Message

メッセージ

内倉統合幕僚長 記者会見

日時:令和8年7月10日(金)14:00~14:16

場所:防衛省A棟10階会見室

備考:定例会見

    1.発表事項

    本日は、私から、令和8年度自衛隊統合防災演習についてお知らせいたします。自衛隊は、7月21日から24日までの間、南海トラフ地震発災時における自衛隊の指揮幕僚活動並びに関係府省庁、地方公共団体、指定公共機関、米軍及び豪軍との連携について演練し、災害対処能力の維持・向上を図るため、令和8年度自衛隊統合防災演習を実施いたします。今後とも自衛隊は、防災関係機関、同盟国・同志国等との連携を強化するとともに、災害をはじめ、あらゆる事態への備えに万全を期してまいります。

    2.質疑応答

    記者:

    今言及のございました、「自衛隊統合防災演習」につきまして伺います。どのような演習をするのか、概要の説明をお願いします。また、去年も実施しているかと思いますが、今回の特色や去年との違いなどもあれば、そちらも伺えればと思います。

    統幕長:

    まず概要からお伝えします。通称「08JXR」と申しますが、この演習は南海トラフ地震発生時における自衛隊の指揮幕僚活動並びに関係府省庁、地方公共団体、指定公共機関、米軍及び豪軍との連携について演練し、自衛隊の災害対処能力の維持・向上を図ることを目的とした指揮所演習であります。本演習は、南海トラフ地震による広域かつ甚大な被害に加え、夏場の特性を踏まえた状況を付与し、防衛省市ヶ谷地区を中枢として、各参加部隊等の所在地において、災害応急対処及び関係機関等との連携要領を演練いたします。私は統裁官として演習全般を統括しますとともに、防衛省災害対策本部の事務局長としまして災害対応の統括を演練いたします。また、本演習におきましては、統合作戦司令官の一元的な指揮の下、自衛隊が実施する災害応急対処活動に係る統合運用について総合的に演練いたします。
     2つ目のお尋ねにつきまして、昨年度との差異及び特色について3点お答えいたします。1点目は演習想定の違いであります。「07JXR」は冬場、冬季における首都直下地震を想定した演習でありましたが、「08JXR」では夏季における南海トラフ地震を想定して演練を行います。広範な地域における多数の要救助者の発生や、熱中症を含む災害関連傷病者への対応など、南海トラフ地震及び夏場特有の状況を踏まえた災害対処能力の維持・向上を図ります。
     2点目です。関係府省庁の参画であります。関係府省庁には、従来から本演習に研修などの形で参加いただいておりましたが、今回は緊急災害対策本部等の要員役として参画いただき、各府省庁との連携調整要領について、より実際的な環境で演練をいたします。
     3点目です。内閣府が整備する新総合防災情報システム、「SOBO-WEB」の活用です。「SOBO-WEB」は被害情報や避難所情報などを地図上に集約し、関係機関が共有するためのシステムです。今回の演習では本システムを活用し、指揮幕僚活動を演練いたします。

    記者:

    南太平洋の情勢について伺います。先日、フィジーがオーストラリアと有事の際の相互防衛を定めた条約に署名しました。ニュージーランドも参加について検討しているという報道があります。南太平洋を巡っては、昨年はオーストラリアがパプアニューギニアと防衛条約を結んだということで、オーストラリアやアメリカに傾いている国が増えてきているなという印象を受けますが、現在のこの情勢、それからインド太平洋地域の安全保障に与える影響というのをどう見てらっしゃるか伺います。

    統幕長:

    今お尋ねがありました一連の報道については承知しております。ただし、個別の報道の内容ですとか、各国間の外交安全保障上の取決めの詳細について、私の立場から論ずることは差し控えたいと思います。その上で申し上げますと、オーストラリアとフィジーは長年にわたり地域における協力を深化させてきたパートナーであると認識しております。今回、広範な協力枠組みとともに締結された相互防衛条約は、これまでの両国の協力関係を一段引き上げ、多様な課題の解決のために協力を深化させるものと認識しております。今年の2月に、小泉防衛大臣は、多国間の大臣級会合であるJPIDDを主催いたしましたが、これにはフィジー及びオーストラリアからも参加を得ました。小泉大臣からは、日本と太平洋島嶼国を繋ぐ海を「平和の海」として共に守り抜くため、結びつき・連結を強化し、自律的で強靭な地域を共に築き上げることを呼びかけ、参加者から賛同が得られたと認識しております。インド太平洋地域を含む安全保障環境は一層厳しさと複雑さを増しており、各国がそれぞれの立場や状況に応じて、安全保障上の協力関係を強化していく動きが見られているものと認識しております。
     また、私自身の経験を踏まえて申し上げますと、昨日付で退役しましたオーストラリアのジョンストン国防軍司令官も会うたびにこの地域の重要性を述べておられました。また、ニュージーランドの国防軍司令官も同様です。我が国よりも地理的に大変近接しておりますので、伝統的に関わり合いが深い地域だと感じております。また、2年前に航空幕僚長という立場でパプアニューギニアを訪れました。先ほどパプアニューギニアとオーストラリアの関係についてもお尋ねがありましたが、当時から、まず現場において、いかにパプアニューギニアとオーストラリアの関係が深いかということを実地に経験してまいりました。それ以降、パプアニューギニアの国防軍司令官であるポレワラ少将と折に触れやり取りをしておりますが、よくオーストラリアとの関係の重要性について言及されています。

    記者:

    現在の安全保障環境においても、南太平洋は非常に重要な地域になっているかと思いますが、軍隊を持たない国も多い中で、今までも人道支援、能力構築支援、IPDでの訓練等を行ってきているかと思いますが、各国との連携を深める意義と、今後どういう協力ができそうかという点について、教えていただければと思います。

    統幕長:

    全般として、太平洋島嶼国が位置する南太平洋は、インド洋と太平洋を結ぶ重要な海域です。海洋国家である日本にとって、南太平洋が、引き続き自由で開かれた「平和の海」であることは、我が国はもとより、地域の平和と繁栄のために重要な意義を有すると認識しています。その上で、我が国にとって、太平洋島嶼国への関与を強化することは、我が国の平和と安全に直結する海洋秩序の維持・強化に資するものと認識しております。南太平洋において、自由で開かれた海洋秩序を確保し、航行・飛行の自由や安全を守る取組を後押しすることは、我が国にとって極めて重要であると考えています。また、軍隊を保有している三か国とそれ以外の国がありますが、軍隊を保有する三か国については、基本的に軍隊を中心に防衛協力・交流を深めてまいりたいと思います。それ以外の国につきましては、それぞれの国情に応じたニーズにしっかりと耳を傾けながら、日本としてできる協力を模索していきたいと思います。

    記者:

    仮定の話で難しいかもしれませんが、特に、軍隊を持たない国に対して、現状行っている協力や支援に加えて、今後何かできそうな支援はありますでしょうか。

    統幕長:

    個別の国にどのような協力をしていくかについて、ここで一つ一つ述べることは差し控えたいと思います。JPIDDの際にも、軍隊を持っていない国におかれましては、法執行機関が主として参加されておられました。そういった国々の皆様に、海上においてどのように密輸などを防ぐのかといった点について、様々な形でアドバイスできるのではないかと思います。また、気候変動についても共通の危機感を持っている国が多数ありましたことから、日本も台風や激甚化する自然災害に直面している経験を踏まえて、そうした知見を共有する協力ができると考えております。

    記者:

    JXRについてですが、米軍及び豪軍との連携について、具体的に、それぞれの国とどのような訓練を行うのか教えてください。過去には、物資輸送や共同の指揮所訓練などが行われていたかと思いますが、例年と比べて、この2か国との間の連携強化で、より期待することがあれば教えてください。

    統幕長:

    まずアメリカとオーストラリアを分けてお答えしたいと思います。
     米軍につきましては、昨年度に引き続き同盟調整メカニズムを活用した在日米軍との連携を主に演練する予定です。具体的には、日米防衛協力のための指針に基づき、情報共有や連絡調整、米軍による支援に係る調整要領等について演練いたします。過去の参加実績でありますが、平成24年度から参加しており、本年度で14回目の参加となります。具体的な内容につきましては、この後、皆様に対してご説明の機会がありますので、そちらでお尋ねください。概括的に申し上げますと、東日本大震災における「オペレーション・トモダチ」という米軍の作戦がありましたが、その際に得られた教訓を踏まえ、今次発生するかもしれない南海トラフ地震への対応に適用する形で、最善を尽くすことを考えております。
     続きまして、豪軍についてであります。昨年度に引き続き、統合幕僚監部等が豪軍と連携し、災害対処での豪軍による支援に関わる連絡調整を演練いたします。参加実績につきましては、令和5年度から参加しており、今回で4回目の参加となります。細部につきましては、後ほどご説明させていただきます。また、米軍による「オペレーション・トモダチ」はとても有名ですが、同時に、当時豪軍も支援をしてくれておりました。それは「オペレーション・パシフィック・アシスト」と申しまして、豪軍が当時導入したばかりのC-17という虎の子の輸送機を、日本の支援のために送り込んでくれました。そういった日本に対するシンパシーもありますし、行動で表してくれる心強い国でありますので、この想定下において、どのような支援や協力が得られるかということをしっかりと意思疎通を図ってまいりたいと思います。

    記者:

    中国が6日に潜水艦発射型弾道ミサイルを発射したことについて、受け止めを教えてください。

    統幕長:

    7月6日の中国による潜水艦発射型弾道ミサイル発射に関しては、我が国の領域や排他的経済水域の上空を通過したことは確認されておりません。中国については、国防費を継続的に高い水準で増加させ、十分な透明性を欠いたまま、核・ミサイル戦力を広範かつ急速に増強させています。また、我が国周辺における軍事活動を益々拡大、活発化させています。このような中国の軍事動向等は、その透明性の不足と相まって我が国と国際社会の深刻な懸念事項となっています。自衛隊としては、引き続き、必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視等に万全を期してまいります。

    記者:

    中国は、事前通告で日本の太平洋側のEEZに宇宙ゴミが落下する区域を設定していましたが、これに関して自衛隊としては追尾する態勢を取られていたのか教えて下さい。

    統幕長:

    自衛隊は、平素より警戒監視・情報収集に万全を期しておりますが、お尋ねのあった、自衛隊の細部の態勢については、我が方の手の内を明らかにすることから、お答えが困難であることをご理解ください。