装備品に関する協力は、構想から退役まで半世紀以上に及ぶ取組であることを踏まえ、防衛装備移転や国際共同開発を含む、防衛装備・技術協力の取組の強化を通じ、相手国軍隊の能力向上や相手国との中長期にわたる関係の維持・強化を図っている1。特に、ハイレベル・実務者交流、共同訓練・演習、能力構築支援などの取組のほか、政府安全保障能力強化支援(OSA:Official Security Assistance)など、防衛省以外の取組とも組み合わせることで、これを効果的に進めることとしている。その際、就役から相当年数が経過し、拡張性などに限界がある装備品の早期用途廃止、早期除籍などの活用による同志国への移転を検討することとしている。
参照図表IV-3-3-1(諸外国との主な防衛装備・技術協力(イメージ))、III部1章3節4項(わが国と同志国の抑止力の向上のための国際協力)、資料41(各種協定等締結状況)

オーストラリアとの間では、2014年、防衛装備品・技術移転協定2が発効し、2017年に日豪防衛装備・技術協力共同運営委員会を初開催した。以降、定期的に協議を行い日豪両国の防衛装備・技術協力の進展を図っており、各種取決めの署名、科学技術者の相互派遣、各種共同研究を行っている。2023年には日豪間で初めての共同開発案件として豪国防省と三菱電機オーストラリアとの間でレーザー技術を活用した共同開発事業(Boobookプロジェクト)が契約締結された。また、同年には「研究、開発、試験及び評価(RDT&E:Research, Development, Test, and Evaluation)プロジェクトに関する取決め」が署名され、これに基づき2024年に「水中自律型無人機に関する日豪共同研究」が開始された。
また、2025年8月、豪政府は、汎用フリゲートとしてもがみ型護衛艦の能力向上型である令和6年度型護衛艦を選定した。これは、わが国の優れた技術が結集した装備品に対する高い信頼と評価の表れであり、本事業は日豪の相互運用性の大幅な向上、インド太平洋地域の艦艇建造・維持整備基盤の向上、日豪のサプライチェーン協力の強化など、幅広い意義を有し、インド太平洋地域の平和と安定に貢献するものである。今後わが国はオーストラリアとの間で計11隻のフリゲートの共同開発・生産を行うことになる。2026年4月には小泉防衛大臣とマールズ豪副首相から、もがみ型護衛艦の能力向上型をベースとしたオーストラリア汎用フリゲートの3番艦までの契約締結を発表したほか、『日本国防衛大臣とオーストラリア連邦副首相兼国防大臣との間のオーストラリア汎用フリゲート事業に関する協力覚書』(「もがみメモランダム」)が署名された。
インドとの防衛装備・技術協力は、日印の特別戦略的グローバル・パートナーシップに基づく重要な協力分野と位置づけられており、2015年の日印首脳会談において防衛装備品・技術移転協定3の署名が行われ、2016年に発効した。以降、定期的に協議を行っている。
2024年11月、日印防衛装備品・技術移転協定に基づき、もがみ型護衛艦に搭載されている艦艇搭載用複合通信空中線「ユニコーン」の日本からインドへの装備移転に関する細目取極(MOI:Memorandum of Implementation)に日印間で署名を行い、移転実現に向けた調整が継続中である。

インドに移転予定の「ユニコーン」
また、2025年8月に改定された「日本国とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言」では、装備品、新興技術および経済安全保障の分野で協力していくことが確認された。
英国との間では、2013年、防衛装備品・技術移転協定4の署名・発効に至り、以降、定期的に協議を行っている。2022年からはGCAP(ジーキャップ:Global Combat Air Programme)において戦闘機の共同開発を行っているほか、次世代RFセンサシステムの技術実証にかかる共同研究も行われている。
参照4項(次期戦闘機の共同開発)、III部3章1節2項3(1)(英国)
フランスとの間では2016年に、ドイツとの間では2017年に、それぞれ防衛装備品・技術移転協定5,6が発効した。2024年5月、防衛省、フランス国防省、ドイツ国防省および仏独サン=ルイ研究所は「レールガン技術の協力に係る実施要領」の署名を行い、レールガンの早期実用化に向けて取り組んでいる。
参照III部3章1節2項3(2)(フランス)、III部3章1節2項3(3)(ドイツ)
イタリアとの間では、2019年、防衛装備品・技術移転協定7が発効したほか、2022年からはGCAPにおいて戦闘機の共同開発を行っている。
参照4項(次期戦闘機の共同開発)、III部3章1節2項3(4)(イタリア)
2022年のロシアによるウクライナ侵略を受けて、ウクライナ政府からの装備品などの提供要請を踏まえ、自衛隊法に基づき非殺傷の物資を防衛装備移転三原則の範囲内で提供するべく、同年の国家安全保障会議において、防衛装備移転三原則の運用指針を一部改正した。これまでに、防弾チョッキ、鉄帽(ヘルメット)、防寒服、天幕、カメラ、衛生資材・医療用資器材、非常用糧食、双眼鏡、照明器具、個人装具、防護マスク、防護衣、小型のドローン、民生車両(バン)、および自衛隊車両(1/2tトラック、高機動車、資材運搬車)を自衛隊機などにより輸送し、ウクライナ政府への提供を実施した。また、2024年10月に実施した日ウクライナ防衛相会談において、ウクライナへの自衛隊車両の追加提供を行うことを決定した旨伝達し、2026年1月に医療用手袋、マスクなどの衛生資材と合わせ、合計131台の車両引渡しが完了した。

ウクライナに提供した自衛隊車両
参照III部3章1節2項7(1)(ウクライナ)、資料77(防衛装備移転三原則の運用指針(改正前))
ASEAN諸国との間では、日ASEAN防衛当局次官級会合などを通じて、人道支援・災害救援(HA/DR:Humanitarian Assistance and Disaster Relief)や海洋安全保障など、非伝統的安全保障分野における防衛装備・技術協力について意見交換がなされており、参加国からは、これらの課題に効果的に対処するため、わが国からの協力に期待が示されている。2016年にわが国が表明したビエンチャン・ビジョンにおいて、ASEAN諸国との防衛装備・技術協力に関しては、①装備品・技術移転、②人材育成、③防衛産業に関するセミナーなどの開催を3つの柱として進めることとした。
フィリピンとの間では、2016年に防衛装備品・技術移転協定8が発効した後、5機の海自練習機TC-90の貸付・無償譲渡が実現した。さらに、陸自多用途ヘリUH-1Hの部品などの無償譲渡、初の完成装備品移転として警戒管制レーダー4基の装備移転が決定しており、現在順次納入を行っている。また、これらの移転に伴い、自衛隊およびわが国企業によるフィリピン軍要員への運用・維持整備などの教育支援を実施している。
2024年9月には、フィリピンで開催された「ADAS(Asian Defense and Security Exhibition)2024」に防衛装備庁が初めてブースを出展し、フィリピン政府や企業などに対してわが国の装備品の魅力を発信するとともに、防衛装備・技術協力の強化に向けて連携していくことを確認した。2025年に行われた4回の日フィリピン防衛相会談においても、引き続き防衛装備・技術協力について推進していくことで一致した。
ベトナムとの間では、2016年の「防衛装備・技術協力に関する定期協議の実施要領」署名、2019年の「防衛産業間協力の促進の方向性に係る日ベトナム防衛当局間の覚書」署名に続いて、2021年に両国間で防衛装備品・技術移転協定9に署名し、発効した。2023年の防錆表面処理加工技術の移転に加え、2024年12月には、防衛装備品・技術移転協定に基づく初の防衛装備品の移転として、中古資材運搬車2両の譲渡が実現し、ベトナム国防省主催の記念式典が行われた。また、本移転に伴い、陸自およびわが国企業によるベトナム軍要員への運用・整備教育支援を実施した。
2025年12月に行われた第1回日本・ベトナム外務・防衛次官級協議(次官級「2+2」)では、安全保障分野の協力を具体化させていくことを確認し、防衛装備・技術協力について議論が行われている。
参照III部3章1節2項8(東南アジア諸国(ASEAN諸国))
アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates)との間では、2023年、中東の国との間では初めてとなる、防衛装備品・技術移転協定10に署名し、2024年1月に発効した。
モンゴルとの間では、2024年12月、防衛装備品・技術移転協定11に署名し、2025年1月に発効した。
2024年9月、AUKUS(オーカス:Australia-United Kingdom-United States)首脳共同声明および国防大臣共同声明において、AUKUS「第2の柱」における「海洋無人機システム」がわが国との初期的な「第2の柱(Pillar II)」協力の機会を模索する分野としてあげられた。
この協力の機会を模索する一環として、同年10月にオーストラリア主催で開催された海洋無人機システムなどに関する多国間の実験・演習である「オートノマス・ウォーリアー24」に、わが国から防衛装備庁の専門家などを派遣した。そして2025年7月に行われた多国間共同訓練「タリスマン・セイバー25」では、海洋無人機システムの水中音響通信にかかる実験演習に防衛省・自衛隊として参加し、海洋無人機システムの相互運用性について評価した。
AUKUS「第2の柱(Pillar II)」に関する豪英米3か国との協力は、同盟国・同志国間の連携を先進技術面から支えるものであり、わが国と豪英米3か国の共通の能力を強化し、地域の抑止力・対処力強化に大きく貢献するものであることから、協力を具体化すべく、引き続き協議を進めていくこととしている。
1 2026年4月現在、わが国は、防衛装備品・技術移転協定を、米国、英国、オーストラリア、インド、フィリピン、フランス、ドイツ、マレーシア、イタリア、インドネシア、ベトナム、タイ、スウェーデン、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、モンゴル、バングラディシュと締結している。
2 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定
3 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定
4 防衛装備品及び他の関連物品の共同研究、共同開発及び共同生産を実施するために必要な武器及び武器技術の移転に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定
5 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
6 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定
7 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定
8 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定
9 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とベトナム社会主義共和国政府との間の協定
10 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定
11 防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とモンゴル国政府との間の協定