。両首脳は、安全保障分野での協力として、OSAを通じて、日本からマレーシアに対し、無人航空機(UAV)と救難艇を引き渡したほか、新たに潜水作業支援船や停戦監視用機材の供与に合意したことを歓迎した。

(11)ミャンマー

2021年に発生した国軍によるクーデターを受け、同年、わが国は米国を含む12か国の参謀長などとの連名により、国軍や関連する治安機関による民間人への軍事力の行使を非難し、国軍に対して暴力を停止するよう求める声明を発出した。

(12)ラオス

ア ラオスとの防衛協力・交流の意義

ラオスとの間では、2019年に防衛協力・交流に関する覚書に署名しており、HA/DR分野をはじめ幅広い分野で防衛協力・交流を進めていくこととしている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年11月、小泉防衛大臣は、カムリエン・ラオス国防大臣と防衛相会談を行った。本会談において、防衛分野における協力・交流に関する覚書の改訂版に署名を行い、防衛大臣からは、同年、外交関係樹立70周年を機に「包括的・戦略的パートナーシップ」へ格上げされた両国の防衛協力を、さらに強化していくべきとの考えを述べた。

9 その他アジア諸国
(1)モンゴル

ア モンゴルとの防衛協力・交流の意義

モンゴルとの関係は、2022年に平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップに格上げされており、防衛協力・交流についても幅広い分野で進展している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)その他のアジア諸国との主要な防衛協力・交流実績など

2025年11月、衛生分野の能力構築支援事業として、カザフスタンで同国陸軍に対し、救命率向上のためのダメージコントロール手術の訓練に関する講義や実習を行った。

参照資料49(最近のアジア諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

10 太平洋島嶼国
(1)太平洋島嶼国との防衛協力・交流の意義

太平洋島嶼国は、法の支配に基づく自由で開かれた持続可能な海洋秩序の重要性についての認識を、海洋国家であるわが国と共有するとともに、わが国と歴史的にも深い関係を持つ重要な国々である。また、わが国とオーストラリアを結ぶシーレーン、インド洋から南シナ海を抜け太平洋に至るシーレーンが交わる戦略的要衝に位置する。

わが国は、太平洋島嶼国との間で定期的に太平洋・島サミット(PALM:Pacific Islands Leaders Meeting)や日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD:Japan Pacific Islands Defense Dialogue)を開催している。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

2026年2月、防衛省は第3回目となる日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD:Japan Pacific Islands Defense Dialogue)を主催し、本会合には太平洋島嶼国のうち軍隊を保有するトンガ、パプアニューギニアおよびフィジーの3か国に加え、軍隊を保有しない太平洋島嶼国11か国も参加し、合計28か国と1機関の参加を得た。小泉防衛大臣の基調講演では、自律的で強靭な地域を共に築くため、「人と人の連結」、「危機対応の連結」、「強靱性の連結」の3つの分野で連結を強化していくことを呼びかけた。

防衛省・自衛隊は、軍隊を保有する国に限らず、軍隊を保有しない国との間でもJPIDDなどの機会を通じて相互理解を深めるとともに、共同訓練や乗艦協力プログラムなどを通して協力を実施してきている。

参照3項(多国間安全保障協力の推進)4項(能力構築支援への積極的かつ戦略的な取組)2節(同志国との訓練・演習など)4節4項(海洋安全保障の確保)資料50(最近の太平洋島嶼国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

11 インド洋沿岸国・中東諸国
(1)インド洋沿岸国・中東諸国との防衛協力・交流の意義

インド洋沿岸・中東地域の平和と安定は、シーレーンの安定的利用やエネルギー・経済の観点から、わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要であり、防衛省・自衛隊としても、同地域の国と協力関係の構築・強化を図るため、ハイレベル交流や部隊間交流を進めている。

参照資料51(最近のインド洋沿岸国・中東諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

(2)スリランカ

ア スリランカとの防衛協力・交流の意義

スリランカは、インド洋のシーレーン上の要衝に位置する重要国であり、近年、同国との防衛協力・交流を強化している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2026年3月、小泉防衛大臣は東京でジャヤセーカラ・スリランカ国防副大臣と会談を行い、両者は、国際社会が新たな危機の時代に直面するなか、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日スリランカ両国が防衛面で連携を強化する重要性を確認した。また、スリランカが戦略的に重要な位置にあることを踏まえ、海洋安全保障を含む防衛協力・交流の進展を歓迎するとともに、今後、両国の防衛協力を更に強化していくことで一致した。

(3)パキスタン

パキスタンは、南アジア、中東、中央アジアの連接点に位置し、わが国にとって重要なシーレーンにも面しているなど、インド太平洋地域の安定にとって重要な国家である。また、同国は、伝統的にわが国と友好的な関係を有する親日国でもあり、そのような観点から、同国との防衛協力・交流を推進している。

(4)バングラデシュ

ア バングラデシュとの防衛協力・交流の意義

バングラデシュは、南アジア、東南アジアの連接点に位置し、わが国にとって重要なシーレーンにも面しているなど、インド太平洋地域の安定にとって重要な国家である。2023年、両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げするとともに、防衛協力・交流覚書に署名し、防衛装備品・技術移転協定が締結されるなど、安全保障協力を一層強化することとしている。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年5月、石破内閣総理大臣(当時)は、モハマド・ユヌス・バングラデシュ人民共和国暫定政府首席顧問(当時)と会談を実施した。会談では、「戦略的パートナーシップ」のもと、二国間関係を発展させていくとともに、FOIPの実現に向けて一層協力することで一致した。また、安全保障面での協力も進展しており、2026年2月には、防衛装備品・技術移転協定が発効した。これにより、日・バングラデシュ間の、より緊密な防衛装備協力およびわが国の防衛産業の生産・技術基盤の維持・向上に寄与することが期待される。

(5)モルディブ

モルディブは、インド洋上の戦略的要衝に位置し、わが国にとって重要なシーレーンにも面しているなど、インド太平洋地域の安定にとって重要な国家である。過去20年以上にわたり、国連PKOや海賊対処部隊への物資輸送の中継地として空自輸送機などが寄航するとともに、派遣海賊対処行動水上部隊、同航空隊などの進出・帰投時における重要な補給地点でもある。2026年3月には、中東地域の情勢悪化を受けた邦人等の輸送準備のために、空自輸送機が同国で待機した。同国とは、海洋安全保障分野などにおける防衛当局間の交流を推進することとしている。

(5)モルディブ

(6)アラブ首長国連邦

アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates)との間では、2018年に防衛交流に関する覚書が署名された。これ以降、防衛大臣や統幕長などによるハイレベル交流や防衛当局間協議の定期開催、空軍種間協力などを通じて、二国間防衛協力・交流を深化し続けている。

2024年1月には、中東地域の国との間では初めてとなる防衛装備品・技術移転協定が発効した。

(6)アラブ首長国連邦

2025年12月、東京において、第4回日UAE防衛当局間(MM)協議が開催され、地域情勢などについて意見交換を行った。

(7)イスラエル

イスラエルとは、2022年に行った日イスラエル防衛相会談の際に、防衛協力・交流に関する覚書の改訂版に署名し、防衛装備・技術協力や軍種間協力を含む両国間の防衛協力・交流を引き続き強化していくことで一致している。

(8)イラン

イランとの間では、防衛大臣などのハイレベル交流の機会を通じ、中東地域における日本関係船舶の安全確保を目的とした自衛隊による情報収集活動の延長などについて説明するとともに、防衛当局間の意思疎通を継続していくことで一致している。

(9)エジプト

エジプトとの間では、ハイレベル交流を通じて、PKOを含む分野における二国間防衛協力・交流の推進の重要性について確認している。

(10)オマーン

オマーンとの間では、2019年に防衛協力に関する覚書が署名された。ハイレベル交流のほか、海自艦艇の寄港・訓練を含む海軍種間協力を継続している。

(10)オマーン

2025年5月、東京において、第2回日オマーン防衛当局間(MM)協議が開催され、日オマーン間の安全保障協力や地域情勢などについて意見交換を行った。

(11)カタール

カタールとの間では、2015年に防衛交流に関する覚書が署名された。2023年、両国間の関係が「戦略的パートナーシップ」に格上げされ、防衛当局間協議を含め安全保障分野での協力をさらに深めていくとされている。

(11)カタール

2025年9月、東京において、第2回日カタール防衛当局間(MM)協議が開催され、地域情勢などについて意見交換を行った。

(12)サウジアラビア

サウジアラビアとの間では、2016年に防衛交流に関する覚書が署名された。2023年にはハーリド・サウジアラビア国防大臣が訪日し、防衛相会談を行うなど、防衛協力・交流を継続的に深化させている。

(13)トルコ

トルコとの間では、2012年に防衛協力・交流の意図表明文書が署名された。

(13)トルコ

2025年8月、中谷防衛大臣(当時)は、日本の防衛大臣として初めてトルコを訪問し、ギュレル・トルコ国防大臣と防衛相会談を実施した。両大臣は、日トルコ間の防衛協力・交流をハイレベル・実務者・部隊・装備当局間などで幅広く積み重ね、両国の防衛協力関係を強化していくことで一致した。また、この訪問の機会に防衛大臣は、ギョルギュン・トルコ国防産業庁長官とも懇談を行い、防衛装備・技術協力の今後の潜在的な協力可能性について意見交換をした。

(14)バーレーン

バーレーンとの間では、2012年に防衛交流に関する覚書が署名され、ハイレベル交流などを行ってきたところ、2023年に同覚書を改定し、両国の防衛協力・交流を一層推進することとしている。

(14)バーレーン

2025年9月、石破内閣総理大臣(当時)は、訪日したサルマン・バーレーン王国皇太子兼首相殿下と会談を行った。両者は、今般、両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げしたことは意義深く、今後二国間関係や安全保障を含む多様な分野での協力を拡大していきたい旨述べた。

(15)ヨルダン

ヨルダンとの間では、2016年に防衛交流に関する覚書が署名され、外務・防衛当局間(PM)協議を継続的に開催している。

(15)ヨルダン

2025年8月、中谷防衛大臣(当時)は、ヨルダンのハッサン首相兼国防大臣と会談を行い、防衛大臣は、自衛隊の在外邦人等輸送などに対するヨルダンからの支援に謝意を表明し、両大臣は今後の防衛交流を一層進展させていくことで一致した。

12 アフリカ諸国
(1)アフリカ諸国との防衛協力・交流の意義

アフリカ諸国は、国際社会において、その重要性と発言力を高めている。

アフリカ連合(AU:African Union)など多国間枠組みにより、地域の平和と安定に向けた積極的な取組が見られる一方、深刻な格差や貧困、政情不安といった課題に加え、近年は、パンデミック、ロシアによるウクライナ侵略といった複合的な危機による影響や、気候変動の影響(自然災害、食糧危機など)もあり、こうした地球規模の課題において、アフリカ諸国と協力することが、自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、ますます重要になっている。

防衛省・自衛隊は、アフリカ地域における国際平和協力活動、ジブチを拠点としたソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動に従事するほか、アフリカ諸国の平和維持活動に関する自助努力を支援するため、アフリカに所在するPKO訓練センターに自衛官を講師として派遣するなど、アフリカ地域の平和と安定に寄与するための活動を行っている。

参照3節2項(国連PKOなどへの取組)1章1節2項7(1)(海賊対処の取組)資料52(最近のその他の諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))

(2)ジブチ

ア ジブチとの防衛協力・交流の意義

ジブチは、海賊対処のため、海外で唯一自衛隊の拠点が存在する重要な国家である。同拠点は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS:United Nations Mission in the Republic of South Sudan)派遣部隊への物資の輸送に活用されたほか、わが国がジブチに対して行っている能力構築支援事業における教育の際にも活用されている。

また、2025年6月から7月には中東地域の情勢悪化を受け、邦人等の輸送が必要になった場合に迅速に対応できるよう、ジブチ拠点が輸送機の前進待機場所として活用された。

国家安全保障戦略などでは、ジブチ政府の理解を得つつ、今後、在外邦人等の保護措置および輸送など、アフリカ諸国などにおける運用基盤強化のため、本活動拠点を長期的・安定的に活用することとしており、2023年12月、ジブチにおいて、在外邦人等の保護措置および輸送やその可能性を見据えた臨時の態勢の整備を行う自衛隊の地位を確保するため、日ジブチ地位取極15を準用する内容の交換公文をジブチ政府との間で締結した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年8月、中谷防衛大臣(当時)は、ハッサン・ジブチ共和国国防大臣代行との会談において、わが国にとってジブチ共和国はFOIPを実現するための極めて重要なパートナーである旨を述べ、自衛隊が海賊対処行動や中東地域における情報収集活動、在外邦人等輸送などを実施する際において不可欠な、同国における自衛隊の拠点の土地提供など自衛隊の活動に関するジブチ軍を含む同国政府からの長年にわたる支援に対する感謝を述べた。両大臣は、地域の平和と安定のため、日本とジブチが防衛協力・交流を深化させる重要性について一致し、これまで実施してきた災害対処能力向上の能力構築支援事業に加え、軍楽隊の育成事業を2025年より開始することで合意した。

(3)その他のアフリカ諸国との主要な防衛協力・交流実績など

(3)その他のアフリカ諸国との主要な防衛協力・交流実績など

13 中南米諸国
(1)中南米諸国との防衛協力・交流の意義

中南米諸国には、太平洋に面する国やわが国と基本的価値を共有する国が多く存在しており、防衛省・自衛隊は防衛当局間などの協議などを通じて、そのような国々との防衛協力・交流を推進している。

(2)チリ

ア チリとの防衛協力・交流の意義

チリは、戦略的パートナーであり、2025年に防衛協力・交流に関する覚書が署名された。ハイレベル交流のほか、海自艦艇の寄港・訓練を含む海軍種間協力を継続している。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年8月、小林防衛大臣政務官(当時)は、チリを訪問し、デルピアノ・チリ国防大臣との懇談を行い、防衛協力・交流に関する覚書の署名・交換式を実施した。懇談では、防衛当局間の緊密なコミュニケーションを継続するとともに、様々な分野の防衛協力・交流を一層発展させていくことで一致した。

同月、海自遠洋練習航海部隊が、バルパライソに寄港し、チリ海軍と親善訓練を行うとともに、スポーツ交歓など各種行事を実施した。

(3)ブラジル

ア ブラジルとの防衛協力・交流の意義

ブラジルは、価値や原則を共有する戦略的グローバル・パートナーである。同国との間では、2020年に防衛協力・交流に関する覚書に署名した。2025年3月、ルーラ大統領が訪日し、石破内閣総理大臣(当時)と会談を行い、外務・防衛当局間で行う外交政策と防衛交流に関する対話メカニズム「日・ブラジル外務・防衛対話」を設置するとともに、防衛人材交流や部隊間交流を推進することなどを決定した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年8月、小林防衛大臣政務官(当時)は、ブラジルを訪問し、アギアル・フレイレ・ブラジル統合参謀総長とベッテガ・ブラジル海軍参謀総長との懇談を行った。懇談では、今後も様々な分野において防衛協力・交流を一層深化させることで一致した。また、本訪問に合わせ、第1回日・ブラジル外務・防衛対話を開催し、両国の地域情勢、防衛分野での協力など、幅広い分野で意見交換し、戦略的グローバル・パートナーシップのもと、日ブラジル協力を推進させることを確認した。

このほか、海自遠洋練習航海部隊が、同年8月にサントス、9月にフォルタレザにそれぞれ寄港し、ブラジル海軍と親善訓練を実施するとともに、ブラジル海軍士官とのスポーツ交流、艦艇研修など各種交流を行った。

(4)ペルー

ア ペルーとの防衛協力・交流の意義

ペルーは、基本的価値を共有する戦略的パートナーである。2024年、石破内閣総理大臣(当時)は、APEC首脳会議に際し、ペルーを公式訪問し、ボルアルテ・ペルー大統領(当時)と首脳会談を行った。両首脳は、当該首脳会談に先立って署名された日ペルー防衛協力・交流に関する覚書に基づき、二国間の防衛協力・交流を推進することで一致した。

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

イ 最近の主要な防衛協力・交流実績など

2025年7月、海自遠洋練習航海部隊が、カヤオ沖において、ペルー海軍と親善訓練を実施した。

同年10月、第1回日ペルー合同委員会を開催し、地域情勢や両国の防衛政策などについて意見交換を行うとともに、今後の日ペルー防衛協力・交流について議論を深めた。

(5)その他の中南米諸国との主要な防衛協力・交流実績など

(5)その他の中南米諸国との主要な防衛協力・交流実績など

参照資料52(最近のその他の諸国との防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))資料61(多国間共同訓練の参加など(2022年度以降))

14 中国
(1)中国との防衛協力・交流の意義

わが国は、中国との間で、「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、様々なレベルの意思疎通を通じ、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力をしていくといった、「建設的かつ安定的な関係」を構築していく。

防衛省・自衛隊は、中国がインド太平洋地域の平和と安定のために責任ある建設的な役割を果たし、国際的な行動規範を遵守するとともに、軍事力強化や国防政策にかかる透明性を向上するよう引き続き促す。一方で、わが国の懸念を率直に伝達していく。また、両国間における不測の事態を回避するため、ホットラインを含む日中防衛当局間の海空連絡メカニズムを運用していく。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

日中防衛当局間においては、日中安保対話、日中防衛当局間協議、日中高級事務レベル海洋協議などの機会を通じ、事務レベルでの対話のほか、中堅幹部間の交流として、笹川平和財団主催の日中佐官級交流による相互往来を実施している。また、2025年1月には、約5年ぶりの部隊間交流の再開として、中国人民解放軍東部戦区代表団の訪日を受け入れた。

2025年10月、高市内閣総理大臣は、APEC首脳会議に際し、習近平・中国国家主席と会談を行った。両首脳は、日中両国は、引き続き、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築するという大きな方向性を改めて確認した。また、尖閣周辺海域を含む東シナ海での中国によるエスカレーションや海洋調査活動、わが国周辺の中国軍の活動の活発化につき、深刻な懸念を伝え、中国側の対応を求めた。両首脳は、防衛当局間の実効性のある危機管理と意思疎通の確保の重要性について一致した。

同年11月、小泉防衛大臣は、ADMMプラスに際し、董軍(とうぐん)・中国国防部長と会談を行い、日中首脳間で一致している「戦略的互恵関係」の包括的推進と「建設的かつ安定的関係」の構築という大きな方向性の実現のためにこそ、日中防衛当局間においては、具体的かつ困難な懸案から目を背けず、率直な議論と意思疎通を粘り強く重ねることが必要不可欠である旨伝達した。また、防衛大臣から、わが国固有の領土である尖閣諸島周辺での中国の活動やロシアとの連携も含むわが国周辺海空域における軍事活動の活発化などに対し、深刻な懸念を改めて伝達し、その上で、「日中防衛当局間ホットライン」について、適切かつ確実な運用をしっかりと確保していく重要性について指摘したほか、防衛当局間を含めあらゆるレベルでの対話や交流の強化の重要性について一致した。

同月、笹川平和財団主催の日中佐官級交流の一環として、13人の自衛隊佐官級訪中団が中国を訪問し、中国人民解放軍との交流を実施した。一行は軍事科学院副院長を表敬訪問したほか、海軍湛江基地をはじめとする、各地の陸海空軍軍事施設の視察や軍関係者との意見交換を行った。

(3)日中防衛当局間の海空連絡メカニズム

2018年6月、海空連絡メカニズムの運用が開始された。本メカニズムは、日中防衛当局の間で、①日中両国の相互理解および相互信頼を増進し、防衛協力・交流を強化するとともに、②不測の衝突を回避し、③海空域における不測の事態が軍事衝突または政治外交問題に発展することを防止することを目的として作成されたものであり、主な内容は、①防衛当局間の年次会合・専門会合の開催、②日中防衛当局間のホットライン開設、③自衛隊と人民解放軍の艦船・航空機間の連絡方法となっている。

参照1章1節2項2(3)(中国機とロシア機による領空侵犯)資料53(最近の日中防衛協力・交流の主要な実績(2022年度以降))

15 ロシア

2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵略について、政府は、明らかにウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国連憲章を含む国際法の深刻な違反であり、決して認められない行為である、という立場であり、このような力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがすものであるとして、ロシアを最も強い言葉で非難している。

ロシアとの関係については、ウクライナ情勢を踏まえ、政府としてG7の連帯を重視しつつ適切に対応することとしている。同時に、隣国であるロシアとの間で、不測の事態や不必要な摩擦を招かないためにも、最低限の必要なコンタクトは絶やさないようにすることも必要である。

1 2022年10月に署名。日豪の特別な戦略的パートナーシップを再確認するとともに、ルールに基づく秩序の維持およびインド太平洋地域の平和と安定のため、あらゆるレベルにおける日豪、日米豪の連携を強化するとしており、自衛隊と豪軍の相互運用性の強化やISRにおける協力、HA/DR、地域のパートナー国の能力構築、先進的防衛科学技術、サイバー・宇宙分野などにおける防衛協力の強化が明記されている。また、日豪両国や周辺地域の安全保障上の利益に影響を及ぼしうる緊急事態の際に、相互に対応措置を検討することとしている。

2 平時から緊急事態に至るまで、自衛隊、豪軍および米軍の政策上および運用上の目標の整合を支援するために設置された協議体。

3 本メカニズムは、閣僚級協議の定期開催による方向性の指示、政策サイド・運用サイドの実務者協議によるフォローアップ、地域の緊急事態に関する机上演習の実施などを通じ、自衛隊・米軍・豪軍が、平素から緊急事態に至るまで、あらゆる状況、あらゆるレベルで実効的に連携できるようにすることを目的とするもの。

4 複合材料の内部に発生するき裂や剥離といった損傷が、荷重負荷に伴ってどのように拡大し破壊に至るかをシミュレーションする技術。本解析は、複合材料の強度などを高い精度で評価するために重要。

5 複数のアンテナを1本のアンテナとして集約・統合することにより、艦艇のステルス化が向上。海自はもがみ型護衛艦(FFM)からユニコーンを採用。

6 2035年までに日英伊3か国により、いわゆる第5世代戦闘機を超える次期戦闘機を共同開発する事業。

7 諸外国の国防大臣クラスを集めて防衛問題や地域の防衛協力についての議論を行うことを目的として開催される多国間会議であり、民間研究機関である英国の国際戦略研究所の主催により始まった。2002年の第1回から毎年シンガポールで開催され、会場のホテル名からシャングリラ会合(Shangri-La Dialogue)と通称される。

8 日NATO協力の一層の進展を目的として、ハイレベル対話の強化や防衛協力・交流の促進などの協力を推進する旨定めるとともに、実務的な協力の優先分野を特定している。2020年6月にIPCPが改訂され、実務的な協力の優先分野として「人間の安全保障」が追加された。

9 新時代の挑戦に対応すべく、日NATO協力を新たな高みへと引き上げるために策定された日NATO間の新たな枠組み協力文書であり、2023年から2026年の4年間を対象にしている。

10 NATO本部軍事幕僚部協調的安全保障局(NHQIMSCS)には、IPCPの枠組みで2021年から自衛官を派遣、欧州連合軍最高司令部(SHAPE)には、日NATO防衛協力の一環で2017年から在ベルギー大使館(2025年1月よりNATO代表部)の防衛駐在官の兼任により派遣、NATO海上司令部(MARCOM)には、改定IPCPの枠組みで2019年から在英国大使館の防衛駐在官の兼任により派遣している。

11 リトアニア共和国、アイスランドの2カ国の主導により、2023年6月に立ち上げが表明された地雷除去支援のための多国間枠組み。

12 エストニア共和国、ルクセンブルク大公国、ウクライナの3か国の主導により、2023年6月に立ち上げが表明されたIT支援のための多国間枠組み。

13 2023年に創設された、資機材供与やインフラ整備などを通じて、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することにより、わが国との安全保障協力関係の強化、わが国にとって望ましい安全保障環境の創出および国際的な平和と安全の維持・強化に寄与することを目的とする、軍などが裨益者となる新たな無償による資金協力の枠組み。

14 自衛隊がHA/DRに関連する活動のためにフィリピンを訪問する際の手続を簡素化するもの。

15 海賊対処活動のためにジブチにおいて活動する要員の地位を確保する内容の交換公文であり、2009年にジブチ政府との間で締結。