2024年10月、内閣総理大臣を議長とし、官房長官、防衛大臣をはじめ、若年で退職する自衛官の再就職に関係する各省庁の大臣などを幅広く構成員とする「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」が設置され、4回の会議を経て、同年12月、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)が取りまとめられた。防衛省・自衛隊は、この基本方針に基づき各種施策に取り組み、2025年6月の第5回、同年12月の第6回関係閣僚会議において、各種施策の効果が表れていることを確認した。
今後も自衛官が、国防という国家にとって極めて枢要な任務に安心して専念できるよう、関係閣僚が一致して万全の体制を構築していく。
内閣府の実施する自衛隊・防衛問題に関する世論調査によれば、国民の9割は、自衛隊に好意的な印象を持っている。これは自衛隊創設以降70年以上の間、災害派遣など、様々な任務に真摯にあたってきた自衛官の地道な努力の賜物と言えるであろう。しかし、自衛隊に対する好意的な印象にもかかわらず、自衛官の人材確保は困難な状況にある。2024年度は約1万5,000人の自衛官を採用する計画であったのに対し、実際の採用者数は1万人に達しなかった。さらに中途退職者は前年度よりは減じたものの約5,600人に達した。一方で、2025年度は約1万5,000人の採用計画に対し、約1万1,000人が採用され、中途退職者も前年度に比べて約1,000人減の約4,600人となり、基本方針に基づく各種施策が2025年度の募集・採用および中途退職の抑制に一定の効果をあげていると考えている。しかし、自衛官の定員割れが続き、充足率1は約9割となっていることから、引き続き自衛官の人材確保は至上命題である。
国の防衛という厳しい任務を担うがゆえに、平素から厳しい環境に耐え続けることが当たり前という組織文化では、人材確保はおぼつかない。個々人のやりがいと働きやすさを大切にし、働きがいを向上させる組織にしていくため、強い危機感をもって取り組んでいく必要がある。
自衛官は、身をもってわが国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務の特殊性から、様々な負担や制約から逃れることはできない。そのため、自衛官は、その特殊性に見合った処遇が与えられる必要があり、特別職の国家公務員として、一般職の国家公務員とは異なる人事管理制度や給与制度を設けてきたところである。引き続きこうした特殊性が適切に評価され、自衛官という職業を選択したことについて、誇りと名誉を感じることができる処遇を確立していくことが重要である。さらに、多くの自衛官が56歳で退職するなか、再就職や再々就職・収入に不安を感じさせないようにすることが自衛官の確保にとっても重要な課題である。自衛官としての知識・技能・経験を活かした再就職先の拡充や、安心して生活できる収入の確保などを通じ、自衛官の将来に対する不安の払しょくに取り組む必要がある。
基本方針においては、こうした問題意識のもと、自衛官の処遇・勤務環境の改善や新たな生涯設計について、具体的な方策を進めていくこととされており、2026年度予算においても、関連する経費として、約5,814億円を計上した。
参照資料80 自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針
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資料:自衛官の処遇改善に向けた取組(関係閣僚会議)
URL:https://www.mod.go.jp/j/profile/treatment/index.html
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資料:防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会報告書
URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/meeting/kiban/index.html
基本方針に基づき、2025年度からの給与面などの処遇改善が実現した。
具体的には、過去に例のない30を超える手当などの新設・金額の引上げなどが実現し、任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与面の処遇改善、士をはじめとした幅広い層の人材確保のための処遇改善、予備自衛官などの処遇改善、功績に相応しい叙勲などの施策を講じた。
また、2025年の人事院勧告を踏まえた給与改定により、新隊員のみならず、部隊の中核を担う30代や40代の隊員の給与も年収で20万円以上増加し、全自衛官の給与が過去最高の額となっている。
そのうえで、これまで自衛隊創設以来、約70年間一度も見直しが行われてこなかった自衛官の給与体系について、2027年度に独自の改定を目指すこととしている。