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第V部 人的基盤の強化

第2節 自衛隊員のキャリアアップ

防衛省・自衛隊に採用された時点では、誰もがプロフェッショナルな自衛隊員というわけではない。自衛隊員としてふさわしい技能や能力を備えた隊員を育成するため、部隊での教育や研修、実習など、部内外の様々な機会を通じて隊員を育成する場を設けている。自衛官や事務官などの区別、階級、勤務年数に関係なくこれらの機会を通じて誰もがプロフェッショナルな自衛隊員になれるのである。

自衛隊は、わが国の防衛をはじめとする各種任務を遂行するため、各隊員の高い知識・技能・体力や部隊の練度の維持が必要である。そしていかなる場面でもその能力を発揮できる態勢にあることが求められている。これは、各種事態における自衛隊の迅速・的確な対処を可能とすると同時に、わが国への侵略を意図する国に対し、それを思いとどまらせる抑止力としての機能を果たしている。防衛省・自衛隊において教育訓練は、このような人的な面で自衛隊の任務遂行能力を強化するために極めて重要である。このため、法令を遵守したうえで、事故防止などの安全確保に細心の注意を払いつつ、隊員の教育や部隊の訓練などを行い、精強な隊員や部隊を作り上げるとともに、即応態勢の維持・向上に努めている。

例えば、自衛官に求められる知識と技術の基礎や自衛隊の行動の基本である集団行動の基本ルールを学ぶものとして新隊員教育がある。自衛官となる者はまず初めに配属される教育隊において、団体生活を送りながら服務規律を学び、武器の扱い方といった自衛官として必要な素養までを身に付ける。これにより技術はもちろんのこと国防の重要性や自衛隊の使命についての理解を深める。

さらに在職期間全体を通じて学校や部隊などにおいて階級や職務に応じた教育が行われる。これらの段階的かつ体系的な教育により自衛官として必要な資質を養うとともに、知識および技術を身に付けることができる。また、自衛隊内で身に付けることが難しい知識などについては、必要に応じ海外留学を含め、大学、国内企業、研究所などに教育を委託し専門知識・技術をさらに高めている。部隊を構成する自衛官個々の能力を高めることは、部隊の任務遂行にとって不可欠であり、このようにして高められた個人の資質が国の安全保障に直結している。

防衛研究所で実施される安全保障戦略研究課程の様子

防衛研究所で実施される安全保障戦略研究課程の様子

このように、防衛省・自衛隊が不断に人的基盤の強化を行うのは、ひとえに防衛力の中核が人であり、自衛隊員だからである。平和を守るための防衛政策を企画立案することや、より進化した装備品を運用することも、隊員がいなければ成り立たない。このためには、自衛隊員個人が希望や適性に応じてプロフェッショナルとして成長していくことが重要である。

しかし、戦後最も厳しい安全保障環境に直面するなかで、民間企業などとの人材獲得競争の激化により、優秀な人材の確保が大変厳しい状況に陥っている。優秀な人材を確保できなければ、わが国の防衛などの任務の遂行に支障が生じかねないことから、隊員の処遇改善とともに、働きがいと働きやすさを向上させ、防衛省・自衛隊を「就職したい、働き続けたい」と感じられる魅力ある職場にすることが急務となっている。

こうしたことから、防衛省・自衛隊の使命であるわが国の防衛に携わる隊員が、志を持って業務に向き合い、能力を最大限発揮できるようにするため、「人」を中心に据えた組織づくりを進めることが必要である。具体的には「更なるワークライフバランス推進のための働き方改革」と「女性職員をはじめとする多様な職員の活躍推進」に取り組まなければならない。

定年退官を迎える隊員を見送る様子

定年退官を迎える隊員を見送る様子

参照図表V-1-2-1(自衛隊員のキャリアプラン(曹))

図表V-1-2-1 自衛隊員のキャリアプラン(曹)

参照図表V-1-2-2(自衛隊員のキャリアプラン(幹部))

図表V-1-2-2 自衛隊員のキャリアプラン(幹部)

参照図表V-1-2-3(自衛隊員のキャリアプラン(事務官))

図表V-1-2-3 自衛隊員のキャリアプラン(事務官)