駐留軍等労働者の労務管理
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防衛省には、駐留軍等労働者の労務管理等の事務を行っている部署があります。
地方防衛局においては、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構(以下「エルモ」という。)と連携し、労務管理等事務に取り組んでいます。
在日米軍従業員の労務管理の概要
防衛省の役割
在日米軍が、その任務を達成するために必要な労働力は、地位協定により我が国の援助を得て充足されることになっています。(注1)
防衛省は、在日米軍が必要とする労働力を提供するため、在日米軍との間で
①基本労務契約(Master Labor Contract(MLC))
②船員契約(Mariner's Contract(MC))
③諸機関労務協約(Indirect Hire Agreement(IHA))
という3つの労務提供契約を締結しています。
この労務提供契約に基づいて、防衛省は在日米軍従業員(以下「従業員」という。)を雇用して在日米軍に提供し、在日米軍は使用者として職場において従業員を指揮・監督しています。
この雇用方式は、間接雇用方式と呼ばれています。
従業員の勤務条件の決定方法
従業員が在日米軍で勤務していくに当たっての給与の額、休暇などの勤務条件は、法律で「生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛大臣が定める。」こととなっています。(注2)
勤務条件の具体的内容は、労務提供契約中に定められており、勤務条件を変更する場合には、雇用主である防衛大臣が、在日米軍や労働組合との協議、調整を行った上で、労務提供契約を改定することになります。
従業員の身分
従業員は、国に雇用され、給与も国から支払われており、身分的には国家公務員ではないかと考えられる方もいるかもしれませんが、国家公務員ではなく「国が雇用するもの」と法律で定められています。(注2)
労務管理等事務
従業員を雇用していく上で必要となる事務(労務管理等事務)は、雇入れ、提供及び労務管理等の実施、給与計算、福利厚生事業の実施など、多岐にわたっています。
労務管理等事務を実施するために必要な経費には、大別して
①給与等に要する経費
②福祉に要する経費
③離職者対策に要する経費
がありますが、これらの経費は、その大部分を我が国が負担しており、防衛省が予算要求し、毎年度国会の審議を経て、我が国の予算から支出されています。
また、労務管理等事務は、防衛省とエルモが分担して処理しています。
東北局管内における労務管理等事務
《東北防衛局》
人事決定、給与支給額の決定、給与支払、労働組合青森地区本部との団体交渉及び米軍との交渉等
《エルモ三沢支部》
人事手続の実施、給与の計算及び福利厚生の実施等
※ 東北防衛局とエルモは連携し、円滑な労務管理等事務に取り組んでいます。
在日米軍従業員の募集
使用者である在日米軍が必要とする労務の需要に応じて日本国政府が従業員を雇用し、その労働力を在日米軍に提供しています。具体的には、東北管内においてエルモ三沢支部がホームページやハローワークを活用し従業員の募集を行っています。
青森県内約90箇所にパンフレットの配布やポスターの掲示、地方自治体の広報紙への掲載、三沢市ケーブルテレビジョン(マックテレビ)での放送及び各種イベント時における広報活動等により募集活動を行っています。米側の多岐にわたる職種への対応等あらゆるニーズに対応した募集を行っています。
募集情報は、エルモのホームページ(エルモHPへ)をご覧ください。
全駐留軍労働組合
従業員は労働組合を結成しており、防衛省との間で給与その他の勤務条件の改善等に関し団体交渉を行っています。
在日米軍従業員の現状等
在日米軍従業員数 25,897人(令和5年3月末現在)
青森県 1,372人
三沢飛行場:1,328人、八戸貯油施設:40人、車力通信所:4人
(注1) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号)
第12条 (略)
4 現地の労務に対する合衆国軍隊及び第15条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。
(注2) 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律(昭和27年法律第174号)
(駐留軍等労働者の身分)
第8条 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき駐留するアメリカ合衆国軍隊、日本国とアメリカ合衆 国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第15条第1項(a)に規定する諸機関、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づき本邦内にある国際連合の軍隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第7条の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員のために労務に服する者で国が雇用するもの(以下「駐留軍等労働者」という。)は、国家公務員でない。
2 駐留軍等労働者は、国家公務員法第2条第6項に規定する勤務者と解してはならない。
(駐留軍等労働者の勤務条件)
第9条 駐留軍等労働者の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。
2 駐留軍等労働者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛大臣が定める。