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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

2 在外邦人等の保護措置及び輸送への対応

1 防衛省・自衛隊の取組

在外邦人等の保護措置又は輸送を迅速かつ適確に実施するため、自衛隊は、部隊を速やかに派遣する態勢をとっている。具体的には、陸自ではヘリコプター部隊と陸上輸送を担当する部隊の要員を、海自では輸送艦などの艦艇(搭載航空機を含む)を、空自では輸送機部隊と派遣要員をそれぞれ指定するなどの待機態勢を維持している。

防衛省・自衛隊は、2020年度までに、4件の在外邦人等の輸送を実施してきた。これに加え、2021年8月、在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等輸送のために自衛隊部隊を派遣した。具体的な経緯としては、アフガニスタン・イスラム共和国においてタリバンが首都カブールを制圧したことに伴い、邦人等を可及的速やかにアフガニスタン・イスラム共和国国外に輸送する必要が生じたことから、同月23日、防衛大臣は外務大臣臨時代理から在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等の輸送の依頼を受けた。これを受け、同日、防衛大臣はアフガニスタン・イスラム共和国からの邦人等の輸送活動を実施するための命令を発出し、空自航空支援集団司令官を指揮官とする「在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等輸送統合任務部隊」が編成され、C-2輸送機、C-130H輸送機及びB-777特別輸送機が現地に派遣された。結果として、アフガニスタン・イスラム共和国から周辺国内拠点まで邦人1名及び米国から依頼を受けたアフガニスタン人14名の輸送を実施した。この活動は、同月31日に外務大臣からの邦人等の輸送の終結依頼を受け、同日防衛大臣が終結のための命令を発出して終了した。

この活動の間、現地における情報収集・関係機関などとの調整のため、アフガニスタン・イスラム共和国に現地調整所を設置し、現場における調整に資するとともに、陸自中央即応連隊長を指揮官とする、空輸隊、誘導輸送隊などからなる在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等輸送派遣統合任務部隊を編成し、邦人等の輸送を実施した。なお、在外邦人等輸送を実施するにあたり、航空機に搭乗する邦人等の誘導を行うため誘導輸送隊が派遣されたのは今回が初となった。

カブール国際空港における誘導輸送隊の活動

カブール国際空港における誘導輸送隊の活動

参照資料18(在外邦人等の輸送実績)