新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
さて、我が国を取り巻く安全保障環境を見てみますと、中国は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海、日本海、更には西太平洋など、いわゆる第一列島線を越えて、第二列島線に及ぶ我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させている中、北朝鮮は、核兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組んでいるとみられます。ロシアは、欧州正面でウクライナ侵略を行う中にあっても中国と共に、爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を我が国周辺で実施する活動を継続しています。
また、イスラエルによる侵攻及びイランの対応に加え、シリア情勢を含めた先行き不透明な状況であり戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれていると認識しています。
このような中、中部方面隊は、米豪軍との実動訓練(サザン・ジャッカルー:5月)、米陸軍との実動訓練(オリエント・シールド:7月)、陸上自衛隊演習(10月)等の国内外における訓練により、何時如何なる事態にも対応できるよう実効性の向上を図ってまいりました。
また、国内においては、昨年の1月1日に発生した「能登半島地震」では、延べ約114万人の隊員により約8ヶ月間にわたる災害派遣任務を実施したのち、9月に発生した「奥能登豪雨災害」に際しても迅速に対応してまいりました。こうした任務に邁進できますのも、中部方面隊を支える皆様の温かいご声援の賜物であり、心より感謝申し上げます。
中部方面隊は、昨年8月に日向灘で発生した地震を受け「南海トラフ地震・臨時情報」が発表されるなど巨大地震への備えが急務となっている中、南海トラフ地震への対処能力の向上を目的として、令和7年1月に大規模な災害対処訓練「南海レスキュー2024」を実施します。
本訓練は陸・海・空自衛隊、関係自治体などが連携して行うものであり、南海トラフ地震の発生の可能性が相対的に高まっている今日において、極めて意義の高い訓練になると考えています。
また、各種の国内外訓練を通じ、多様な役割への対処に必要な高い即応態勢を維持するとともに、あらゆる事態へ迅速・的確かつ機動的に対処するための実効性の向上を図り皆様の安心、安全をお守りするため尽力して参ります。
他方、少子化による深刻な人手不足が一段と進む中、自衛隊として新たな人材を確保することは我が国の防衛力の維持にかかわる最重要課題であると認識しております。そのため、地方協力本部及び隷下各部隊等は、一丸となってすべての隊務を隊員の募集への取り組みに繋げるとともに、隊員の生活・勤務環境の向上のための施策を推進してまいります。今後とも皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。
結びに、今年は「巳年」です。蛇は古代より皮を脱ぎ捨て新たな姿に生まれ変わる姿がその象徴とされているそうです。めまぐるしい時代の変化や様々な困難に直面しても前向きな姿勢をもって取り組み、「責務の完遂」を図ることをお約束し、新年のご挨拶とさせて頂きます。