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内倉統合幕僚長 記者会見

日時:令和8年9月4日(金)14:00~14:15

場所:防衛省A棟10階会見室

備考:定例会見

    1.発表事項

    なし。

    2.質疑応答

    記者:

    令和9年度の概算要求と、自衛隊指揮官幹部会同での高市総理からの訓示についてお伺いいたします。今週、令和9年度の概算要求が公表され、特にAIや無人アセットの分野で多数の事項要求が盛り込まれました。また、幹部会同での高市総理からの訓示でも、AIやドローンなどの無人アセットについて、より一層のスピード感を持って導入することは当然との発言がありました。これを統幕長としてどう受け止めているか教えてください。

    統幕長:

    まず、ご質問の一点目についてお答えいたします。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、自衛隊は、国民の命と平和な暮らし、そして、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、防衛力強化を含む取組を着実に推進していく必要があります。現行の国家防衛戦略と防衛力整備計画の策定当時に想定していた以上の速度と複雑性をもって国内外の情勢が変化し、更なる対応が必要な状況であります。このため、本年中に三文書を改定し、5年以内に防衛力を変革することで、抑止力・対処力を大幅に強化していくこととしております。令和9年度概算要求においては、本年中の三文書改定によって示される防衛力の変革の方向性も見据え、「新しい戦い方」への対応、そして持続的な対応能力、さらには防衛力の基盤の3本柱を重視しています。いずれにしましても、統合幕僚監部としましては、戦い方の変化や防衛力整備の進捗も踏まえながら、引き続き適切な防衛力整備に努めてまいりたい。このように考えております。
     そして、事項要求についてもお尋ねがありましたが、三文書の改定に関する議論を踏まえ、今後の予算編成過程において検討していくものと承知しております。自衛隊としましても、増加する予算の必要性について国民の皆様のご理解を得られるよう、これまで以上に丁寧に説明を尽くしながら、防衛力の一層の強化、そして変革のために必要な予算をしっかりと確保してまいりたい、このように考えております。
      大きな2つ目のご質問についてであります。まずもって、私には想像もつかないような大変お忙しい中、直接訓示を拝聴する機会のみならず、その後、昼食会まで開催していただきましたことにつきまして、改めて内閣総理大臣にお礼を申し上げたいと思います。そうした貴重な機会であり、そして大切な訓示でしたので、昨日、一昨日と何回も読み返しました。そして、私自身が今後の隊務、自分の仕事にどうやって活かしていくかということを色々と考えた次第であります。最高指揮官たる総理大臣から私ども幹部に対し、厳しさを増す安全保障環境と戦い方の変化にどう対応し、自衛隊をどう導き、そして国民の命と平和な暮らしをどう守り抜くのか、私ども自身の使命を改めて確認する機会をいただいたものと考えております。その上で、私自身いくつかの点が大変心に強く残りました。その中でご質問のあった点に絞ってお答えします。「信頼・変化を恐れない・衆知を集める・人を育て、大切にする」という、この4つについて特に心に強く響いたところですが、2番目の「変化を恐れない」という点で、AI、サイバー等の無人アセットについての言及があったかと思います。そこについての私の受け止めですが、昨日までの平和が明日からの平和を保証しない中、AIや無人アセット、サイバー、宇宙、電磁波領域の能力などによって、戦い方そのものが大きく変わっております。過去の常識に安住せずに変化を先取りし、私たち自身がスピード感を持って変わり続ける覚悟が必要であると、そのように受け止めた次第です。統幕長になる前に航空幕僚長を拝命し、その中で航空自衛隊は航空宇宙自衛隊に向かっていく、隊務運営に携わりました。そのときも私自身、宇宙について自分なりに勉強していたんですが、やはり宇宙分野、宇宙領域というのは非常に奥が深く、幅も広くて、一言で言うと「宇宙リテラシー」というものを身に付けるのに大変苦労いたしました。そして現在も同じです。同様にサイバーも、そして電磁波領域も非常に学ぶことが多く、私自身も含めて学ぶことをやめることができません。しっかりと専門家の方々の意見を拝聴しながら、より早く、よりしっかりとした防衛力整備を築いていきたいと思います。

    記者:

    令和9年度の概算要求の関連でお伺いします。AIの導入について以前の会見でもお話いただいたと思いますが、改めてAIシステムを指揮統制などに取り入れることの課題について統幕長の考えをお聞かせください。

    統幕長:

    現在、AIを活用した高度なデータ処理・分析を背景として、意思決定のスピードが飛躍的に高まっていると認識しております。自衛隊としましても、指揮統制などの分野においてAIの活用を推進するとともに、強い危機感を持って導入を進めていく必要があると考えております。また、特に指揮統制の分野におけるAIの活用においては、我が国の主体的な意思決定を確保することが当然の前提であります。その際、AIの活用に当たっての課題でありますが、誤りが含まれ得ることによる信頼性の懸念、学習データの偏りなどによるバイアスが生じるリスク、国際人道法をはじめとする法的適合性、さらには人間による適切な関与の在り方といった論点が存在するものと認識しております。自衛隊の統合作戦を支える意思決定支援システムの整備に当たりましては、取り分け、こういった観点もしっかりと踏まえながら、必要な機能を備えたシステムとなるよう検討を進めてまいりたい、このように考えております。

    記者:

    先ほど統幕長から言及がありました、「宇宙リテラシー」という用語が大変興味深いと思いましたが、もう少し詳しく教えてください。

    統幕長:

    航空宇宙自衛隊への移行の中にある、航空幕僚長の所管ではありますが、あえて一般論として申し上げます。私の印象としましては、宇宙領域というものは航空領域に隣接しておりますが、必ずしもその延長では語れないということです。大気圏内の話、そして宇宙領域の話については、適用される物理学も違いますので、そういった基礎的なことから、宇宙領域が持つ独特の特性、そういったものについてもしっかりと理解する必要があります。具体的に申し上げますと、宇宙領域そのものだけで低軌道、中軌道、静止軌道、ここだけでも3つのレイヤー、軌道がありますので、宇宙の中に3つの領域があると考えてもおかしくないぐらい、それぞれの軌道によって性質や特性が違います。そういったことを総称して申し上げました。

    記者:

    総理の訓示に関連してお尋ねします。訓示でも触れられているように、実力組織で厳格な指揮命令系統を持つ自衛隊は、衆知を結集する仕組みとは一見なじまない面もあるかと感じられますが、統幕長として、訓示で総理が述べられた衆知を結集する仕組み作りに対して、どのように取り組まれていくおつもりでしょうか。

    統幕長:

    4つの点において心に強く残ったと先ほど申し上げましたが、そのうちの一つが、「衆知を集める」ということであります。具体的には、現場の隊員の声に丁寧に耳を傾け、そして隊員のみならず、専門家、他省庁、自治体、民間、研究機関など、それぞれの知恵を結集する。その力こそが複雑化、多様化する安全保障上の課題に対応し、自衛隊を変革し、強くする原動力になると受け止めております。ご質問の点にもう少し具体的にお答えしますと、自衛隊は階級社会であり、階層社会でありますが、必ずしも、階級の高い人、そして年次の高い人、年齢の高い人が「宇宙リテラシー」が高いとは限りません。知っている人が、自分が知っていることをしっかりと述べられる組織、そして上司が言ったことであっても、間違いを間違いとしっかり指摘できる組織、それが「衆知を集める」ことの一つの原点だと考えます。今、一般に言われている「フラット化」という言葉が一つ当たると思います。その「フラット化」を象徴する振る舞いは、双方向性コミュニケーションです。一方的に上司たる指揮官がああしろ、こうしろと言っても、なかなか届かない、部隊一人一人までなかなか徹底できないということは、指揮官が言っている内容か伝え方に問題があると思います。自らを振り返って、そこを改善する。そして受け止める隊員側も、上司の意図を理解するためには、どこを努力する必要があるのかということを、中間段階にいる各級指揮官一人ひとりが丁寧に伝えて、総理、防衛大臣、あるいは私、JJOC司令官の、それぞれがどのような考えを持って部隊運営に当たっているかということを丁寧に説明するということが、まず必要だと思います。繰り返しますが、双方向性コミュニケーション、これが従来以上に必要になっています。そのぐらいネットワークが進んで、インターネットがこれだけ普及しまして、そして、いろんなことが誰であっても検索できる、情報にアクセスできる世の中ですので、まさに知っている人、階級、年齢、性別にかかわらず、その英知を結集するということを「衆知を集める」と総理がおっしゃったと理解しました。そして、それを私自身も先頭に立って実践してまいりたいと考えております。

    記者:

    先週も少し話題になりましたSNSの関係で、昨日、熊本地震で被災された高校生の皆様からのお手紙をご自身のXに投稿されて、「胸の中にあります」とおっしゃられていた運用が一つ始まったのではないかと思いますが、可能な範囲でこれを投稿された経緯のようなものがあれば、また、引き続きどのようにSNSで発信していきたいかという思いがあれば教えてください。

    統幕長:

    先週もこの場でご指摘を受けたので、今日までに発信しようというようなつもりではなかったということを冒頭に述べておきます。その上で申し上げますと、一番気になっておりました熊本地震の被災地の状況は、復旧・復興フェーズに移行して少し状況が変わったということ、そして令和8年8月千葉豪雨、その後に発生した北陸3県の豪雨におきましても、自衛隊の災害派遣を実施することなく今に至っていますので、少し全体の状況が落ち着いていると判断し、ご質問のありました高校生からの温かい手紙を読み、私自身が立ち止まっている場合ではなく、またできる発信をしっかりしていかなければいけないと、あの手紙に私自身が背中を押されたため、発信した次第です。

    記者:

    お手紙については、どこに届いたものを発信されたのでしょうか。

    統幕長:

    組織全体に届きました。

    記者:

    2日に大臣に手交された笹川平和財団の提言についてのお伺いです。元事務次官・統幕長等のグループにおける提言では、人手不足への対応から、自衛隊への外国人登用の可能性を真摯に検討すべきとしていました。自衛隊における外国人の登用について、統幕長のお考えをお聞かせください。

    統幕長:

    お尋ねのありました、個々の民間団体による提言の内容の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきます。
     その上で申し上げますと、防衛省は従来から、公務員の国籍に関する当然の法理として、自衛隊への応募資格等を日本国籍を有する者に限ってきております。いずれにしましても、自衛隊の人材確保は大きな課題でありまして、防衛省としてしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。