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第V部 人的基盤の強化

3 サイバー人材の確保

1 サイバー人材総合戦略の背景と目的

防衛力整備計画では、サイバー攻撃を受けている状況下において、指揮統制能力や優先度の高い装備品システムを保全し、自衛隊の任務遂行を保証できる態勢を確立するとともに、防衛産業のサイバー防衛を下支えできる態勢を構築するとされており、2027年度を目途に、自衛隊サイバー防衛隊などのサイバー専門部隊を約4,000人に拡充し、さらに、システム調達や維持運営などのサイバー関連業務に従事する隊員に対する教育を行い、これらにより、防衛省・自衛隊のサイバー要員を約2万人体制とすることとしている。

このようななか、防衛省・自衛隊の人材獲得を巡る環境は年々厳しさを増しており、また、社会全体においてサイバー人材の重要性が高まっている。

このため、防衛省・自衛隊では、①人材確保・育成などにかかる方針の一貫性を確保し、人材にかかる施策検討や組織横断的な協力を促進すること、②サイバー人材に関する考え方を明確にし、防衛省・自衛隊を志望する人材や外部サイバー人材へアプローチするとともに、部外との協力関係を構築・深化すること、を目的として、2024年7月、基本的な検討の方向性を戦略として取りまとめ、「防衛省サイバー人材総合戦略」を公表した。

参照資料84(防衛省サイバー人材総合戦略)

2 防衛省・自衛隊の任務とサイバー人材

昨今のサイバー攻撃者の組織化や高度化・複雑化する脅威に対応するべく、自衛隊のサイバー専門部隊では、幹部自衛官、准曹士、事務官、技官などがそれぞれの役割を担いチームを組んで任務にあたっている。

また、自衛隊におけるサイバー人材は、サイバー領域についてのみならず、サイバー空間を通じてつながっている戦車、艦艇、戦闘機などの各種アセットの運用についても、一定の理解が求められている。

3 サイバー人材にかかる取組の方向性

防衛省・自衛隊で優秀なサイバー人材を確保するには、防衛省・自衛隊のサイバー業務に関心のある人材、サイバーの知見に富んだ人材など幅広い層から人材を確保し、育成していく必要がある。このため、①サイバー人材に必要とされるスキルや保有している能力を正確に「特定」し、②サイバー人材にあった採用を行うなどして「確保」し、③適切な「育成」を行い、④どのように人材を「維持・管理」するか、⑤さらにこうした人材施策全体を総合的に「強化」するなど5つの柱を取組の方向性とし、次の取組を行い人材確保を進めていく。

(1)サイバー人材の「確保」にかかる取組

サイバー分野への従事を志す人材の専門性をより高めるため、入隊段階からサイバー分野に関連する業務に継続的に従事するキャリアパスを実現する。また、既にサイバーに関連する専門的な知識・資格や業務経験のある人材は、特定任期付自衛官やキャリア採用幹部、技術曹として採用し、その経験などを活かした業務やポストに柔軟に登用する。さらに、幹部自衛官、准曹士、事務官、技官などそれぞれの勤務特性に応じたキャリアパスを確立するなど、サイバーに従事する人材のキャリアパスの「見える化」と、防衛省ならではの勤務経験の魅力化を図ることにより、防衛省における勤務をよりイメージしやすくしながら外部のサイバー人材に関心を持ってもらうことで、採用の強化にもつなげていく。

常備自衛官とともに様々な任務に就くサイバーの技能を有する「サイバー予備自衛官」15について、2025年度は多国間サイバー防衛演習「ロックド・シールズ2025」において、サイバー予備自衛官が高い技能と意欲を発揮して日本チームに貢献した。また、部外で活躍する自衛官未経験のサイバー人材を予備自衛官補として採用し、サイバー予備自衛官へ任用するなどの取組も着実に進めていくこととしている。

また、毎月一定額の学資金を貸与する自衛隊奨学生制度を活用し、自衛隊のサイバー業務に関心のある優秀な学生の学びを支援する。

さらに、事務官・技官の経験者採用、キャリア採用幹部・技術曹、特定任期付自衛官、サイバーセキュリティアドバイザーなど、ライフスタイルや目指すキャリアに応じた多様な採用区分の存在を全国の大学、高校、専門学校における採用説明会などにおいて丁寧に説明するとともに、専門的な資格や業務経験を有する外部人材の受入れをより推進するため、「防衛省サイバーコンテスト」などの機会も活用し、自衛隊員になりうる潜在的な人材に対し、防衛省のサイバー人材に関する採用情報や勤務の魅力の発信を強化している。また、情報処理やプログラミングなどを学ぶ専門学校や高専、大学の学生に、普段の授業と実務を結び付け、防衛省・自衛隊への関心を高めてもらうため、近年のサイバー脅威や防衛省のサイバー業務について説明をしている。

(2)サイバー人材の「育成」にかかる取組

防衛省・自衛隊は、陸自システム通信・サイバー学校などをはじめ、専門の学校を有しており、あらかじめ自衛隊の作戦やサイバーに関する知識を持っている必要はなく、入隊後にレベルに応じて学ぶことができ、部外での研修や留学の機会も設けられている。また、すでにサイバー分野のスキルが十分にある人も、実践的な訓練や意見交換の豊富な機会を通じて、スキルアップできる環境も整っており、これらを強みとして、防衛省・自衛隊でサイバーの仕事をすることに関心を持つ人材や、スキルの高いサイバー人材を獲得していく。

15 システム防護(サイバー)技能を有する予備自衛官