インドは、サイバー攻撃、ハイブリッド戦、情報戦といった現代の課題に対抗するために、「適応型防衛」を構築する旨の発表をしている6。また、シン国防相は2025年8月の演説のなかで、ウクライナでの戦い方を事例にあげ、現在の戦いでは無人航空機や精密誘導兵器などが決定的な役割を果たしていると述べるとともに、21世紀の現在はサイバー戦、AI、無人航空機、衛星による監視が将来の戦争を形成していると指摘している。
無人航空機の分野においては、国防研究開発機構(DRDO:Defence Research and Development Organisation)は同年7月、インドのスタートアップ企業が開発した無人航空機から、対装甲車用の弾頭を搭載した無人航空機発射型精密誘導ミサイルの発射試験の成功を発表するなど、無人航空機の活用や性能向上のための開発を進めている。また、陸軍は、部隊においても無人航空機を生産する取組を実施しており、監視用や攻撃用などの無人航空機を同年末までに819機生産したと発表している。
また、AIについても積極的な投資や政策を発表している。2018年にタスクフォースを立ち上げ、防衛分野におけるAIの研究・開発を開始している。2022年7月には、印国防省主催の初のAIに関する展示会「AiDef」を開催し、新たに開発された技術などを発表し、防衛分野への積極的なAIの活用を表明している7。インドは、AIを活用した無人航空機のスウォーム(群れ)技術の開発も行っており、2021年1月には75機の無人航空機を使用したスウォーム攻撃のデモンストレーションを公開しているほか、陸軍の演習の一部にも無人航空機のスウォーム技術を取り入れているとしている。
このほか、インド軍は2025年8月に公表した「複数領域(マルチドメイン)作戦のための統合ドクトリン」において、新たな領域として、宇宙・サイバー・認知領域の重要性を指摘している。偽情報と心理作戦の影響が増大することで、国民の認知が再構築され、社会的分断を増幅させることにより、伝統的な軍隊にとって課題となりうると指摘したうえで、認知領域の優位性を獲得することが、平時から有事に至る紛争の範囲のなかで、最も重要な要素である可能性を示している。
継戦能力の確保に関する取組では、「自立したインド」政策のもと、弾薬の備蓄を目標水準まで増強し、各種類につき少なくとも2つのサプライヤーを確立するとともに、ロードマップを策定し、全ての種類の弾薬について、最低1つの国内サプライヤーを確立する旨を発表している。