韓国では、主に人口減少に伴う兵力不足や安全保障環境の変化に対応すべく、無人アセットやAIなど、先端技術の導入を含めた国防改革を推進してきた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権では「国防革新4.0」基本計画が策定され、北朝鮮による核・ミサイル脅威、戦争様相の変化、北東アジア地域における安全保障の不安定化、国内における人口減少に伴う兵力不足などの課題に対応するために、最先端科学技術を積極的に導入・活用し、「AI科学技術強軍」を目指すとしていた。この計画では、ウクライナ侵略で無人アセットや宇宙・サイバー領域の重要性が高まっているなか、有人兵力を中心としたシステムから、AIを基盤とした「有・無人複合戦闘システム」への転換を推進していくことが提示された。
李在明(イ・ジェミョン)政権もこうした流れを引き継ぎ、「AI・先端科学技術基盤のスマート強軍育成」のために国防改革ロードマップを策定し、「有・無人複合システム」を高度化する旨が示された。また、李在明大統領は「ゲームチェンジャーとなる人工知能、ドローン、ロボットなどの先端技術に集中投資する」と言及している。
無人アセットの分野においては、例えば国防部は、「50万ドローン戦士」という目標を掲げ、全ての将兵が無人航空機の操縦技術を習得できる環境を整備することを目指している。また、人的損耗を最小限に抑えるためリスクを伴う任務に無人アセットを活用することとしており、攻撃能力を備えた無人アセットなどを継続的に導入していく方針である。2025年10月の「国軍の日2025」記念行事では、「ステルス無人編隊機」、「多目的ステルス無人機」、「小型自爆無人機」といった各種無人航空機が初めて公開されたほか、偵察用・戦闘用の無人地上車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle)などの無人アセットも登場した。今後、こうした無人アセットの開発・整備に注力していく姿勢がうかがえる。
また、AIの分野では、同年11月に第1回科学技術関係閣僚会議が開催され、「国防AX戦略(AI Transformation)」について議論された。韓国政府の発表によれば、国防におけるあらゆる分野にAIを段階的に導入していく方針であり、例えば、陸・海・空の無人アセットへのAIの導入のほか、戦闘地域における状況をリアルタイムに分析して意思決定を支援する「AI戦闘参謀」や、政策立案を支援する「AI政策参謀」といった事業を進めていくこととしている。また、政府一体としてAIの導入に注力しているなか、国防部においても2026年のAI関連予算を約1,244億ウォンに増額しており、民間の先端AI技術を国防分野に活用するために新たな事業を推進するとしている。