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第V部 人的基盤の強化

4 ワークライフバランス・女性の活躍のさらなる推進

防衛省・自衛隊は、2015年以降、「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」(以下「取組計画」という。)を策定・改訂し、2026年には、①更なるワークライフバランス推進のための働き方改革、②女性職員を始めとする多様な職員の活躍推進を2つの柱とする新たな取組計画を策定し、取組を一層推進している。

1 更なるワークライフバランス推進のための働き方改革
(1)「働きがい」の向上・「働きやすさ」の確保

職員一人一人が「働きがい」を高めながら業務に従事できるよう、職員自らが働きがい向上のために中長期的なキャリアの希望などを理解・言語化するとともに、職員の働きがいを高めるために、幹部職員などが組織的に取り組んでいく。

また、長時間労働の是正や生産性向上に向けた業務見直しを推進するとともに、働く場所と時間の柔軟性の確保、執務環境の整備やハラスメントを一切許容しない環境の構築を行っていく。

本省内部部局では、防衛行政に求められる業務の質・量が増大するなかで、組織のパフォーマンスを最大化するために、職員一人一人の「働きがい」を高めるための取組を進めている。この「働きがい」を高めるためには、①使命感、他者からの評価、成長実感などにより生じる「やりがい」と、②オフィス環境、人間関係、心身の健康などに起因する「働きやすさ」をそれぞれ高め、掛け合わせる必要がある。この基本的考え方に基づき、①「やりがい」の観点からは、部局ごとの運営指針に基づく業務運営・人事評価や、職員が関心や意欲に応じて自律的なキャリア形成を図れるよう手挙げに基づく人事異動(省内公募)を行っているほか、緊急対応をはじめとする高負荷業務に従事する職員への処遇の確保に努めている。また、②「働きやすさ」の観点からは、オフィス改革やオンライン・プラットフォームの導入、さらにはマネジメントにかかる研修の大幅強化などを実施している。これらの施策は継続的に、かつ、働く職員にとって納得感のある形で実施していくことが重要であり、幹部から一般職員に至るまで組織一丸となって取り組んでいく。

(2)職場における働き方改革

ワークライフバランス推進に向けた取組は、職場の実情に合わせ、職員が自ら職場環境の改善策を考えることが実効性のある取組や風土作りにつながる。そのような考えから、「防衛省における働き方改革推進のための取組コンテスト」を実施し、特に優れた取組について表彰を行うとともに、防衛省内に紹介し、他の職場の働き方改革の一助としている。

(3)働く時間と場所の柔軟性の確保

育児や介護などで時間に制約がある職員が増えていくなか、全ての職員が能力を十分に発揮して活躍できるよう、防衛省・自衛隊においては、早出遅出勤務やフレックスタイム制を導入し、柔軟に勤務時間を選択できるようにしてきた。2025年には、フレックスタイム制のさらなる柔軟化を図るなど、より柔軟な働き方の推進に取り組んでいる。また、職務の特殊性によりテレワークの実施が不可能な業務を除き、全ての機関においてテレワークが実施可能となっている。引き続き、資料の電子化などを含めたデジタル化を推進し、テレワークにおいて業務が完結できるよう業務プロセスの確立を推進していくこととしている。

(4)長時間労働の是正

勤務時間管理のシステム化や超過勤務の実態調査などを通じ、職員の心身の健康と福祉に害を及ぼすおそれがある、長時間労働の是正を推進している。

(5)育児・介護をしながら活躍できるための環境整備

防衛省・自衛隊においては、任期付の職員を採用し、育児休業などを取得する職員のための代替要員を確保し、職員が育児・介護と仕事を両立するための制度を整備している。特に、男性職員の家庭生活への参画を推進するため、男性職員の育児休暇・休業の取得促進に取り組んでおり、こどもが生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指している。

また、育児・介護に関する制度の説明、ロールモデルの紹介、管理職員や人事担当部局がきめ細かく職員の育児にかかる状況を把握するため、「育児シート」を作成するなどの取組により、職業生活と家庭生活を両立しやすい環境整備を進めている。なお、育児・介護により中途退職した職員を再度採用できる制度も整備されている。

(6)保育の場の確保

自衛官の勤務の特殊性や社会全体における保育にかかる需給バランスの変化により、職員がこどもの保育などに不安を抱くことなく、任務に専念できる環境を整えておくことは、防衛省・自衛隊の常時即応態勢を維持する上で重要である。防衛省・自衛隊においては、全国9か所の駐屯地などに庁内託児施設を整備してきた。また、災害派遣などの迅速な対応を求められる場面において、自衛隊の駐屯地などで職員のこどもを一時的に預かる緊急登庁支援の施策を推進するとともに、新たに駐屯地・基地などで臨時託児事業の本格運用を開始した。

庁内託児施設に子供を預けて出勤する自衛官

庁内託児施設に子供を預けて出勤する自衛官

2 女性職員を始めとする多様な職員の活躍推進
(1)女性の活躍推進

防衛省・自衛隊は、これまで女性の採用・登用のさらなる拡大を図るため、取組計画において具体的な目標を定めるなど、意欲と能力のある女性の活躍を推進するための様々な取組を行ってきた。また、女性・平和・安全保障16(WPS:Women, Peace and Security)に関する取組として、わが国は、防災・災害対応の取組や安全保障政策の意思決定の場における女性の参画を促進している。

参照III部3章4節3項(女性・平和・安全保障(WPS)推進に向けた取組)

ア 女性の採用・登用の拡大

防衛省・自衛隊は、取組計画で数値目標を設定し、計画的な女性の採用・登用の拡大を図っている。また、国家安全保障戦略などに基づき、女性の活躍を支える教育基盤の整備や、女性自衛官の増勢を見据えた隊舎・艦艇などにおける女性用区画、女性用トイレや浴場などの整備をスピード感をもって計画的に推進する。

(ア)女性自衛官

女性自衛官は、2026年3月末現在、約2万人(全自衛官の約9.3%)であり、10年前(2016年3月末時点で全自衛官の約5.9%)と比較すると、3.4ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

女性自衛官の採用については、自衛官採用者に占める女性の割合を2026年度以降20%以上とし、2035年度までに全自衛官に占める女性の割合を13%以上とすることとした。また、登用については、2030年度末までに佐官以上に占める割合を6%以上とすることを目指すこととしている。

(イ)女性事務官、技官、教官など

女性事務官、技官、教官などは、2026年3月末現在、約5,700人(全事務官等の約28.6%)であり、10年前(2016年3月末時点で全事務官等の約23.6%)と比較すると、5ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

採用については、2026年度以降、採用者に占める女性の割合を40%以上、また、登用については、2030年度末までに、係長相当職(本省)に占める女性の割合を36%、地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合を14%、本省課室長相当職に占める女性の割合を10%、指定職相当に占める女性の割合を5%とすることを目指すこととしている。

参照図表V-2-2-7(防衛省における女性活躍と取組計画における目標および現状値)、図表V-2-2-8(女性自衛官の在職者推移)

図表V-2-2-7 防衛省における女性活躍と取組計画における目標および現状値

図表V-2-2-8 女性自衛官の在職者推移

イ 女性自衛官の活躍推進に取り組む意義と人事管理の方針

自衛隊の任務が多様化・複雑化するなか、自衛官には、これまで以上に高い知識・判断力・技術を備えた多面的な能力が求められるようになっている。また、少子化・高学歴化の進展などによる厳しい募集環境のもと、育児や介護などで時間や場所に制約のある隊員が大幅に増加することが想定される。

こうした環境の変化を踏まえれば、自衛隊としても、従来の均質性を重視した人的組成から多様な人材を柔軟に包摂できる組織へと進化することが求められている。

自衛隊において、現時点で必ずしも十分に活用できていない最大の人材源は、採用対象人口の半分を占める女性である。女性自衛官の活躍を推進することは、①有用な人材の確保、②多様な視点の活用、③わが国の価値観の反映、といった重要な意義がある。このため、防衛省・自衛隊として、意欲と能力、適性のある女性があらゆる分野にチャレンジする道を拓き、女性自衛官比率の倍増を目指している。

なお、女性自衛官の採用・登用に際しては、機会均等のさらなる徹底を図り、本人の意欲と能力・適性に基づく適材適所の配置に努めることを人事管理の方針としている。

ウ 女性自衛官の配置制限の解除など

防衛省・自衛隊は、これまで、戦闘機操縦者、空挺隊員、潜水艦の乗員などへの女性自衛官の配置制限を順次解除してきており、2025年7月に特殊武器(化学)防護隊の一部の部隊の配置制限解除をしたことにより、陸・海・空自における女性自衛官の配置制限については完全撤廃された。

また、高等工科学校についても、2028年の共学化に向けて準備をすすめている。

動画アイコンQRコード資料:女性職員活躍とワークライフバランスの推進
URL:https://www.mod.go.jp/j/profile/worklife/index.html

動画アイコンQRコード動画:いろいろ守ってます!私たちJ★ガール
URL:https://youtu.be/-bcA9G417vU

(2)中途採用職員やシニア職員などの活躍推進

少子高齢化が続き、自衛隊の任務が多様化・複雑化するなか、防衛省・自衛隊においても、多様な人材の能力や専門性などを活かしていくことが重要であり、今後増加が見込まれる中途採用職員、シニア職員などについて、それぞれの知見や経験などを最大限活かし、活躍できるよう推進する。

16 紛争、災害などにおいて、より脆弱な立場に置かれる女性、女児などが、紛争、災害などの発生時に、特に保護すべき対象であるという考えのもと、女性、女児などの保護や救済に取り組みつつ、女性が指導的・主体的に、紛争の予防、復興および平和構築、ならびに、防災、災害対応および復興のあらゆる段階に参加することで、より持続的な平和に資することができるという考え方。