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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

2 ウクライナ侵略の経過と見通し

1 ロシアによる電撃戦の失敗とウクライナによる緒戦防衛の成功

2022年2月24日、ロシアは、ウクライナに対する全面的な侵略を開始した。しかし、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が早くから一貫してキーウに残留する意向を明確にする中、ウクライナ軍などがキーウ郊外においてロシア軍の主力部隊の前進を阻止し、迅速なキーウ掌握を企図していたロシア軍などに多大な損害を与えた。同年3月末から4月初めにはロシア軍などをキーウ正面から後退させたことで、ロシアが企図していたとみられるごく短期間でのゼレンスキー政権の排除は失敗に終わったとの指摘もある。

ウクライナ軍は、同国第二の都市であり、交通の要衝でもある東部ハルキウの防衛にも成功し、都市の掌握に失敗したロシア軍は、多連装ロケットなどによる住宅地の砲撃など、非戦闘員に対する無差別攻撃をさらに強化した。また、ロシア軍の占領下に置かれた地域においては、民間人の虐殺など残虐な行為が起こったものと考えられている。

一方で、ロシアが2014年に違法に「併合」したクリミア半島に隣接するウクライナ南部においては、ロシア軍は他の地域に比べ迅速に占領地を拡大したものと考えられ、2022年3月初旬にはドニプロ川の西岸に位置するヘルソン州の州都ヘルソンを占領するとともに、そのさらに西に位置するミコライウ州の州都ミコライウ方面に一時進出したものとみられる。また、同時期にロシア軍は、アゾフ海北岸のザポリッジャ州南部及びドネツク州南部においても占領地を拡大し、工業・港湾都市であるマリウポリを包囲するとともに、非戦闘員が残留する同市への無差別爆撃や砲撃による制圧に着手したものとみられる。

2 ロシアによる戦線整理とウクライナによる反転攻勢着手
(1)ロシアによる戦線整理とウクライナ東部及び南部における占領地の拡大

首都キーウの掌握に失敗したロシア軍は、2022年3月25日、それまでの軍事行動は「作戦の第一段階」であったとして、今後はウクライナ東部のドネツク州及びルハンスク州の「解放」、すなわち両州における占領地拡大を作戦の主目標とする旨を発表し、戦線の整理を行った。

ロシア軍は、キーウ方面から後退させた部隊を再編成の上、ウクライナ東部へ順次投入し、ルハンスク州の臨時州都であったセベロドネツクとその周辺を同年6月下旬から7月上旬にかけて占領したとみられている。

ウクライナ南部においては、ロシア軍は、アゾフ海沿岸におけるウクライナ側の最後の拠点であったドネツク州南部のマリウポリの制圧に戦力を集中した。同年5月16日、ウクライナ軍総司令部は、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所においてロシア軍などの包囲下にあったウクライナ軍などの指揮官に対し、将兵の人命を優先するよう命じた旨発表し、一方で同月20日、ロシア国防省は、ショイグ国防相がプーチン大統領に対し、同製鉄所構内のウクライナ軍などが投降し、マリウポリにおける作戦が完了した旨報告したと発表した。

ロシアは、マリウポリの占領により、アゾフ海沿岸全域を占領するとともに、ウクライナ南部における占領地のさらなる拡大を容易にしうる、クリミア半島との陸上交通路を確保した。

(2)ウクライナの反転攻勢着手

緒戦においてロシア軍によるキーウ、ハルキウなどの主要都市の制圧を阻止したウクライナ軍は、2022年4月以降、全正面においてロシア軍への抵抗を継続しつつ、反転攻勢に向けた準備攻撃とみられる動きを活発化させた。

ウクライナ東部においては、同年5月中旬にハルキウ周辺でウクライナ軍が一部地域を奪還したと報じられた。

ロシア軍が比較的大きな戦果を収めたとみられていたウクライナ南部においては、同月13日に国産地対艦ミサイル「ネプトゥーン」により、ロシア黒海艦隊の旗艦であるスラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」を撃沈したとされている。同年6月30日、ザルジューニー・ウクライナ軍総司令官は、同軍の攻撃により、緒戦において占領された黒海のズミーニー島からロシア軍を撤退に追い込んだ旨発表した。

これらのウクライナ軍の攻撃は、ロシア黒海艦隊がウクライナ南部に構築していた防空網を破壊し、ロシア航空戦力の活動を困難にすることで、その後の同地域におけるウクライナ軍の反転攻勢を容易にする効果があったと考えられる。

さらに同年6月下旬以降、ウクライナ軍は、米国から供与されたM142高機動ロケット砲システム(HIMARS:High Mobility Artillery Rocket System)を実戦投入したものとみられ、同年7月11日夜にヘルソン州ノヴァ・カホウカに所在するロシア軍の燃料・弾薬集積拠点を攻撃した旨発表するとともに、南部における反転攻勢の開始に言及した。同地域においてウクライナ軍は、HIMARSなどの精密攻撃能力に優れた長距離火力を活用し、同地域一帯のロシア軍の指揮所及び兵站拠点を攻撃するとともに、ドニプロ川の橋梁などを通行不能にした。これにより、補給が困難となったドニプロ川以北のロシア軍部隊の戦闘能力と士気を低下させ、反転攻勢のための条件を整えた。

米国から供与されたウクライナ軍の高機動ロケット砲システムHIMARS【EPA=時事】

米国から供与されたウクライナ軍の高機動ロケット砲システムHIMARS【EPA=時事】

2014年以降ロシア軍に占領されたウクライナ南部のクリミア半島においては、2022年8月、航空基地などのロシア軍施設における爆発事案が複数発生した。ウクライナ側はこれらの事案へ関与を公式には認めていないが、同半島はロシアによるウクライナ侵略開始当初からロシア軍の航空戦力や後方支援の拠点となっている。

3 ウクライナによる反転攻勢の本格化とロシアによる対応
(1)ウクライナによる反転攻勢の本格化

2022年9月上旬、ウクライナ軍は、東部ハルキウ州における反転攻勢に成功し、同州のロシア軍占領地の大部分を奪還した。ウクライナ軍は、それまで反転攻勢の動きを顕著にしていた南部と異なり、東部においては反転攻勢企図の秘匿に努めたものとみられ、南部におけるウクライナ軍の反転攻勢に対応すべく東部のロシア軍部隊が転用され、戦力が手薄となったところを突くことで反転攻勢に成功したとの指摘もある。

一方、南部においては、ウクライナ軍は、ドニプロ川を利用したロシア軍の分断と弱体化に努め、2022年11月中旬、ロシア軍に撤退を強いる形で州都ヘルソンを含むドニプロ川以北のヘルソン州などの奪還に成功した。その後、同州においてはおおむねドニプロ川を挟んでウクライナ軍とロシア軍が対峙する状況となっており、ロシア軍の多連装ロケットや火砲による、ヘルソンなどドニプロ川西岸の都市への攻撃が続いているとみられる。

さらにロシア国内においても、2022年10月、ロシア南部クラスノダール地方とウクライナのクリミア半島を結ぶ橋で爆発が発生し、橋桁が損傷したほか、同年12月、ウクライナに対するミサイル攻撃に従事しているロシア航空宇宙軍の長距離爆撃機基地などにおいて爆発・火災が複数回発生したとされ、ロシア側はいずれもウクライナによるものと発表している。

(2)ロシアによる対応

ウクライナの反転攻勢の本格化を受け、ロシアは、兵力の増強やウクライナ領土占領の既成事実化をはじめとする各種の対応を取った。

兵力の増強については、2022年8月初旬時点で約8万人とも指摘される死傷した兵力の補充のため、同年9月21日、プーチン大統領は、部分的動員に関する大統領令に署名するとともに、その必要性を国民に対する声明において説明し支持を求めた。同日、ショイグ国防相は、30万人を動員する計画である旨述べた。このほか、同月30日、外国市民などがロシア軍における勤務契約を結んだ場合にロシア国籍の取得手続が簡素化される大統領令を公布しており、旧ソ連諸国市民を念頭に置いたものとの指摘もある。

また、ウクライナ領土占領の既成事実化については、同月23日から27日にかけ、ルハンスク、ドネツク、ザポリッジャ及びヘルソンのロシア軍占領地域においてロシアへの「編入」の賛否を問う「住民投票」と称する活動を実施し、その結果に基づき、同月30日、これら4地域を違法に「併合」した。

2022年9月30日、ウクライナ東部及び南部4地域の「編入」式典におけるプーチン大統領(中央)、4地域の「首長」及び「行政府長官」【ロシア大統領府】

2022年9月30日、ウクライナ東部及び南部4地域の「編入」式典におけるプーチン大統領(中央)、4地域の「首長」及び「行政府長官」【ロシア大統領府】

これらと並行してロシア軍は、ウクライナ全土に対するミサイル・自爆型UAV攻撃を強化しており、ウクライナ軍の防空ミサイルを消耗させるとともに、寒冷期の市民生活にとって重要なウクライナの電力網に被害を与え、非戦闘員の犠牲を拡大することで、ウクライナの継戦能力と抗戦意思の減殺を企図したものとみられる。こうしたロシア軍の攻撃によるウクライナの非戦闘員の犠牲者は、国連人権高等弁務官事務所によると2023年3月時点で少なくとも8,000人を超えるとの見方が示されているが、戦闘が現在も継続しているため、正確な被害の実態は把握できておらず、実際の犠牲者はこれを大きく上回り、今もなお増え続けているとみられる。

2023年1月14日のロシア軍のミサイル攻撃により破壊されたウクライナ中部ドニプロの集合住宅(2023年1月)【ウクライナ政府Facebook】

2023年1月14日のロシア軍のミサイル攻撃により破壊されたウクライナ中部ドニプロの集合住宅(2023年1月)【ウクライナ政府Facebook】

5月に入ると、民間軍事会社「ワグナー」とロシア軍部隊がドネツク州で攻勢を強め、バフムト市街地全域を制圧したと主張した。

4 ロシアによる原発・核施設攻撃とNBC兵器をめぐる状況

ロシアは、ウクライナ侵略を継続する中で、核物質や核施設をめぐる危険な行動を繰り返している。ロシアは、2022年2月24日にベラルーシ国境に近いチョルノービリ原発を占拠したほか、同年3月4日にはウクライナ南東部のザポリッジャ原発を占拠した。また、同月6日以降、実験用原子炉を有し、核物質を扱うハルキウ物理技術研究所が複数回にわたって攻撃された。

核兵器については、プーチン大統領は、同年4月20日、ロシア軍が開発中の新型の大型ICBM「サルマト」の飛翔試験を初めて実施した際、自国の核戦力を誇示する旨の発言をした。また、同年9月21日の部分的動員に関する大統領令の公布に際しての国民向け声明においては、核戦力を念頭に、自国の領土一体性が脅威にさらされた際には、ロシアが利用可能なあらゆる手段を用いる旨を述べており、他の高官によるものも含め、核兵器による威嚇とも取れる言動が繰り返されている。

化学兵器や生物兵器についても、ロシアは、ウクライナがこれらを使用する可能性があるとの主張を繰り返しているが、米国や英国はロシアによるいわゆる「偽旗作戦」の準備との評価を明らかにしている1

5 今後の見通しと軍事バランスへの影響
(1)今後の見通しなど

ウクライナ侵略をめぐる今後の動向については、予断を許さないが、動向に影響を与えるとみられるロシア軍とウクライナ軍双方の戦略・戦術や人的・物的な継戦能力について、様々な指摘がされている。

ロシア軍については、指揮統制をめぐる困難がとりわけ早くから指摘されてきた。侵略開始当初、ロシア軍は、平時の運用体制である統合戦略コマンド(軍管区)の指揮系統と所属部隊をそのまま各作戦正面に割り当て、約20万人とされる機械化歩兵部隊に加え、陸海空のミサイル戦力、海空戦力などの投入戦力全体2に対する一元的な指揮統制を欠いたと指摘されている。2022年4月初旬には、ロシア軍の作戦全体を指揮する統合任務部隊司令官が任命されたと報じられ、軍種間や戦域間の連携改善を図ったものとみられる。また、2023年1月11日には、軍種間の連携改善、後方支援の質的向上及び部隊指揮の効率改善を目的として、ゲラシモフ参謀総長が統合任務部隊司令官に任命された旨発表された。

ウクライナ軍については、2014年以降の東部における紛争に対処する中で戦闘経験を有する予備役を多数確保したこと、NATO標準を目指した国防省及び軍の機構改革を受け、戦闘の中核となる下士官の養成が進んだこと、民間技術に基づく迅速性・精密性の高い火力調整システムを採用したことなどにより、質量ともに優位なロシア軍に対しても屈することなく、今日まで戦闘を継続している。

人的継戦能力については、2023年1月時点でロシア軍18万人、ウクライナ軍10万人が死傷したとの指摘がある3。ロシア軍は、平時に教育訓練を担う部隊まで投入し、動員兵の訓練についてベラルーシの支援を受けているとされる。ウクライナ軍も、欧米諸国から新兵への教育訓練支援を受けている。

物的継戦能力については、対ロシア経済制裁により、ロシア軍の装備品調達に支障が出ているとの指摘がある。一方、軍需企業の昼夜連続操業、対地攻撃用ではないミサイルの転用、イラン製UAVの調達、ベラルーシからの戦車の譲受などにより戦力を維持しているものとみられるほか、制裁下においても、弾薬や旧ソ連時代の技術水準の装備品は今後も十分に生産可能であり、長期にわたって戦闘を継続できるとの指摘もある。

一方、ウクライナ軍の装備の多くは、旧ソ連製であり、ロシア以外の国から調達できる部品や弾薬は限られている。さらに自国内で修繕や調達が可能な装備についても、主要な軍需企業が立地するハルキウやドニプロはロシア地上軍の攻撃圏内にある。こうしたことから、継戦能力の確保のためには、国外からの装備・弾薬の提供と旧ソ連製装備からの転換にかかわる教育訓練支援が重要である。

ウクライナ軍は、今後も強固な抗戦意思を持って反転攻勢を継続していくとみられる一方、ロシア軍も部分的動員による兵力の増強に取り組んでいることを踏まえ、戦闘が長期化する可能性も指摘されている。

(2)他の地域への影響

これまで自国の主張達成のために軍事力が果たす役割を重視してきたロシアは、今般の侵略を通じ通常戦力を大きく損耗しているものとみられ、今後ロシアの中長期的な国力の低下や周辺諸国との軍事バランスの変化が生じる可能性がある。ロシアは、集団安全保障条約機構(CSTO:Collective Security Treaty Organization)4や上海協力機構(SCO:Shanghai Cooperation Organization)5構成諸国などとの関係の維持・強化に努めるとともに、抑止力としての核戦力を一層重視していくとみられる。

欧州地域においては、CSTO加盟国であるベラルーシとの間で、同国軍によるロシアの戦術核兵器の運搬を可能とする装備の改修・新規配備に合意6するなど、ロシアがベラルーシへの軍事的関与を一層強化する動きがみられる。

ベラルーシはロシアによるウクライナ侵略に際し、ロシア軍による自国領土の利用やロシア軍への装備・後方支援・教育訓練の提供などの便宜を図っているとされるが、自国軍の参戦には慎重な姿勢であると指摘されている。

コーカサス地域においては、2023年1月、CSTOの加盟国であるアルメニアのパシニャン首相が、同年同国において実施予定であったCSTO平和維持部隊演習を主催しない旨表明した。これは、アルメニアが、2022年9月のアゼルバイジャンとの国境における武力衝突に際して、CSTOの対応が不十分であったと考えているためとの指摘がある7。なお、コーカサス地域に隣接する中東地域においては、ロシアはイランとの軍事協力を一層強化8するほか、東地中海における足場であるシリアへの軍事的関与を継続していくものとみられる。

中央アジア地域においては、カザフスタン、キルギス及びタジキスタンがCSTO加盟国であるが、いずれの国もウクライナ侵略を支持していない9。このように、ウクライナ侵略開始後、ロシアがCSTOの維持・強化を望んでも、加盟諸国がどの程度協力するかは不透明である。

インド太平洋地域においては、ロシアは米国への対抗などの観点から、中国との連携を深化させている。

極東地域を担当する東部軍管区の地上・航空戦力は、ウクライナ侵略への投入により損耗10しているとみられる一方、戦略核戦力の一翼を担うロシア軍の戦略原子力潜水艦の活動海域であるオホーツク海一帯の防御を念頭に、その外縁である北方領土、千島列島などにおける軍事活動を継続していくとみられる。また、ウクライナ侵略後も極東地域には多くの海空戦力が残存しているとみられ、その動向を注視していく必要がある。

参照3章5節3項1(核・ミサイル戦力)3章5節4項(北方領土などにおけるロシア軍)3章5節5項4(旧ソ連諸国との関係)

1 2022年3月21日、バイデン大統領は、プーチン大統領がウクライナで生物・化学兵器の使用を検討している確かな兆しがあるとの趣旨の発言をしている。

2 同作戦にはロシア軍のほか、国家親衛隊(旧国内軍)、連邦保安庁、カディロフ・チェチェン共和国首長に属する「カディロフツィ」と呼ばれる部隊などの準軍隊やロシア政府との関係が指摘される民間軍事会社「ワグナー」も参加している。

3 2023年1月22日、クリストファーセン・ノルウェー軍参謀総長の発言による。

4 ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アルメニアの6か国が加盟する軍事同盟。CSTOの設立根拠となる1992年の集団安全保障条約第4条に、加盟国が侵略を受けた場合、「残る全加盟国は、当該加盟国の要請に応じて、軍事的援助を含む必要な援助を早急に行うとともに、利用可能な手段を用いた支援を国連憲章第51条に基づく集団的自衛権に適合的な形で提供する」との規定がある。

5 中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド及びパキスタンが加盟する地域機構。安全保障協力や経済連携を目的としており、対テロ演習「平和の使命」を実施。

6 2022年6月25日、プーチン大統領は、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領との会談の場で、通常弾頭と非戦略(戦術)核弾頭のいずれも搭載可能な「イスカンデルM」地対地ミサイルシステムの供与及びベラルーシ軍のSu-25攻撃機に核兵器搭載可能とする改修を提供できる旨述べた。

7 2022年9月14日、アルメニアは、アゼルバイジャンとの衝突を巡り、CSTOに対し集団安全保障条約第4条に基づく軍事支援を要請したが、CSTOの対応は監視団の派遣に留まったため、2022年11月に開催されたCSTO首脳会議において、アルメニアはCSTOの対応に不満を表明した。なお、9月の衝突はナゴルノ・カラバフ地域ではなく、アルメニア・アゼルバイジャン国境で発生したものである。

8 ロシアがミサイルの不足を補うため、イラン製UAVを調達したとされるほか、2023年1月15日、イランが同年春にもロシア製Su-35戦闘機(ロシア軍及び中国軍のみが保有する4.5世代機)を受領する予定であるほか、ロシア製防空システム、ミサイルシステム、ヘリコプターなどを発注済である旨報じられており、両国間の軍事協力が進展している。

9 とりわけカザフスタンは、「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」に対する「国家」承認を拒否する立場を鮮明にしたほか、他国への武器輸出を1年間禁止する法律を成立させるなど、最も厳しい対応をとっている。

10 ウクライナ軍参謀本部発表やロシア国防省系メディアの記事によれば、東部軍管区第29軍、第35軍及び第36軍並びに南樺太や北方領土所在部隊を管轄する第68軍団がキーウ攻撃に参加したのち、ウクライナ東部に転用されたほか、太平洋艦隊第40海軍歩兵旅団及び第155海軍歩兵旅団も対ウクライナ作戦に投入されている。