陸上幕僚長 記者会見Press conference

令和6年3月14日
陸上幕僚長 定例記者会見


 本日は私から、昨年4月6日に発生したUHー60JA航空事故に係る調査結果について、お知らせいたします。  

 事故発生当日からこれまで、陸上幕僚監部に事故調査委員会を設置し、部外有識者の知見も得ながら、あらゆる可能性を排除せず、徹底した調査を行い、事故の原因究明と再発防止策の策定に全力を挙げてまいりました。  

 調査の結果、気象等の外的要因や機体整備は本事故に関連がないことを確認するとともに、事故原因として、第2エンジンの出力が緩やかに低下して出力を喪失した後、引き続き、第1エンジンの出力も低下するという、これまでに報告事例のない事象が生起し、高度保持が困難となり、墜落したものと結論付けました。  

 第2エンジンの出力の緩やかな低下の要因は、ロールバックという取扱書に記載のない非常に稀な事象であり、この要因は、エンジン制御系統又はそれに関連する空気圧ラインの一時的な漏れ・詰まりの異常と推定されます。  

 第1エンジンの出力低下の要因は、エンジン制御・エンジン出力に影響を与える部位の異常や搭乗員の出力調整レバー操作による出力抑制の可能性が考えられましたが、いずれかを示す証拠はなく、要因の特定には至りませんでした。  

 本事故原因を受けた再発防止策としましては、第2エンジンの出力低下に関し、ロールバック予防のため、エンジン制御系統及び空気圧ラインのより詳細な点検・検査を実施するとともに、第1エンジンの出力低下に関し、エンジン制御・エンジン出力に影響を与える部位の網羅的点検を実施します。  

 当該点検や検査においては、その実施回数を増やすとともに、整備試験飛行においても機能確認を実施します。  

 また、ロールバック事象発生時のエンジン挙動や緊急操作手順に加え、両エンジン出力低下時における対処要領を取扱書へ記載し、操縦士及び機上操作員に対して、記載事項の普及・徹底を行うとともに、搭乗員への教育訓練として、エンジン系統の緊急操作要領、着水時の実施事項、機内連携要領の徹底等を実施します。  

 更に、洋上飛行時の救命用装備として携帯用の救命無線機を整備するとともに、フライトデータレコーダーのビーコン等を導入し、これまで以上に航空安全の確保を図ります。  

 国民のため、日本のために、全身全霊を捧げてきた、かけがえのない10名の隊員を失う結果となった今般の事故について、改めて、陸上幕僚長として深く、重くこれを受け止め、この先、一人の犠牲者も出さぬ決意で事故の再発防止に全力を挙げ、飛行の安全に万全を尽くすことをお誓い申し上げます。



過去の陸上幕僚長 記者会見一覧

ページトップ