防衛この1年

自由で開かれたインド太平洋

インド太平洋地域は、世界人口の半数を擁する世界の活力の中核であり、主要なシーレーンが通過しています。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というビジョンは、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を実現することにより、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄を確保していくとの考え方に根ざしたものです。FOIPは包摂的なものであり、この考えに賛同するのであれば、いずれの国とも協力可能です。

FOIPに関する防衛省の取組について9か国語でご覧いただけます。

感染症流行下でも防衛協力・交流を継続

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、諸外国との直接の往来が難しくなりましたが、電話やテレビ会議によるハイレベル会談、人と の接触を伴わない洋上での共同訓練や、オンライン教育による能力構築支援などの手段により、積極的に防衛協力・交流を行っています。
自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や、影響力の拡大を目指した国家間の戦略的競争がより顕在化する可能性も指摘されている中、価値や利益を共有する諸外国との間で連携しながら、FOIPの維持・強化に向け、防衛協力・交流を推進してまいります。

FOIPの維持・強化に向けたパートナーとの協働

FOIPの維持・強化に向けて、日米同盟を基軸としつつ、オーストラリア、インド、英国、フランス、ドイツなどの欧州諸国、カナダ、ニュージーランドといった、FOIPというビジョンを共有し、インド太平洋地域に繋がりを有する多くの国々との間で積極的に協働します。

FOIPの維持・強化に向けて協力を強化する国・地域

重要なシーレーンが通過する、ASEANを含む東南アジア・南アジア諸国、太平洋島嶼国に加え、エネルギー安全保障上重要な中東やアフリカ、中南米といったインド太平洋の各地域との間で、防衛協力・交流の幅広い手段を活用しなが、FOIPの維持・強化に向けて協力を強化することとしています。

日独防衛相フォーラム(2020年12月)

中国海警の動き

白書p.18
【内閣官房ホームページ】わが国固有の領土、尖閣諸島

尖閣諸島周辺の海警船の活動

中国は、わが国固有の領土である尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続しており、強く懸念される状況となっています。2020年4月から8月にかけては、海警船が尖閣諸島周辺の接続水域において過去最長となる111日間連続で確認されました。また、一年間に尖閣諸島周辺の接続水域で確認された中国海警船の活動については、活動日数が333日、活動船舶数が延べ1,161隻となり、いずれも過去最多となりました。

中国海警法の施行

2021年1月、海警の職責や武器使用を含む権限を規定した「中華人民共和国海警法」(海警法)が新たに成立し、同年2月から施行されました。海警法には、曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれています。この海警法によって、わが国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならず、また、東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは全く受け入れられません。

中華人民共和国海警法について、概要をご覧いただけます。

北朝鮮の核・ミサイル開発

2021年1月に開催された朝鮮労働党第8回大会において、北朝鮮の金正恩委員長は、「戦術核兵器」の開発など核技術の高度化、核先制及び報復打撃能力の高度化などに加え、「極超音速滑空飛行弾頭」の開発などにも言及し、核・ミサイル能力のさらなる向上に言及しました。
また、2020年10月及び2021年1月の軍事パレードには、新型のICBM級弾道ミサイルの可能性があるものや、新型SLBMの可能性があるもの、5軸のTELに搭載された新型弾道ミサイルなどが登場しました。このうち、5軸のTELに搭載された新型弾道ミサイルは、2021年3月に発射されました。

北朝鮮の核・ミサイル開発 2021年1月の軍事パレードに登場した新型SLBMの可能性があるもの【EPA=時事】
日米同盟 日米防衛相会談

日米同盟

米国では、2021年1月にバイデン大統領が就任しました。
急激に厳しさを増す安全保障環境の中、日米同盟は地域の平和と安全にとってこれまでになく重要になっています。
日米両国は、日米同盟がインド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎であり続けることを確認し、両国の日米同盟への揺るぎないコミットメントを新たにしました。

新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、防衛省・自衛隊は35都道府県において総力を挙げて災害派遣など様々な活動を実施しました。
また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を加速するため、自衛隊は東京及び大阪において自衛隊大規模接種センターを設置・運営し、ワクチン接種を開始しました。

資料:新型コロナウイルス感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取組 自衛隊式感染症予防を動画でご紹介しています。
 CH-47による屋久島空港から鹿児島市内への新型コロナウイルス感染患者の輸送支援(輸送中の機内)

スペシャルコンテンツ