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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

8 南スーダン情勢

1983年から続いたスーダンの第2次内戦は、2005年、スーダン南部の現政権の前身となるスーダン人民解放運動/戦線(SPLM/A(Sudan People's Liberation Movement/Army);後の政府軍)とスーダンのバシール政権との間の和平合意成立により終結した。2011年7月、同合意に基づく住民投票を経て南スーダン共和国はスーダン共和国から分離独立した。

しかし、独立以前から存在したSPLA内での対立は継続し、2020年の現暫定政府設立に至るまでに、キール大統領と、マシャール副大統領との政治的対立に起因する大規模な武力衝突が2度発生している。

1度目の衝突後に、和平合意にあたる「衝突解決合意」(ARCSS:Agreement on the Resolution of the Conflict in South Sudan)が調印され、2度目の衝突後にはARCSSの再活性化を図るため「再活性化された衝突解決合意」(R-ARCSS:Revitalized Agreement on the Resolution of the Conflict in South Sudan)が署名された。

当初、暫定政府の設立は2019年5月を予定していたが、2度の延期を経て、2020年2月に設立されており、統一軍の形成などその他合意事項の履行も遅延する傾向にある。2021年8月以降、マシャール第一副大統領の派閥が分裂して衝突が発生するなど、R-ARCSS合意事項が当初のタイムライン通り履行されるかどうかは不透明であり、今後の正式政府発足に向けた動向が注目される。

参照図表I-3-10-1(現在展開中の国連平和維持活動)
III部3章5節2項2(国連南スーダン共和国ミッション)

図表I-3-10-1 現在展開中の国連平和維持活動