内倉統合幕僚長 記者会見
日時:令和8年10月30日(金)14:00~14:23
場所:防衛省A棟10階会見室
備考:定例会見
1.発表事項
本日は、私から昨日終了しました令和8年度日米共同統合演習「キーン・ソード27」の成果について、お知らせいたします。
自衛隊は、10月19日から29日までの間、日本国内及び我が国周辺海空域において、本演習を実施しました。今回の演習では、日米共同対処能力及び自衛隊の統合作戦遂行能力の向上を図るとともに、参加した同志国との連携を一層強化することができました。今後とも自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同志国との連携を深め、我が国及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与してまいります。また、本演習の実施に当たりまして、地元の皆様から多大なるご理解とご協力をいただきましたことに、改めて感謝申し上げます。
2.質疑応答
記者:
「キーン・ソード27」で、具体的にどのような成果があったか、25式地対艦誘導弾の展開も含め、お聞かせいただけますでしょうか。また、今後の日米の連携で、どのような点で改善の余地があるかについてもお願いします。
統幕長:
まず、ご質問のありました本演習を通じて得られた成果は、大きく3つあります。
1点目は、日米の共同対処能力及び相互運用性を向上させるとともに、同志国との連携を一層強化することができたことです。日米間では、統合防空ミサイル防衛訓練、重要施設等防護訓練等の各種共同訓練を実施し、相互運用性及び共同対処能力を一層高めることができました。また、本演習には、日米に加え、前回に引き続き、オーストラリア及びカナダが参加するとともに、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド及びフィリピンが初めて参加しました。各国軍とは、衛生に関する統合後方運用訓練、上級下士官シンポジウムなどを通じ、専門的知識を共有し、部隊間の相互理解を深めるとともに、基本的価値や戦略的利益を共有する国々との連携を、より幅広く実践的なものとすることができました。
2点目です。自衛隊の統合作戦遂行能力を一層向上させることができたことです。今回、統合作戦司令部創設後、初めて統合作戦司令官を日本側の統裁官として、実動の日米共同統合演習を実施いたしました。その中で、各領域にまたがる一連の活動を演練するとともに、共同統合対艦戦闘訓練等において、領域横断作戦に係る計画立案や部隊・司令部間の連携について演練し、自衛隊の統合作戦遂行能力を一層向上させることができました。
3点目は、インド太平洋地域の平和と安定に向けた、日米及び同志国の堅固な意思と揺るぎない結束を示すことができたことです。一層厳しさを増す安全保障環境において、日米同盟を基軸とした日米及び同志国との連携を強化していくことは、インド太平洋地域の平和と安定にとって重要であります。今回、日米に加え、多くの同志国が参加して実践的な訓練を実施するとともに、石垣島での訓練開始式において、日米及び参加同志国が一堂に会したことは、インド太平洋地域の平和と安定に向けた、各国の堅固な意思と揺るぎない結束を示す機会となりました。また、先週の金曜日にXで発信いたしましたが、現在、欧州連合軍最高司令官を務めておりますグリンケウィッチ空軍大将と先日やり取りをしました。彼と私は30年前のこの演習に、私はF-15の操縦者として、彼はF-16の操縦者として一緒に参加しました。30年の歳月を経た今、ここに、先ほど申し上げましたとおり、フランス、ドイツ、オランダといったヨーロッパの国々も参加していることについて、隔世の感を抱きますとともに、改めて現在我々が直面する安全保障環境の複雑さを再認識いたしました。そして、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が一体不可分であるということを、改めて感じたところであります。
2つ目の質問に対してのお答えです。改善すべき事項であります。まず、共同統合対艦戦闘訓練という訓練があります。この訓練によってできたことを先に言います。日本側のISRアセットが目標情報を収集し、その情報を活用して米軍のアセットが攻撃を実施するなど、目標情報の収集から攻撃評価に至る一連の活動を日米共同で演練しました。これによって、日米それぞれの能力を組み合わせた高度かつ実践的な連携を確認し、相互運用性及び共同対処能力を一層向上させることができました。今申し上げた一連のプロセスは、専門用語で、ファインド(発見)、フィックス(識別)、トラック(追尾)、ターゲット(目標割り当て)、そしてエンゲージ(攻撃)、アセス(評価)、この六段階で構成されています。この六段階の流れにおきまして、一層スピードを上げる、そして単位時間で対応できる量を増やすこと、そしてその質を上げることにつながっていきます。それが今後の課題となります。そのことが、ひいては強度を高めることにつながっていきます。また、高度化することにもつながっていくと考えております。併せまして、宇宙・サイバー・電磁波領域を含めた連携強化も喫緊の課題だと認識しております。
25式地対艦誘導弾のことについてお尋ねがありましたが、まず、私からお礼を申し述べたいのは、あの豪雨の中、取材に参加いただいた方、誠にありがとうございました。その中におきましても、隊員は25式地対艦誘導弾をしっかりと展開する訓練を実施することができました。今回の一つの課題は、台風もありましたが、天象・気象・海象の利用、克服というものがありましたが、まさに、あの豪雨の中の整然とした25式地対艦誘導弾の訓練については、それを証明する一つであったと思います。
記者:
「キーン・ソード27」に関連しての質問ですが、中国国防部の報道官が、「キーン・ソード27」について、アジア太平洋地域の陣営間の対立をあおるものや、安全保障に対する現実の脅威となっているなどと批判がありました。これについて統幕長の受け止めをお聞かせください。
統幕長:
中国国防部報道官の発言については承知しております。しかしながら、統幕長としての立場からお答えすることは差し控えたいと思います。その上で申し上げますと、「キーン・ソード27」は特定の国や地域を想定したものではなく、いかなる国も懸念を抱く必要はありません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさと複雑さを増す中、自衛隊の即応性、そして日米の相互運用性の向上、また、参加いただいた各国との連携強化を図るための共同演習であります。加えて、本演習は、我が国の防衛のみならず、地域の平和と安定の確保にも資するものであります。事実として、この地域の平和と安定の確保の重要性に賛同する多くの同志国が、インド太平洋地域だけでなく、欧州からも参加しており、参加国数は過去最大となりました。自衛隊としましては、アメリカに加え、今回参加いただいたオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド及びフィリピンとの連携を深めつつ、より多くの国々から賛同が得られますよう、引き続き地域の平和と安定に積極的に貢献してまいります。
記者:
中国軍の動向についてお伺いします。昨年11月の高市首相の台湾有事発言以降、日中間、様々な分野で関係が冷え込んでいるわけですが、防衛省として、この間の中国軍の日本周辺での活動をどのように分析・評価されていますでしょうか。また、先日のフィリピンでの国防相会談においても、日中間の防衛相会談は行われませんでしたが、防衛当局間の意思疎通にどのような変化が生じているのかも、併せて教えてください。
統幕長:
前段部分の全般の情勢認識を申し上げますと、我が国周辺における海空域での中国軍の活動は、拡大・活発化していると捉えております。とりわけ、27日火曜日の午前10時頃、海上自衛隊が口永良部島の西約200キロメートルの海域において、同海域を東進する中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦、ジャンカイⅡ級フリゲート及び中国海警船の計4隻を確認いたしました。この後、これらの艦艇等が大隅海峡を東進し、太平洋に向けて航行したことを確認しました。なお、中国海警と軍の船のこの海峡への進出は、初めて確認・公表いたしました。このように、中国は近年、我が国周辺において軍事活動をますます拡大・活発化させており、防衛省・自衛隊としましては、中国海軍艦艇等の我が国周辺海域における動向について、引き続き注視するとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期してまいります。2つ目のお尋ねの、防衛当局者のやり取りにつきましては、大臣からご説明がありましたとおり、今回は先方の代表が来られていなかったと承知しております。前回のADMMプラスでは、大臣がカウンターパートと協議をされました。今回はなかったという事実を承知しております。私はこの間、向こうのカウンターパートとのコンタクト、コミュニケーションは取れておりません。それが事実であります。
記者:
「キーン・ソード27」で1点お伺いします。今回、南西地域では過去最大規模となる日米の部隊、ミサイル兵器や装備品などが展開する計画でしたが、途中、台風なども発生し、一部訓練の中止や、与那国へ初展開予定だった米海兵隊のネメシス、マディスが搬入できないなどの影響もありました。演習は昨日で終了しましたが、南西地域での訓練を振り返ってみて、どのように評価できますでしょうか。
統幕長:
振り返りますと、ご質問にありましたとおり、台風30号の影響により、一部の訓練を中止し、変更したということは事実であります。しかしながら、演習の全体の目的は達成できたものと考えております。本日午前、今の時点で分かっている総括的な報告を受けましたが、思いのほか達成できている訓練が多いことに驚きました。なぜ達成できたかというと、気象・海象に応じて、訓練環境、安全面、部隊運用上の所要など、様々な要素を総合的に勘案し、中止したものもありましたが、一部、場所を変更したり、規模を変えるなどして、実施を追求したことにあります。しかし、今回の台風は強風だったため、一番影響を受けたのは、例えば、ドローンや小型のアンテナ、こういった軽量なものを使うような訓練については実施することは難しかったです。しかしながら、繰り返しになりますが、全体的に訓練・演習の目的は達成できたと考えております。個々の訓練項目を当初の計画どおり実施したか否かをもって評価することではなく、総合的に評価すべきであります。いずれにしましても、必要な演習、検証を行うとともに、これからの演習、部隊運用に活かしてまいりたいと考えております。お尋ねの与那国島への特定の装備品の搬入の有無については、ここでは差し控えさせていただきます。
記者:
「キーン・ソード27」に関連して、25式地対艦誘導弾の関係でお尋ねします。報道公開で、発射装置を1分程度で発射準備完了まで展開したところを拝見しました。先ほどの質問で天候の克服については伺いましたが、25式地対艦誘導弾が機動展開するという特性上、健軍から移動できたこと、1分程度で発射準備完了まで展開したこと、このような展開、運用の手順について、今回の訓練はどのように受け止められたでしょうか。
統幕長:
発射操作まで短い時間で実施したということについては承知しておりますが、もともと健軍から当該演習場への移動について、どのくらいの時間で展開することを目標としたのか、私自身、今の時点で詳しい時間を承知していませんので、後ほど担当の方から答えさせます。いずれにしましても、展開とその後の細部手順について、一連の操作が円滑に実施できたものと承知しています。しかし、その間、繰り返しになりますが、悪天候のため、当初の見積りよりも時間がかかったのか、それを克服して見積りどおりに到着できたのか、演習場の中でも同じような行動ができたのか、所望の行動ができたのか、そこについては後ほど担当の方から答えさせます。
記者:
報道公開とは別で、日米のターゲティングといいますか、指揮統制に係る訓練について、日米で実施していると承知しています。この辺りの成果や、日米が連携する上での課題などありましたらお願いします。
統幕長:
ターゲティングそのものの細部については、機微な内容で、私どもの能力につながりますので、細部についてのお答えは差し控えたいと思います。
先ほど、幹事社の方の質問に対し、今後の課題で六つの手順を申しましたが、あれが動的目標に対するターゲティングの手順です。英語ではダイナミック・ターゲティングと申します。それを演練しています。共同統合対艦戦闘訓練や、その他の様々な訓練において、海・空においても、一連のキルチェーンを構成するものを等しくターゲティング・サイクルと言ったりします。狭義の意味でのターゲティングや、広義の意味のターゲティングで、捉え方は大分違いますが、それぞれのドメイン、キルチェーンの中で練度を上げ、確実性を高め、スピードを上げるといったことに注力しております。そして、それが一定程度達成できたと考えております。
記者:
「キーン・ソード27」に関連して、日米間でそのターゲティングに至る作戦のスピードに関して、例えば、目標の優先順位の決断に関して、テンポに違いはあったのかどうか、感想を教えてください。
統幕長:
前の質問と関連すると思いますが、そのスピードに差異があったか、テンポに差異があったかということについては、具体的な言及を控えたいと思います。その上で申し上げますと、やはり連携するに当たり、そのスピード、我々はよく同期(シンクロナイゼーション)という言葉を使いますが、そのためにはスピードであるとか、テンポが合致することが望ましいと思います。今、この時点でずれているのであれば、追い付くように努力すべきだと思います。それは器材を使いながら、あるいは練度を上げながら、総合的に取り組んでまいりたいと思います。
記者:
あともう1点、中国海軍の艦艇と海警が行動を共にした件ですが、海警と海軍が連動して動くことの意図はどういうことが考えられるのか。例えば、グレーゾーン事態から武力攻撃事態への移行を、彼らが演練している可能性があるのかどうか、見解を教えてください。
統幕長:
先方の意図、目的について、確定的にお答えすることは困難であることをご理解ください。その上で申し上げますと、海・空においても、活動は拡大・活発化しており、引き続き高い関心を持って注視し、警戒監視態勢等を万全に保ちつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
記者:
海警と海軍が、共同作戦能力を向上させていることを顕示しているのかどうか、可能性はいかがでしょうか。
統幕長:
先ほどの回答で申し上げました、今般初めての確認ですので、その練度や今後の連携の度合いを評価するには、少し早い気がいたします。その上で申し上げますと、繰り返しになりますが、引き続き連携も含め海上及び航空における活動をしっかりと注視し、警戒監視態勢等に万全を期してまいります。
記者:
米軍の嘉手納基地で、中国のBYD製の車両の乗り入れが禁止されたことについて伺います。安全保障上のリスクを恐らく念頭に置いた措置だと思われますが、今後、自衛隊の施設で同様に中国製車両の乗り入れを制限するなどの対応について、検討していくお考えがあるかどうかという点と、そうした高性能車両の乗り入れ自体に、そもそもどういったリスクがあるかという点について、防衛省のお考えをよろしくお願いいたします。
統幕長:
米軍施設における個別の警備、情報流出防止上の措置についてお答えする立場にないため、回答は差し控えたいと思います。その上で、お尋ねの後半の部分、自衛隊としては、部隊、施設における情報流出防止や警備を適切に実施することは重要であると認識しております。引き続き、安全保障環境の変化ですとか、技術の進展なども踏まえながら、必要な措置を適切に講じていく考えであります。また、特定の国やメーカーの車両の個別の評価について、お答えすることは差し控えたいと思います。その上で、一般論として申し上げますと、カメラ、センサー、通信機能などを備えた機器が様々な情報を取得し得ることについては、適切に考慮する必要があると考えております。自衛隊としましては、このような技術の進歩も踏まえ、必要な対策を適切に実施していく考えであります。