防衛装備庁の施策概要
いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の強化
現代において自衛隊は、高度な技術が適用された装備品を用いて初めて、その能力を十分に発揮し、わが国防衛の任務を全うすることが可能です。優れた装備品の確保に不可欠の要素である防衛生産・技術基盤は、いわばわが国の防衛力そのものであり、その抜本的な強化が必要です。
Ⅰ 防衛生産基盤の強化
1 防衛生産基盤強化法と基本方針
わが国の防衛産業は装備品のライフサイクルの各段階(研究、開発、生産、維持・整備、補給、用途廃止など)を担っており、装備品と防衛産業は一体不可分です。防衛産業が高度な装備品を生産し、高い可動率を確保できる能力を維持・強化していくために必要な施策を講じるための法律である防衛生産基盤強化法が成立、施行されました。
同法に基づき、防衛省は基本方針を公表しました。この基本方針のもと、同法に定められた施策のほか、防衛産業の活性化、強靱なサプライチェーンの構築、防衛産業保全の強化など、基盤強化のための取組を推進して参ります。
2 防衛生産基盤強化法以外の主な取組
(1)防衛産業参入促進展
2016 年から、防衛生産・技術基盤を維持・強化することを目的に、防衛産業に未参入の国内の有望なスタートアップ企業や中小企業などを発掘し、防衛関連企業や防衛省・自衛隊とのマッチングを図ることで、防衛産業に新規参入する機会を創出、促進する展示会を実施しています。
(2)防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会
防衛省・自衛隊は、スタートアップ企業などと連携し、現存する民生技術・既製品などを活用しながら、先端技術研究の成果を装備品の研究開発などに積極的に取り込むことで早期装備化を推進しています。こうした取組の一環として、経済産業省と連携し、経済産業省が保有するスタートアップ支援の枠組みやネットワークを活用し、防衛省・自衛隊のニーズとスタートアップ企業とのマッチングを図る機会を創出するため、防衛省と経済産業省の関係部署が会合する枠組みとして、防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会を整備し、継続的に意見交換を行っています。
(3)インダストリーデー
2022年から、インド太平洋地域における米軍の維持整備事業や米国製装備品の製造サプライチェーンへの国内企業参画を図るため、米軍および米国防衛産業とのマッチングの機会となる展示会(インダストリーデー)を実施しています。
(4)主要プライム企業との意見交換
2022年から防衛産業(主要プライム企業)との意見交換を行い、防衛大臣と主要プライム企業の社長などが一堂に会する機会を設けた他、防衛装備庁長官と各企業防衛部門の長との間での意見交換を実施し、双方が認識している問題や課題を共有するなど、官民の協力・連携の強化を進めていくこととしています。
Ⅱ 防衛技術基盤の強化
1 防衛技術基盤の強化の必要性
新しい戦い方に必要な装備品を取得するためには、わが国が有する技術をいかに活用していくかが極めて重要。わが国の高い技術力を基盤とした、科学技術とイノベーションの創出は、わが国の経済的・社会的発展をもたらす源泉であり、わが国の安全保障にかかわる総合的な国力の主要な要素です。また、わが国が長年にわたり培ってきた官民の高い技術力を、従来の考え方にとらわれず、安全保障分野に積極的に活用していくことは、わが国の防衛体制の強化に不可欠な活動です。
2 防衛技術指針2023の策定
防衛技術基盤の強化の方針を具体化し、各種の取組を防衛省として一体的かつ強力に推進する際の指針となるものとして、防衛省は、防衛技術指針2023を策定しました。この指針のもと、将来にわたり、技術でわが国を守り抜くことを目指し、基盤強化のための取組を推進して参ります。
3 次期戦闘機の開発
将来にわたって我が国の「航空優勢」を確保するためには、いずれの国においても実現されていない戦い方を実現でき、将来にわたり、適時適切な能力向上のための改修を加えることができ、さらに、高い即時性等を確保できる国内基盤を有する次期戦闘機を、我が国主導で開発していくことが必要不可欠です。防衛省では、英国・イタリアとともに、三か国の技術を結集し、コスト・リスクを分担しながら、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発してまいります。
防衛省HPリンク
https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html
4 防衛イノベーション科学技術研究所の創設
様々な科学技術を結集して従来とは全く異なる新たな防衛力や社会変革をもたらす防衛イノベーションを実現する機関として、2024年10月に、防衛装備庁に防衛イノベーション科学技術研究所を創設しました。同研究所では、防衛省外からプログラムマネージャを採用し、従来の常識にとらわれない自由で斬新な発想の下で進める革新型ブレークスルー研究や、民生の先端技術を探索し取り入れることにより、将来、必要となる機能・装備を早期に創出する実証型ブレークスルー研究を実施します。また、防衛分野に資する先進的な基礎研究を公募する安全保障技術研究推進制度を引き続き実施します。こうした取組により、防衛省外の多様な方々とのオープンイノベーションを進め、防衛イノベーションの実現につながる成果の創出を目指します。
Ⅲ 防衛装備・技術協力と防衛装備移転の推進
1 防衛装備移転の意義
防衛装備移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、わが国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略や武力の行使または武力による威嚇を受けている国への支援などのための重要な政策的手段となります。こうした認識の下、官民一体となって防衛装備移転を進めることしています。
2 防衛装備移転三原則に関わる制度
安全保障上意義が高い防衛装備移転や国際共同開発を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則や運用指針をはじめとする制度の見直しについて与党WT※において議論が重ねられ、2023年12月、政府は防衛装備移転三原則と運用指針の一部を改正しました。これにより、幅広い分野の防衛装備移転が可能になると同時に、移転にかかる審査をより一層厳格に実施することとしています。
2024年3月には、運用指針をさらに一部改正し、次期戦闘機にかかる完成品のわが国からパートナー国以外の国への直接移転が認めうることとされました。また、将来、実際に次期戦闘機をわが国から第三国に移転する際にも、個別案件毎に閣議決定を行うこととしています。
※与党国家安全保障戦略等に関する検討ワーキングチーム
3 各国との防衛装備・技術協力関係の深化
装備品に関する協力は、構想から退役まで半世紀以上に及ぶ取組であることを踏まえ、防衛装備庁は、防衛装備移転や国際共同開発を含む、防衛装備・技術協力の取組の強化を通じ、相手国軍隊の能力向上や相手国との中長期にわたる関係の維持・強化しています。
例えば、米国とはGPI(滑空段階迎撃用誘導弾)の共同開発の開始を発表するとともに、無人航空機へ適用するAIに関する日米共同研究を開始し、豪州とは「研究、開発、試験及び評価プロジェクトに関する取決め」に署名し、水中自律型無人機に関する日豪共同研究を開始しました。フィリピンに対しては、わが国から海外への完成装備品の移転としては初の案件である警戒管制レーダーを2基、製造企業から納入しています。(2025年3月現在)
2024年度、高出力マイクロ波システムに関する日米共同研究を開始するとともに、日米豪3か国で「研究、開発、試験及び評価プロジェクトに関する日米豪取決め」に署名しました。
Ⅳ 装備品取得の最適化の取組
1 ライフサイクルを通じたプロジェクト管理
防衛省では、装備品などの取得にかかる公正性・透明性と防衛生産・技術基盤の強化の両立を図るため、契約の適正化のための措置や、チェック機能の強化のための措置を講じています。
まず、政府全体の取組である公共調達の適正化として、防衛省においても総合評価落札方式の導入拡大、入札手続の効率化を継続して実施しています。その上で、防衛関連企業の品質管理・コスト管理・納期管理等の活動を評価し、その結果を利益率に反映するなどの施策により、防衛事業の魅力化と装備品などの効果的・効率的な取得を同時に推進しています。またこの際、品質不正や過大請求事案などこれまでの不祥事を受けて導入・強化されてきた制度調査や違約金制度などにより、装備品調達の信頼性確保に取り組んでいます。
2 調達の効率化に向けた取組など
防衛省では、装備品などの取得にかかる公正性・透明性と防衛生産・技術基盤の強化の両立を図るため、契約の適正化のための措置や、チェック機能の強化のための措置を講じています。
まず、政府全体の取組である公共調達の適正化として、防衛省においても総合評価落札方式の導入拡大、入札手続の効率化を継続して実施しています。その上で、防衛関連企業の品質管理・コスト管理・納期管理等の活動を評価し、その結果を利益率に反映するなどの施策により、防衛事業の魅力化と装備品などの効果的・効率的な取得を同時に推進しています。またこの際、品質不正や過大請求事案などこれまでの不祥事を受けて導入・強化されてきた制度調査や違約金制度などにより、装備品調達の信頼性確保に取り組んでいます。
