中国は、自らを取り巻く国際環境や同時代の戦争の様相に対する認識に基づいて、それに対応する軍事戦略を発展させてきた。中国は、科学技術の発展に伴い、AI、量子技術、ビッグデータなど最先端技術の軍事分野における応用が加速するなかで、軍事競争の枠組みには歴史的な変化が生じていると認識している。その上で、戦争の形態は、情報システムを基盤としたネットワーク中心の統合作戦を展開する「情報化戦争」から、「IoT(Internet of Things)システムに基づき智能化した武器装備とそれに対応した作戦方法を利用して、陸、海、空、宇宙、電磁波、サイバーおよび認知領域で展開」される「智能化戦争」に変化していると指摘している。このようななか、中国は、将来の戦争に勝利する戦闘力を有する軍隊を建設し、軍の目標を実現するために、軍隊の智能化が必要条件であると認識し、具体的には、先端技術を習得し、イノベーション大国になることによって、「智能化戦争」下で戦える、勝てる軍隊の建設を目指しているとみられる。
「智能化戦争」に関し、中国軍は、無人アセットを重要な智能化技術と考えており、スウォーム攻撃、最適化された兵站支援、分散された情報収集・警戒監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)活動などを可能にするために、無人の陸・海・空のアセットの自律性を高めることを追求していると指摘されている。
さらに、新技術によって将来戦闘の速度とテンポが上昇し、戦場での不確実性を低減して情報処理の速度と質を向上させ、潜在的な敵に対する意思決定の優位性を提供するためには、AIの運用が必要であると認識していることや、智能化されたスウォームによる消耗戦など、智能化された戦争のための次世代の作戦構想を模索していることなどが指摘されている4。2026年3月に策定された第15次5か年計画においても、無人化・智能化した作戦力の育成や、国防科学技術イノベーションと先端技術の実用化を急ぎ、先端兵器の発展を加速させる旨言及されている。中国はウクライナの戦場から無人アセットやAIの運用を含む多くの教訓を得ていると指摘されており、現在進行中の取組の重要性を再確認するとともに、軍事訓練などに迅速に反映させようとしていると指摘されている5。