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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

第10節 中東・アフリカ

1 中東

1 全般

中東地域は、アジアと欧州をつなぐ地政学上の要衝である。さらに、世界における主要なエネルギーの供給源で、国際通商上の主要な航路があり、また、わが国にとっても原油輸入量の約9割をその地域に依存しているなど、中東地域の平和と安定は、わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要である。

一方、この地域では、米国およびイスラエルとイランとの間の高い緊張状態に加え、イスラエルとパレスチナ武装勢力間の衝突など、不安定な情勢が継続している。

2 イスラエル情勢
(1)軍事

イスラエル軍は、その任務をイスラエル国家とその市民の防衛であるとしている。イスラエルはF-35戦闘機を保有するなど、周辺国に対し、軍事力の質的優位を維持している。また、周辺国や組織から発射されるロケット弾やミサイルなどから自国を防衛するために、アロー、ダビデ・スリング、アイアン・ドームといった防空システムにより、多層的な防空体制を築いている。

(2)パレスチナ武装勢力との対立

1993年、イスラエルとパレスチナの間で、パレスチナ人がガザ地区およびヨルダン川西岸地区で暫定自治を行うことなどを決めたオスロ合意が締結され、双方は平和的な共存に向け、交渉による和平プロセスを開始した。しかし、交渉は進展せず、イスラエルとパレスチナとの間で繰り返し衝突も発生しており、和平プロセスは停滞している。

そうしたなか、2023年10月7日、ガザ地区で活動するハマスなどのパレスチナ武装勢力がイスラエルに対し、数千発のロケット弾を発射した。また、多数の戦闘員がイスラエル領に侵入し、イスラエル軍兵士や外国人を含む民間人を殺害・拉致した。これを受け、イスラエル軍は同日ガザ地区への空爆を、また同月27日以降、ガザ地区内において地上作戦を開始した。

イスラエル軍は、ガザ地区内でハマスの戦闘員の殺害、武器の押収・破壊、地下トンネル網の解体、人質の救出などを実行したが、同地区内では、イスラエル軍の攻撃により多数の民間人の死傷者が発生した。

パレスチナ自治区ガザ北部を走行するイスラエル軍の戦車(2023年12月)【AFP=時事】

パレスチナ自治区ガザ北部を走行するイスラエル軍の戦車(2023年12月)
【AFP=時事】

その後、2025年1月19日、米国、エジプトおよびカタールの仲介によるイスラエルとハマス間の停戦合意が発効した。同合意に基づき、一部の人質は解放されたものの、3月18日、イスラエル軍は、ハマスが停戦延長案を拒否したなどとして、大規模な攻撃を再開した。

それ以降、残る人質の解放や停戦に向けた協議は難航していたものの、同年9月29日、米国は、停戦や将来の統治体制等を含む「ガザ紛争終結のための包括的計画」を発表し、同年10月9日、この計画に基づき、当事者間で第一段階での合意が成立した。イスラエル軍は合意で定められたラインまで部隊を撤退させ、また、ハマスは生存している人質全員を解放した。一方で、ハマスによる人質の遺体の返還は期限内になされず、イスラエルはこれを停戦合意違反と強く非難した。

同月19日、イスラエルは、ガザ地区でイスラエル兵が死亡したことを受け、これをハマスによる攻撃であるなどとして、大規模な報復攻撃を実施した。その後、イスラエルは停戦維持の意向を表明するも、連日散発的な攻撃が発生している。

この間、ハマスによる人質の遺体の段階的な返還や「ガザ紛争終結のための包括的計画」の第二段階に向けた協議も行われ、2026年1月14日、ウィトコフ米特使は、この計画の第二段階への移行を発表した。さらに、トランプ米大統領が議長を務める平和理事会のもと、パレスチナ人のテクノクラートで構成されるガザ行政国家委員会など、ガザ統治に関する諸組織が発足した。

一方、第二段階に含まれるハマスの武装解除については当事者や仲介国間での認識が異なっており、具体的な取組の進展も不透明であるところ、今後も動向を注視する必要がある。

(3)ヒズボラとの対立

2023年10月にイスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突が始まった後、イスラエル北部では、ヒズボラによるロケット弾、無人航空機、ミサイルによる攻撃などが頻発した。これに対し、イスラエル軍はヒズボラの軍事拠点に対する空爆などで応戦し、ヒズボラの最高指導者(当時)であるナスラッラー師を含む多数のヒズボラ幹部や戦闘員を殺害した。

また、2024年9月にはヒズボラの戦闘員らが使用する多数の通信機器が一斉に爆発する事案が生じ、イスラエルは同国の関与を認めた。さらに、同年10月には、イスラエル軍はレバノン南部に対する地上侵攻を開始し、ヒズボラへの攻勢を強めた。その後、米国とフランスの仲介により、同年11月、イスラエルとレバノン政府の間で、イスラエルとレバノンの国境地帯といったレバノン南部からのイスラエル軍の撤退およびレバノン南部におけるヒズボラの武装解除などを含む停戦合意が結ばれた。

しかし、合意で定められた撤退の期限である2025年2月18日以降も、イスラエルは、レバノン政府およびヒズボラが停戦合意を完全に履行していない旨主張し、レバノン南部の5か所で軍の駐留を継続した。さらに、同年3月にレバノン側からの攻撃を受けて以降、イスラエル軍はベイルート近郊や南部などにおいてヒズボラ戦闘員や武器庫などへの空爆をたびたび実施した。

一方、レバノン政府は、同年8月に年内のヒズボラの武装解除を目指す方針を示し、2026年1月8日、第一段階の目標であった、レバノン南部のリタニ川以南におけるヒズボラの武装解除を達成したと発表した。しかしイスラエルは、レバノン政府の取組を一定程度評価しつつも、不十分であるとしている。

こうしたなか、ヒズボラは、2026年3月2日、米国およびイスラエルの攻撃によりイランの最高指導者ハメネイ師が殺害されたことの報復として、イスラエルに対し、ロケット弾による攻撃を行った。これに対し、イスラエルは空爆と地上作戦を開始した。また、ヒズボラの武装解除について、イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノン政府が実施しない場合、イスラエルが行うと表明した。

同年4月8日、米国およびイランが攻撃の停止を発表し、その後16日には、イスラエルとレバノンが米国の仲介により、10日間の停戦に合意した。しかし、以後もイスラエルはレバノン国内に駐留し、ヒズボラが停戦合意に違反しているなどとして、レバノンへの攻撃を行い、ヒズボラもイスラエルへの攻撃を再開しており、同年5月にはイスラエルによるレバノン首都南部への攻撃もたびたび行われた。さらに同月31日、ネタニヤフ首相は、レバノンでの地上作戦拡大を指示したとされる。

(4)ホーシー派との対立

2023年10月19日以降、ホーシー派はガザの人々との連帯を主張し、イスラエル領内に対して散発的にミサイルや無人航空機などを発射していた。イスラエルはアローなどの各種防空アセットにより、これらの多くを迎撃したが、一部のミサイルや無人航空機に対する迎撃の失敗や、迎撃後に発生したミサイルの破片の落下などにより、イスラエル領内で被害が発生した。また、ホーシー派は、イエメン沖を航行する商船を攻撃し、商船の沈没や乗組員の死亡といった事案も発生した。

ホーシー派からの攻撃が続くなか、イスラエルは2024年7月にイエメンのホデイダ港などのホーシー派が支配する地域を初めて空爆し、同年9月、12月、2025年1月および5月から9月にかけて同様に空爆を実施した。

2025年1月19日のガザでの停戦に関する合意発効後、ホーシー派は船舶への攻撃を一時停止していたが、イスラエルによるガザへの物資搬入停止などを理由に、同年3月11日、「イスラエルの船舶」への攻撃再開を発表した。こうしたなかで米国は、同月15日以降、「強力な軍事行動」として、ホーシー派に対する攻撃を実施したが、同年5月、ホーシー派が米艦艇などに対する攻撃を停止することに同意したと発表した。

それ以後、ホーシー派は、イスラエルに対する攻撃を継続していたものの、同年10月9日のイスラエルとハマスの停戦合意後、ホーシー派によるイスラエル本土やイスラエル関連船舶に対する攻撃は確認されていなかった1

しかし2026年2月28日に始まった米国およびイスラエルとイランの攻撃の応酬が続くなか、ホーシー派は、同年3月28日、イスラエルの軍事目標に対し、弾道ミサイルを複数発射した旨、また、あらゆる戦線における侵略が停止されるまで軍事作戦を継続する旨の声明を発出した。その後もホーシー派はイスラエルに対する攻撃をたびたび行った。

参照11節2項2(1)(中東地域における海洋安全保障)

(5)イランとの対立

2025年6月13日、イスラエルは、イランの脅威を取り除くためとして、イランの核関連施設、弾道ミサイル発射機・保管施設や防空システムを含む軍事施設、ミサイル工場のほか、統合参謀総長をはじめとした複数の革命ガード高官、核科学者などを標的とする攻撃を開始した(「ライジング・ライオン作戦」)。攻撃対象はさらに一部のエネルギー関連施設や政府機関へと拡大され、同月16日には、イスラエルはテヘラン上空の制空権を掌握したと発表した。

これらの攻撃に対しイランは、無人航空機や弾道ミサイルにより反撃した。イスラエルは米国の支援や多層的な防空体制により、イランが発射した無人航空機や弾道ミサイルの大半を迎撃したとされるが、一部のミサイルがイスラエル領内に着弾し、イスラエル側にも死傷者が発生する事態となった。

こうしたなか、同月22日、米軍は、イランの核関連施設3か所を攻撃した(「ミッドナイト・ハンマー作戦」)。この攻撃には、B-2戦略爆撃機を含む航空機計125機以上や潜水艦が参加したとされるほか、地中深くに建設された核関連施設を攻撃するため、高い貫通力を持つ大型貫通爆弾GBU-57が初めて実戦投入された。

これに対しイランは、同月23日、カタールに所在する米空軍基地に弾道ミサイルを発射し、米軍はこれらを迎撃した。同日、トランプ米大統領は、イスラエルおよびイランが「完全かつ全面的な」停戦に合意した旨発表した。

2026年2月28日、イスラエルは米国と共に、イランに対する攻撃を開始した。(「ロアリング・ライオン作戦」、「エピック・フューリー作戦」)米国によれば、この作戦を通じて、イランの最高指導者ハメネイ師をはじめ、軍や政府の高官を相次いで殺害したほか、イランの防空システムや艦艇の大部分を破壊し、無人アセットや核関連の産業基盤なども攻撃した。

イランの首都テヘランで爆撃後に上がる煙と炎(2026年3月)【EPA=時事】

イランの首都テヘランで爆撃後に上がる煙と炎(2026年3月)
【EPA=時事】

これに対し、イランもイスラエルおよび米軍基地が所在する湾岸諸国などに対して、弾道ミサイルや無人航空機による攻撃で応戦し、米国やイスラエル側に加え、湾岸諸国にも多数の死傷者や軍事アセットに対する被害が発生した。

同年4月8日、米国およびイランは2週間の停戦で合意した旨を発表し、イスラエルもこの米国の決定を支持するとした。同月11日には、米国とイラン双方の代表団が、パキスタンにおいて、戦闘終結に向けた協議を実施したが、合意には至らなかった。その後、双方による攻撃の応酬が継続するなかにおいても、米国とイランはパキスタンなどを介して合意に向けた交渉を続け、同年6月15日、米国およびイラン双方が戦闘終結などに関する覚書に合意した旨を発表するに至った。同月18日には、トランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領、さらに仲介者としてパキスタンのシャリフ首相がこの覚書に署名した。

参照1節1項(米国・全般)

(6)他国との軍事協力

米国とは「特別な関係」と称される関係を有しており、1960年代から受けている同国からの軍事支援は、現在も毎年38億米ドル相当にのぼるとしている。

米国は、2023年10月にイスラエルとパレスチナ武装勢力の間の衝突が始まった直後から、空母打撃群の中東派遣を発表し、その後も状況の推移に応じて、ペトリオットPAC-3(Patriot Advanced Capability-3)やTHAAD(The Terminal High Altitude Area Defense)といった防空システムのほか、F-22戦闘機などを中東地域に追加展開した。また、中東に展開している米駆逐艦はイランやホーシー派がイスラエルに向けて発射したミサイルなどをたびたび迎撃した。

2024年4月や10月にイランがイスラエルに向けてミサイルや無人航空機を発射した際には、米国だけでなく、英国などの戦闘機部隊も迎撃を行ったとされている。

3 イラン情勢
(1)軍事

イランは、正規軍や治安維持軍に加え、革命体制の防衛のために設立された革命ガードを有している。革命ガードは、対称戦を遂行する正規軍と異なり、一般に非対称戦の遂行を主任務としているとされる。また、隷下部隊に海外工作を担うコッヅ部隊を擁しており、国外のイランに近いとされる勢力の活動などへの支援を通じ、地域に影響力を行使しているとの指摘がある。

米国防情報局は2019年に公表した報告書の中で、イランの軍事戦略について、米国などの航空攻撃・地上侵攻に対処可能な戦力の整備を追求するとしている。また、イランの抑止力は主に3つの核心的能力によって構成されるとしたうえで、①長距離打撃が可能な弾道ミサイル、②ペルシャ湾・ホルムズ海峡の航行を妨害できる海軍能力および③国外のイランに近いとされる勢力などを駆使した対外工作活動に注力していると評価している。

弾道ミサイルについては、1980年代から開発を推進しているとの指摘があり、現在では、短距離弾道ミサイルや準中距離弾道ミサイルを保有している。さらに、イランは2023年に極超音速弾道ミサイルとされるミサイルを公開した。これに加え、イランでは無人アセットの開発も顕著であり、攻撃用や偵察用など、多様な無人アセットを製造している。

こうしたミサイルや無人アセットは前述のイスラエルや米軍基地が所在する湾岸諸国などに対する攻撃で使用されており、イランは2025年6月のイスラエルへの報復攻撃の際に、550発以上の弾道ミサイルおよび1,000機以上の無人航空機を発射したとされる。イスラエルからの攻撃や同国への報復攻撃により、イランの弾道ミサイルは1,000~1,500発まで減少したものの、2026年2月の米国とイスラエルによる対イラン攻撃開始までに、2025年6月の攻撃前と同程度かそれ以上の2,000発程度にまで増産されていたと指摘されている。

参照1節1項(米国・全般)

(2)他国との軍事協力

2025年3月、イランは、インド洋北部においてロシアや中国とともに、海軍の共同演習である「海上安全ベルト2025」を実施した。この演習は、2019年以降、中国不参加の回を含めこれまで6回行われており、オブザーバー国は年々増加している。

4 シリア情勢

2024年11月、シリア北西部イドリブを拠点とするシャーム解放機構(HTS:Hay'at Tahrir al-Sham)を中心とする反体制派がシリア政府軍に対する攻勢をかけ、同年12月には、首都ダマスカスを制圧した。アサド大統領(当時)がロシアへ亡命し、アサド政権は崩壊した。同月10日、反体制派を中心とした「暫定政府」が発足し、2025年1月29日には、HTSの指導者アフマド・シャラア氏が暫定大統領に就任した。同大統領は、シリアの全土統一を掲げ、単一の権力のもとでの主権確立などに取り組んでいく方針を示しているが、各地で武装勢力や旧政権派との衝突が発生している。例えば、同年3月、シリア民主軍(SDF:Syrian Democratic Forces)との間ではSDF支配地域の政府側への統合に合意したものの、衝突が繰り返し発生していた。一方、2026年1月、SDFが支配する北部3県のうち2県について、政府側への引き渡しが合意されるなど、統一に向けた動きも見られた。

また、2025年10月5日、シリア政府はアサド政権崩壊後初となる議会選挙を実施したが、全14県のうち、シリア政府の統治下にある11県でのみ実施され、残る3県については、治安などの理由から実施が延期された。

5 イエメン情勢

イエメンでは、2014年9月にホーシー派が首都サヌアなどに侵攻したことを受け、ハーディ大統領はアラブ諸国に支援を求めた。これを受けて、2015年3月、サウジアラビアが主導する有志連合軍がホーシー派への空爆を開始した。これに対し、ホーシー派もサウジアラビア本土に弾道ミサイルなどによる攻撃を開始し、無人アセットや巡航ミサイルも使用するようになった。

2019年11月、サウジアラビアの首都リヤドにおいて、イエメン政府と、イエメン南部で分離独立を目指す「南部移行評議会」(STC:Southern Transitional Council)がリヤド合意2に署名し、2020年12月、その合意に基づき新内閣が発足した。2022年4月、ハーディ大統領は、「大統領指導評議会」を新設し、すべての権限を委譲することを発表した。この評議会は、ホーシー派を除くイエメン国内の主要な政治勢力の代表者によって構成され、イエメン政府の統治強化やホーシー派との交渉の妥結を目指している。同月、国連イエメン特使は、紛争当事者が2か月間のイエメン全土における停戦に合意したことを発表した。この合意は、同年10月に失効したものの、その後もイエメン国内での攻撃では小康状態が継続していた。

こうしたなか、2025年12月、アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates)が支援しているとされるSTCは軍事作戦を開始し、イエメン南部全域の掌握を発表した。これを受け、サウジアラビアはイエメン政府の要請に基づき、STCからの支配領域奪還を目指すイエメン政府軍の作戦を空爆などで支援するとともに、UAEに対し、イエメン政府からの要求を踏まえ、イエメン国内に駐留していたUAEの部隊を撤退させるよう求めた。その後、UAEは、イエメン国内の自国部隊の撤退を発表した。

前述の展開を経て、イエメン政府は2026年1月までにSTCから支配領域を奪還し、イエメン南部を完全に制圧したと発表した。サウジアラビア主導連合軍は、STC指導者アイダルース・ズバイディ議長がUAEに逃亡したと主張したが、その後も、暫定首都アデンを含むイエメン南部の一部地域では、STCの残党の活動や同組織を支持するデモが発生するなど混乱が続いている。

6 アフガニスタン情勢

アフガニスタンでは、2014年12月に同国内で治安維持活動を行っていた国際治安支援部隊(ISAF:International Security Assistance Force)が撤収し、アフガニスタン治安部隊(ANDSF:Afghan National Defense and Security Forces)への教育訓練や助言などを主任務とするNATO主導の「確固たる支援任務」(RSM:Resolute Support Mission)が開始された。一方、ANDSFは兵站、士気、航空能力、部隊指揮官の能力などの面で課題を抱えており、こうしたなかでタリバーンは国内における支配地域を拡大させた。

2020年2月、米国とタリバーンとの間で、駐アフガニスタン米軍の条件付き段階的撤収などを含む合意が署名され、同年3月、米国は、米軍の撤収を開始したと発表し、2021年8月末までに撤収を完了した。こうした状況のなか、タリバーンは、アフガニスタン国内での支配領域をさらに急速に拡大し、同年8月、首都カブールを制圧し、同年9月、暫定内閣の設立を発表した。

2021年のタリバーン「暫定政権」発足以降、隣国パキスタンとの間で、双方が相手側領土を攻撃する事案が発生しており、2025年10月には、国境地帯を中心に攻撃の応酬が発生した。今後とも、タリバーンによる国内の統治やタリバーンと各国の関係が注目される。

1 ホーシー派はハマス軍事部門に宛てた書簡において、イスラエルがガザへの攻撃を再開した場合、軍事作戦を再開する旨などを宣言しており、今次停戦を受け、イスラエルへの攻撃も事実上、停止しているとみられていた。

2 イエメン政府と同国南部の自治を志向するSTCとの間で衝突が継続していたなかで、両者の衝突の収束などに向け、STC出身閣僚を含む新内閣の樹立などを規定。