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内倉統合幕僚長 記者会見

日時:令和8年10月16日(金)14:00~14:31

場所:防衛省A棟10階会見室

備考:定例会見

    1.発表事項

    本日は、私から、令和8年度日米共同統合演習「キーン・ソード27」の開始について、お知らせいたします。自衛隊は、10月19日から29日までの間、主に 日本国内において、米軍とともに「キーン・ソード27」を実施いたします。本演習は、日米共同対処及び自衛隊の統合運用について演練し、グレーゾーンから武力攻撃事態等までの日米の共同統合運用能力の維持・向上を図るものであります。本演習を通じ、宇宙・サイバー・電磁波を含む各種作戦について実動により演練し、統合作戦司令部を中心とした統合運用及び米軍との連携の実効性を一層高めてまいります。また、本演習の実施に当たっては、安全管理を徹底するとともに、関係地方自治体をはじめとする、地域の皆様に丁寧な説明を行い、ご理解とご協力をいただきながら進めてまいります。

    2.質疑応答

    記者:

    冒頭発言で、「キーン・ソード27」の演習規模拡大についてお話しいただきましたが、この演習が日本の南西地域の防衛強化にどう役に立つか、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。また、今年の演習に「セオドア・ルーズベルト」米空母打撃群が参加する意義について、どのようにお考えでしょうか。

    統幕長:

    我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らし、我が国の領土・領海・領空を守り抜くためには、我が国自身の防衛体制を強化するとともに、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していくことが重要であります。先島諸島を含む島嶼部に、自衛隊及び米軍のアセットを実際に機動展開し、指揮統制、部隊輸送、補給、共同対艦戦闘等の一連の活動を演練することは、日米双方の機動展開能力を向上させるとともに、即応性及び相互運用性を高める上で大変意義があると考えております。さらに、南西地域における様々な地理的、運用上の特性を踏まえ、各種事態において迅速かつ柔軟に部隊を運用し、必要な場所に必要な能力を展開することは不可欠であります。こうした取組は、特定の国や地域を念頭に置いたものではありませんので、あらゆる事態に適切に対応できる態勢と能力を構築するためのものであり、日米が共同対処の意思と能力を平素から示し、その実効性を不断に高めることは、我が国及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与するものと考えております。
     お尋ねの2番目の件につきましては、現在、参加の方向で調整中だと承知しております。

    記者:

    「キーン・ソード27」に関連してお伺いします。今年は同志国の参加がオブザーバー参加ではなく、訓練自体に数多く参加することになると思いますが、これだけ多くの同志国が参加することになった背景と、参加することの意義について、統幕長の見解をお伺いしたいです。

    統幕長:

    まず、背景についてお答えいたします。過去のオブザーバーへの招へいや、防衛交流の状況等を踏まえ、幅広く演習への参加を呼び掛けておりましたところ、オーストラリア・カナダ、そしてフランス・ドイツ・オランダ・ニュージーランド・フィリピンの計7か国が、演習参加国として参加することとなりました。その意義につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中、防衛省・自衛隊としましては、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同志国との連携を幅広く強化していくことが重要であると考えております。これらの5か国は我が国と基本的価値や戦略的利益を共有し、人的交流や部隊間交流などを通じて、防衛協力・交流を積極的に進めている国々です。5か国と申しましたのは、昨年、オーストラリアとカナダは既に参加しておりますので、新たに参加した5か国を指します。本演習への参加を通じ、各国との相互理解を深めるとともに、インド太平洋地域の平和と安定に係る参加国の堅固な意思を示し、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境の創出に向けた連携を一層強化してまいりたい、このように考えております。

    記者:

    アメリカ軍の「セオドア・ルーズベルト」の参加について、参加する方向で調整中とのことでしたが、具体的にどういった訓練に参加する方向で調整しているか、お聞かせ願えればと思います。

    統幕長:

    まだ具体的な訓練内容等について報告を受けておりませんが、一般論として申し上げますと、海上防衛力をつかさどる海上自衛隊の水上艦艇等と連携をしていくと考えるのが適切かと思います。その幅の中で調整が進んでいくものと考えております。

    記者:

    「キーン・ソード27」に関連してお伺いします。9月に就任した古謝玄太沖縄県知事が、米軍のオスプレイについて、配備撤回は現実的じゃないとして配備を容認する姿勢を見せ、訓練に伴う飛来や使用の自粛も求めない考えを示しております。この件について、日米共同統合演習「キーン・ソード27」では、日米オスプレイが先島諸島に展開して、部隊や装備品の輸送を担うなど、有事の際にも欠かせない航空機の一つだと思いますが、改めて、地元を代表する県知事がオスプレイの配備や使用、訓練について容認したことに対する受け止めをお聞かせください。

    統幕長:

    「キーン・ソード27」へのオスプレイの参加についてお答えいたします。来週19日から29日にかけて行います訓練において、日米のオスプレイが宮古空港と石垣空港を使用いたします。訓練の実施に当たりましては、訓練目的の達成はもちろんのこと、安全確保に最大限配慮するとともに、地域の皆様に与える影響を最小限にとどめるように努めてまいりたいと思います。ご質問にありましたとおり、装備品の移動ですとか、有事の際の対応を含めまして、これまで担ってきた災害派遣での対応ですとか、様々な場面で活用できるオスプレイのその能力を遺憾なく発揮できるように、訓練に臨んでまいりたいと思います。その上で、ご質問にありました沖縄県知事が今回認めていただいたこと、これについては統合幕僚長としても大変感謝しております。そのご期待に沿えるように、しっかりと緊張感を持って、そして安全確保に努めながらしっかりと訓練してまいりたい、このように考えております。

    記者:

    「キーン・ソード27」に関連して、参加人数が5万7,000人と過去最大規模となります。とりわけ、米軍からの参加が1万2,000人と過去最多です。この意義について教えてください。

    統幕長:

    全般として「キーン・ソード27」の意義については先ほど述べたとおりです。米軍の参加規模についてお尋ねがありました。自衛隊側と米軍に加えて7か国の参加がありますが、それぞれの国の訓練目的やそのときの事情に応じて参加規模や参加するアセットなどを総合的に検討しております。結果として、今回お尋ねのあったかなりの人数になったと承知しております。その数字そのものが持つ意味について、とりわけ特出しで質問したことはありませんが、参加規模、そして参加の態様を見ましても、本訓練をどれだけ米軍が重視しているかということの表れの一つだと感じております。

    記者:

    沖縄の先島諸島にミサイル部隊を展開するかと思います。与那国島に米軍のネメシス、マディス、石垣にハイマースと、それぞれ初展開になると思いますが、こうしたミサイル部隊を沖縄の先島諸島に展開する狙いについて、改めて教えてください。

    統幕長:

    先週、先々週のこの場でもお答えいたしましたが、特定の装備品に係る特定の場所への配備の考え方、展開の考え方については、私からは控えたいと思いますので、後ほど担当の方からお答えさせていただきます。

    記者:

    「キーン・ソード27」をかつてない規模で実施することで、この地域の軍事的な緊張を高めることにつながる懸念はないか、統幕長のお考えをお聞かせください。

    統幕長:

    冒頭のご質問に対してもお答えいたしましたが、今次の演習におきましては、特定の地域や国を念頭に置いたものではありませんので、ご指摘には当たらないと考えております。日米共同の抑止力・対処力を高めるために、緊張感を持って訓練・演習に臨んでまいりたい、このように考えております。そしてその結果として、我が国の防衛、インド太平洋地域の平和と安定に資するものだと考えております。

    記者:

    「キーン・ソード27」のオスプレイについてですが、日米双方のオスプレイが昨日、宮古空港と石垣空港に着陸しました。沖縄県内でも墜落事故などがあり、安全性が懸念されているオスプレイを沖縄県内での訓練で使用する狙いについて教えてください。

    統幕長:

    オスプレイの日本国内における飛行運用に関しては、飛行の安全確保が最優先であるということにつきまして、日米間のあらゆるレベルで、あらゆる機会を通じて確認しております。引き続き、地元の皆様に十分配慮しながら、最大限の安全対策を取るよう日米で協力し、安全確保に万全を期し、オスプレイの運用に当たってまいりたいと考えています。

    記者:

    同じく関連で、昨日、宮古空港、石垣空港に着陸して、軍事施設ではなく民間の空港を使用する狙いがあれば教えてください。

    統幕長:

    今回、訓練を行うに当たり、様々な調整をした結果、お尋ねにありました宮古空港、石垣空港を使用させていただくこととなりました。訓練目的に沿った総合的な判断によりこの場所を選んだものであり、民間空港を特に選んで、オスプレイを使用するといった特段の狙いがあるわけではございません。総合的に判断し、訓練目的を達成できる場所という意味で選びました。いずれにしても、安全確保に最大限配慮するとともに、飛行場においても、空港においても、地元の方々からご理解をいただきたいということが大きなポイントであり、地域の皆様に与える影響を最小限にとどめるように努めてまいりたいと考えています。

    記者:

    「キーン・ソード27」の関係で、いわゆる対艦戦闘訓練の中で、スタンド・オフ防衛能力についても、今回の訓練では展開されていくということを伺っております。個別のところは難しいかもしれませんが、このスタンド・オフ防衛能力を今、政府も進めている中で、今回の訓練の中で展開していく意義や狙いについて、可能な範囲で教えてください。

    統幕長:

    スタンド・オフ・ミサイルについてお尋ねがありました。島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇や、上陸部隊等に対して、隊員の安全を確保しながら、遠方から対処することを可能とするものであります。また、特徴が異なる様々なスタンド・オフ・ミサイルによって、我が方の重層的な対応を可能とし、相手に複雑な対応を強いることで、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させることができるというふうに思っています。そのような観点から、本演習におけるスタンド・オフ・ミサイルの運用訓練ということを、適切に行ってまいりたいと考えています。

    記者:

    関連で、米軍と一緒にスタンド・オフ防衛能力の共同演習をすることの意義や、今後どのような効果が期待されるか、教えてください。

    統幕長:

    スタンド・オフ防衛能力にかかわらず、航空機であったり、艦艇といった様々なアセットが連携することによって、相乗効果というものが出てまいります。そういったところで、相互運用性を高めつつ、相互連携を行いながら、訓練効果、そしてそれぞれの装備品が持つ効果を最大限に発揮できるように取り組んでまいりたいと考えています。

    記者:

    「キーン・ソード27」についてお伺いします。石垣駐屯地で19日に実施するオープニング・セレモニーに関してですが、今回は非公開での実施ということで、どういった経緯、背景で非公開の実施を決めたのか、それに対する統幕長の受け止めをお願いいたします。

    統幕長:

    訓練や演習を行う場合の報道公開については、訓練開始式を含め、訓練の目的や内容、自衛隊及び米軍の運用上考慮すべき事項、警備・安全管理、受入施設の状況など様々な要素を総合的に勘案し、日米そして参加国の間で調整の上、実施の適否を判断しております。今次、「キーン・ソード27」の訓練開始式については、こうした観点から検討した結果、報道公開を実施しないこととしたものです。

    記者:

    具体的な理由に関わる部分で、米海兵隊員が逮捕された事案が直接的に影響したと捉えてよろしいでしょうか。

    統幕長:

    報道公開については、訓練開始式を含め、訓練の目的や内容、自衛隊及び米軍の運用上考慮すべき事項、警備・安全管理、受入施設の状況など、様々な要素を総合的に勘案し、日米そして参加国との調整の上、実施の適否を判断しています。一つの理由によって判断するものではありません。

    記者:

    今回の訓練の中で、ドイツ軍と共同で衛生訓練に当たると思うのですが、ドイツ軍とそうした訓練に当たる意義、そして今回、入間基地を利用するということで、どういった理由で、地理的要因や、そういった辺りも含めて、場所を選ばれた経緯をお願いいたします。

    統幕長:

    「キーン・ソード27」は、日米同盟の抑止力及び対処力を強化するための日米共同統合演習です。その枠組みの中で、ドイツをはじめとする各国が衛生分野の訓練に参加し、相互理解と連携を深めることについては大きな意義があると考えております。本訓練は、日米同盟を基軸としつつ、各国の経験や知見を共有し、衛生分野における連携を向上させるものです。特にドイツは、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を我が国と共有する重要なパートナーであり、近年、インド太平洋地域への関与を一層強めています。地理的には離れていても、欧州とインド太平洋の安全保障は密接に結び付いています。欧州の平和と安定はインド太平洋の安全保障につながり、また、インド太平洋の平和と安定も欧州の安全保障に影響を及ぼします。こうした認識の下、同志国が国際法に基づく自由で開かれた国際秩序を共に支え、地域の平和と安定に貢献することは、国際社会全体にとって重要であると考えています。
     なお、私が航空幕僚長在任中(※)に、用務で入間基地に行ったところ、当時のドイツの軍医総監が入間基地を訪問され入間病院長と話をされていました。そういったことからも、当時から入間病院とは密接な関係にありまして、安心感と経験値というのもあったかというふうに思います。
     いずれにしましても、前航空幕僚長(※)という立場で考えましても、入間病院を軸にして、そういった訓練ができることは大変喜ばしいことであると考えています。加えまして過去の話ではありますが、航空幕僚長のときにドイツの空軍総監が2回目の訪日をし、一緒にユーロファイターとF-15で飛んだことがありました。運用面もさることながら、今般のように後方、とりわけメディカル・衛生の分野でも連携を深めていくということは、運用・後方両面において連携が深まっていくということで、これもまた歓迎するところであります。

    記者:

    AIの関連でお尋ねします。自衛隊の統合作戦を支える意思決定支援システムの整備に当たって、統幕長は9月の記者会見で、AIの分析に誤りが含まれることや、学習データの偏りに伴うバイアスについて触れており、こうした観点をしっかりと踏まえて検討を進めていくと言っていました。AIの誤りや、最近のAIの暴走ということも懸念が指摘されていますが、こうしたリスクは意思決定支援システムの整備に当たって制御可能だとお考えでしょうか。あるいは、十分に制御できないという前提に立って、指揮官がしっかり判断していくべきだというお考えでしょうか。

    統幕長:

    過去、この記者会見の場で、お尋ねのとおり、AIについての脆弱性について申し上げました。もう1度整理いたしますと、出力に誤りが含まれることによる信頼性の懸念、2点目が学習データの偏りに起因するバイアス、3点目が偽情報や誤情報の生成、4点目が外部からの攻撃、そして5点目が機微なデータの漏えいなど、様々なリスクが存在するということを申し上げました。また、AIの出力を過度に信頼する、いわゆる自動化バイアスというものによって、人間の判断が不当に影響を受ける可能性についても、十分留意することを申し上げました。その際、AIが担うのは、あくまで情報の整理・分析や選択肢の提示など、人間の判断を支援する役割であります。最終的な意思決定と責任は、指揮官をはじめとする人間に帰属するという原則の下、我が国の主体的な意思決定、そして人間による適切な関与、国際人道法をはじめとする法的適合性、AIの安全性・信頼性及びデータの適切な管理を確保しながら、責任あるAIの活用を推進してまいりたいと思います。

    記者:

    このAIによって最終的に出された選択肢に対して、今言われたように、決心する責任と決断というのは人間にあるとお伺いしましたが、ここでいう責任を負う人間とは、指揮官のことを指すのでしょうか。

    統幕長:

    AIと一言で申しましても、あらゆるレイヤー(層)で使用されますので、最終的には指揮官に帰属すると思いますが、それぞれのレイヤーで関わる人が、それぞれ自分の役割をしっかりと果たしていくということが必要だと考えております。それによって、単一の人間に過度に依存することなく、一人ひとりがしっかりとした役割を果たすことによって、総合して人間が適切な関与をすることに到達すると考えております。

    記者:

    北海道網走市において、災害派遣が実施されていると思いますが、今の態勢と現状の消火活動の状況などが分かりましたら教えてください。

    統幕長:

    昨日10月15日、北海道網走市美岬付近において林野火災が発生したことに伴い、本日の8時25分に、北海道知事から陸上自衛隊第5旅団長に対して災害派遣要請がありました。要請を受けた部隊は、本日8時42分から、UH-1×3機をもって空中消火活動を実施中であります。引き続き、自衛隊としましては、自治体のニーズに基づき、関係機関と緊密に連携しながら空中消火活動に万全を期してまいりたいと考えております。

    記者:

    「キーン・ソード27」に関連して、1点お伺いします。今回の演習では、日米間でターゲティング情報の共有についても演練されるのか教えてください。

    統幕長:

    お尋ねの件につきましては、運用の細部にあたり、また機微な内容でもありますので、この場でのお答えを差し控えたいと思います。

    ※:下線部『航空総隊司令官』