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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

3 多国間における安全保障協力の推進

1 多国間安全保障枠組み・対話における取組

多国間の枠組みについては、拡大ASEAN国防相会議(ADMM(ASEAN Defence Ministers' Meeting)プラス)、ASEAN地域フォーラム15(ARF:ASEAN Regional Forum)をはじめとした取組が進展しており、アジア太平洋地域の安全保障分野にかかる議論や協力・交流の重要な基盤となっている。わが国としては、そうした枠組みなどを重視して域内諸国間の協力・信頼関係の強化に貢献するとともに、日ASEAN防衛当局次官級会合や東京ディフェンス・フォーラムを開催するなど、地域における多国間の協力強化に寄与している。

参照資料42(多国間安全保障対話の主要実績(インド太平洋地域・過去3年間))
資料43(防衛省主催による多国間安全保障対話)
資料44(その他の多国間安全保障対話など)

(1)拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)のもとでの取組

ASEAN諸国においては、域内における防衛当局間の閣僚会合であるASEAN国防相会議(ADMM)のほか、わが国を含めASEAN域外国8か国16を加えたADMMプラスが開催されている。

ADMMプラスは、ASEAN域外国を含むインド太平洋地域の国防大臣が出席する、政府主催の唯一の公式の会議であるため、地域の安全保障・防衛協力の発展・深化の促進という観点から、極めて大きな意義があり、防衛省・自衛隊も積極的に参加・支援している。なお、ADMMプラスは、閣僚会合のもとに、①高級事務レベル会合(ADSOM:ASEAN Defence Senior Officials' Meeting)プラス、②ADSOMプラスWG、③専門家会合(EWG:Experts' Working Group)が設置されている17

2020年12月、岸防衛大臣は、オンラインで開催されたADMMプラス創設10周年式典に出席し、プラス国を代表してスピーチを行った。スピーチでは、わが国が一貫してASEANの主導的な役割を尊重し、非伝統的安全保障課題に対するASEANの取組を積極的に支援してきたこと、また地域の安全保障上の課題を理性と対話により乗り越えるべきと提唱し続けてきた旨強調するとともに、今後も地域の安全保障協力に貢献していく決意を表明した。

ADMMプラス創設10周年式典においてスピーチする岸防衛大臣(2020年12月)

ADMMプラス創設10周年式典においてスピーチする
岸防衛大臣(2020年12月)

また、岸防衛大臣は、オンラインで開催された第7回ADMMプラスに出席し、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の形成に全力で取り組むわが国の決意を表明した。わが国としてもASEANの枠組みで感染症対策の協力体制の効果を高める努力が行われていることを評価し、感染症対策分野の防衛協力を推進していく意向を示すとともに、わが国のFOIPと2019年6月にASEANが発表した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP:ASEAN Outlook on the Indo-Pacific)は多くの本質的な共通点を有しており、AOIPを全面的に支持する旨を述べた。

さらに、南シナ海問題に言及し、わが国は、力を背景とした一方的な現状変更を試みる動きに強く反対し、法の支配に基づき南シナ海行動規範(COC:Code of Conduct in the South China Sea)が正当な権利や利益を侵害してはならないとの立場を表明するとともに、国際的な安全保障課題として、北朝鮮の「瀬取り」対策を含め、国連安保理決議の完全な履行の確保への協力が不可欠である旨強調した。

加えて、7つの分野18において実践的な協力を行うEWGでは、第4期19に日ベトナムが共同で就任するPKO専門家会合の議長として、2021年4月から本格的に始動させることを紹介し、地域に貢献する決意を表明した。

なお、ADMMプラスでは、「ADMMプラスの戦略的安全保障ビジョンに関する共同宣言」が採択された。

参照図表III-3-1-4(拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要)

図表III-3-1-4 拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要

(2)ASEAN地域フォーラム(ARF)

外交当局を中心に取り組んでいるARFについても、近年、災害救援活動、海洋安全保障、平和維持・平和構築といった非伝統的安全保障分野において、具体的な取組20が積極的に進められており、防衛省・自衛隊としても積極的に貢献している。

例えば、海洋安全保障分野においては、2009年以来、海洋安全保障に関する会期間会合(ISM on MS:Inter-Sessional Meeting on Maritime Security)が開催21されており、わが国の取りまとめにより、海洋安全保障分野の能力構築支援に関する「ベストプラクティス集」を作成した。

また、災害救援分野においては、同年以来、ARF災害救援実動演習(ARF-DiREx(Disaster Relief Exercise))が実施されており、防衛省・自衛隊からも、隊員や航空機などを派遣している。

(3)防衛省・自衛隊が主催している多国間安全保障対話

ア 日ASEAN防衛担当大臣会合及び「ビエンチャン・ビジョン2.0」

2013年12月の日ASEAN特別首脳会議における安倍内閣総理大臣の提案に基づき、2014年11月、バガン(ミャンマー)において、初の日ASEAN防衛担当大臣会合が開催された。HA/DRや海洋安全保障といった非伝統的安全保障分野における協力について意見交換を行った本会合は、50年近くに及ぶ日ASEAN友好・協力の歴史において、初めてわが国とASEAN諸国の防衛担当大臣が一堂に会した画期的な機会であり、今後の防衛協力強化に向けた重要な一歩となった。

2019年11月、河野防衛大臣は、第5回日ASEAN防衛担当大臣会合において、わが国独自のイニシアティブ「ビエンチャン・ビジョン」のアップデート版である「ビエンチャン・ビジョン2.0」を発表した。

同ビジョンは、ASEAN全体への防衛協力の方向性について、透明性をもって、重点分野の全体像を示したものであり、協力の目的・方向性・手段といった基本的な骨格は従来のものを踏襲しつつ、第一に「心と心の協力」、「きめ細やかで息の長い協力」、「対等で開かれた協力の日ASEAN防衛協力」にかかる実施3原則、第二に日本の取組とASEANの中心性・一体性との関係を明確化するものとしての「強靭性」の概念、第三にAOIPとわが国のFOIPとのシナジーを追求する視点という3点での新機軸を導入している。

そのうえで、岸防衛大臣は、2020年12月にオンライン形式で開催された第6回会合に出席し、「ビエンチャン・ビジョン2.0」における新事業として、「日ASEAN防衛当局サイバーセキュリティ能力構築支援事業」22を発表した。ASEAN側の大臣から歓迎の意が示されるとともに、今後もより実践的な日ASEAN防衛協力を推進することへの期待が示された。

HA/DR分野では、「HA/DRに関する日ASEAN招へいプログラム」を2018年から実施しており、2020年2月には、第3回招へいプログラムとして、ASEAN加盟国及びASEAN事務局から災害対応を担当する国防当局者を招へいし、大規模災害時のわが国の対応要領に関するセミナーに加え、机上訓練や防災訓練視察などを実施した。

また、国際法の分野でも、2018年11月にはASEAN全加盟国及びASEAN事務局を招へいし、「インド太平洋における地域協力と法の支配」と題した日ASEAN国際法シンポジウムを初めて開催した。

国際航空法や航空安全保障の分野でも、2019年7月にはASEAN全加盟国の空軍士官及びASEAN事務局員を招へいし、シンポジウムや部隊訪問を通じて、日ASEAN空軍種間での信頼醸成の促進及びインド太平洋地域における「法の支配」の貫徹に貢献し、もって地域の安定に寄与することを目指し、プロフェッショナル・エアマンシップ・プログラムを初めて開催した。

同年6月には、インド太平洋方面派遣訓練に従事中の護衛艦「いずも」艦上において、日ASEANシップライダー乗艦協力プログラムを実施し、ASEAN全加盟国及び同事務局から10名が参加した。同プログラムでは、参加者に対し、ブルネイ・ムアラ港からフィリピン・スービック港までの5日間の航海を体験させつつ、海洋国際法や海洋でのHA/DRなどに関するセミナー、机上演習を行い、海洋安全保障に関する知識向上に貢献した。

このように、ASEAN全加盟国の参加者と、国際法の認識共有や海洋安全保障、HA/DRなど様々な分野でのセミナーや研修などを通じた能力向上支援及び相互理解・人的ネットワーク構築の促進を図り、もってインド太平洋地域の安定に寄与している。

参照資料45(ビエンチャン・ビジョン2.0)

イ 日ASEAN防衛当局次官級会合

日ASEAN間の次官級の人脈構築を通じた二国間・多国間の関係強化を図るため、2009年以降、防衛省の主催により日ASEAN防衛当局次官級会合を開催している。

なお、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、中止となった。

ウ 東京ディフェンス・フォーラムなど

防衛省は、1996年から地域諸国の防衛政策担当幹部(国防省局長・将官級)を対象とする「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)」を開催し、各国の防衛政策や防衛分野での信頼醸成措置への取組について意見交換を行っている。

なお、2020年及び2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、中止となった。

(4)その他

ア 民間機関など主催の国際会議

安全保障分野においては、政府間の国際会議だけではなく、政府関係者、学者、ジャーナリストなどが参加する国際会議も民間機関などの主催により開催され、中長期的な安全保障上の課題の共有や意見交換などが行われている。

主な国際会議としては、IISS(The International Institute for Strategic Studies)(英国国際戦略研究所)が主催する「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)23」や「IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)24」、欧米における安全保障会議の中でも最も権威ある会議の一つである「ミュンヘン安全保障会議25」があり、防衛省から、これらの会議に、防衛大臣等が積極的に参加し、各国の国防大臣等との会談や本会合におけるスピーチを行うことで、各国ハイレベルとの信頼醸成・認識共有や、積極的なメッセージの発信を図っている。

2019年11月、河野防衛大臣は、第15回マナーマ対話に防衛大臣として初めて出席し、フランスの軍事大臣や、ヨルダン、バーレーン、イエメンの閣僚級等との二国間会談を行うとともに、本会合においてスピーチを行った。スピーチでは、わが国は、開かれ安定した海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の基礎であるとの考えのもと、中東の平和と安定に寄与し続けていること、中東の海洋安全保障に対する人的貢献や訓練への参加、防衛装備品協力、人的交流などを通して自衛隊と中東地域とのつながりがより緊密になってきている旨、また、航行の自由の原則と海洋における法の支配が重要である旨を述べ、わが国に関係する船舶の安全や、中東地域の平和と安定に向けて、情報収集態勢の強化を図るため、わが国独自の取組として自衛隊アセットの活用について説明を行った。

また、同年12月、河野防衛大臣は、カタール政府主催の第19回ドーハ・フォーラムに防衛大臣として初めて出席し、カタール及びマレーシアの国防大臣や、ヨルダンの統合参謀本部議長との二国間会談を行うとともに、本会合においてスピーチを行った。スピーチでは「多国間安全保障協力」をテーマに北朝鮮の核・ミサイル能力を含む軍事力の強化に懸念を示しつつ、国際社会において軍備管理・軍縮及び「法の支配」を貫徹する必要があること、「法の支配」に基づき、共同訓練、能力構築支援、防衛装備・技術協力などの手段を活用し、各国と共に、FOIPの推進を目指していること、また、わが国による多国間安全保障協力の一例として、「ビエンチャン・ビジョン2.0」を紹介し、引き続き、多国間安全保障協力を推進していくことを述べた。

2020年2月に開催された第56回ミュンヘン安全保障会議には、わが国から、河野防衛大臣と茂木外務大臣がそれぞれ出席し、河野防衛大臣は、会議に際し、ウクライナのザホロドニューク国防大臣との初めての防衛相会談を行ったほか、カナダ、フランス及びドイツの国防大臣や、EU上級代表、NATO事務総長との会談を行い、防衛協力・交流や地域情勢に関する意見交換を行った。

イ 各軍種間における取組

統幕長は、2020年8月、米インド太平洋軍及びフィジー共和国軍が共催するインド太平洋参謀長等会議(CHOD:Chiefs of Defense Conference)にオンライン形式で参加し、わが国及び諸外国の防衛政策や情勢認識に関する理解を促進するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響下における連携の重要性について認識を共有した。

また、同年11月、豪国防軍、警察及び国境警備隊共催の太平洋合同安全保障会議(JHoPS:Joint Heads of Pacific Security)にオンライン参加し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や自然災害への対応などについて、太平洋島嶼国を中心とした約25の国や地域の軍、警察などのトップと議論した。同会議を通じ、わが国及び諸外国の海洋安全保障や災害対処などに関し相互理解の促進を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の影響下においても地域の連携が重要であり、わが国としても積極的に協力していく旨発信した。

陸幕長は、同年5月、米太平洋陸軍司令官主催のテレビ会議「インド太平洋ランドパワー会議」に参加した。同会議には、北東及び東南アジア並びにオセアニアの計23か国から陸軍トップ級が参加し、FOIP実現のため、価値観を共有する各国が引き続き連携していくこと、また新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対応に関する教訓を共有していく必要性を確認した。

インド太平洋ランドパワー会議にオンライン参加する湯浅陸幕長(2020年5月)

インド太平洋ランドパワー会議にオンライン参加する
湯浅陸幕長(2020年5月)

海幕長は、同年9月及び12月、米海軍太平洋艦隊司令官が主催する多国間テレビ会議に参加した。同会議にはインド太平洋地域諸国十数か国の海軍種参謀長級が参加し、新型コロナウイルス感染症の環境下においても訓練を実施できる海軍種の強みを活かして、今後も防衛協力・交流を継続していくことで一致した。

米海軍太平洋艦隊司令官主催多国間テレビ会議にオンライン参加する山村海幕長(2020年12月)

米海軍太平洋艦隊司令官主催多国間テレビ会議にオンライン参加する
山村海幕長(2020年12月)

空幕長は、同年4月、米太平洋空軍司令官が主催する多国間テレビ会議に参加した。同会議にはインド太平洋地域の空軍参謀長などが参加し、新型コロナウイルス感染症への対応について教訓を共有するとともに、引き続き空軍種間で連携していくことで合意した。また、2021年2月には、インド空軍主催の空軍参謀長等会議にオンライン形式で参加し、「インド太平洋におけるエア・パワーの重要性」をテーマにしたスピーチを通じて、同地域における協力・連携の重要性について発信した。

インド空軍主催空軍参謀長等会議にオンライン参加する井筒空幕長(2021年2月)

インド空軍主催空軍参謀長等会議にオンライン参加する
井筒空幕長(2021年2月)

2 実践的な多国間安全保障協力の推進
(1)パシフィック・パートナーシップ

2007年から行われているパシフィック・パートナーシップ(PP:Pacific Partnership)は、米海軍を主体とする艦艇が域内各国を訪問して、医療活動、施設補修活動、文化交流などを行い、各国政府、軍、国際機関及びNGOとの協力を通じ、参加国の連携強化や国際平和協力活動の円滑化などを図る活動である。わが国は、同年以降、自衛隊の医療要員や部隊などを派遣している。

(2)多国間共同訓練

ア インド太平洋地域での多国間共同訓練の意義

防衛省・自衛隊は、インド太平洋地域において、従来から行われていた戦闘を想定した訓練に加え、HA/DR、非戦闘員退避活動(NEO:Non-combatant Evacuation Operation)などの非伝統的安全保障分野を取り入れた多国間共同訓練に積極的に参加している。こうした訓練への参加は、自衛隊の各種技量の向上に加え、関係国間との協力の基盤を作るうえで重要であり、今後とも積極的に取り組んでいくこととしている。

イ 多国間共同訓練への取組

近年、防衛分野における多国間関係は「信頼醸成」の段階から「具体的・実践的な協力関係の構築」の段階へと移行しており、これを実効的なものとするための重要な取組として、様々な多国間共同訓練・演習が活発に行われている。

自衛隊は、2005年から米タイ共催の多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」に継続的に参加しており、2020年に参加した「コブラ・ゴールド20」では、在外邦人等の保護措置に関する訓練を実施し、統合運用能力の向上を図った。

海自は、同年8月、ハワイ諸島周辺海空域において米海軍が主催する環太平洋合同演習「リムパック2020」に、2021年1月には、グアム島周辺海空域において、米海軍主催の固定翼哨戒機多国間共同訓練「シードラゴン2021」に参加したほか、同年2月には、アラビア海北部海空域において、パキスタン海軍主催多国間共同訓練「アマン21」に参加した。また、同年4月には、ベンガル湾において、日仏米豪印共同訓練「ラ・ペルーズ21」に参加した。

空自は、同年1月から2月にかけて、日米豪共同訓練等「コープ・ノース21」に参加した。

米海軍主催多国間共同訓練「リムパック2020」においてミサイル射撃訓練を行う護衛艦「あしがら」(2020年8月)

米海軍主催多国間共同訓練「リムパック2020」において
ミサイル射撃訓練を行う護衛艦「あしがら」(2020年8月)

固定翼哨戒機多国間共同訓練「シードラゴン2021」に参加する海自隊員(2021年1月)

固定翼哨戒機多国間共同訓練「シードラゴン2021」に参加する
海自隊員(2021年1月)

動画アイコンQRコード動画:令和2年度米国派遣訓練
URL:https://www.youtube.com/watch?v=bVEvB3bIDAo(別ウィンドウ)

参照資料46(多国間共同訓練の参加など(過去3年間))

15 ARFは、政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムで、1994年から開催されている。現在26か国(ASEAN10か国(ブルネイ、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジア(以上1995年から)、ミャンマー(1996年から))に、日本、オーストラリア、カナダ、中国、インド(以上1996年から)、ニュージーランド、PNG、韓国、ロシア、米国、モンゴル(以上1998年から)、北朝鮮(2000年から)、パキスタン(2004年から)、東ティモール(2005年から)、バングラデシュ(2006年から)、スリランカ(2007年から)を加えた26か国)と1機関(欧州連合(EU:European Union))がメンバー国となり、外務当局と防衛当局の双方の代表による各種政府間会合を開催し、地域情勢や安全保障分野について意見交換を行っている。

16 2010年10月に発足し、ASEAN域外国として、わが国のほか、米国、オーストラリア、韓国、インド、ニュージーランド、中国及びロシアが参加している。

17 EWGにおいて、わが国は積極的に貢献してきており、2019年には、1月、4月、9月、10月及び12月に対テロEWGに、3月、4月、7月及び10月にHA/DR EWGに、2月、5月及び9月に海洋安全保障EWGに、2月、3月及び10月に防衛医学EWGに、3月及び9月にPKO EWGに、3月、9月及び12月に地雷処理EWGに、5月及び8月にサイバーEWGに、それぞれ参加した。また2021年には、3月にサイバーEWG、海洋安全保障EWG及び防衛医学EWGに参加した。

18 対テロ、HA/DR、海洋安全保障、防衛医学、PKO、地雷処理、サイバーの7つの専門家会合を設置

19 第1期(2011年から2013年)、第2期(2014年から2016年)、第3期(2017年から2019年)、第4期(2021年から2024年)

20 毎年、外相級の閣僚会合のほかに、高級事務レベル会合(SOM:Senior Officials' Meeting)及び会期間会合(ISM:Inter-Sessional Meeting)が開かれるほか、信頼醸成措置及び予防外交に関する会期間支援グループ(ISG on CBM/PD:Inter-Sessional Support Group on Confidence Building Measures and Preventive Diplomacy)、ARF安全保障政策会議(ASPC:ARF Security Policy Conference)などが開催されている。また、2002年の閣僚会合以降、全体会合に先立って、ARF防衛当局者会合(DOD:Defense Officials' Dialogue)が開催されている。

21 わが国は2011年、インドネシア及びニュージーランドとともに第3回会期間会合を、2017年、フィリピン及び米国とともに第9回会期間会合を東京で共催した。

22 ASEAN各国のサイバーセキュリティ要員を対象として、自衛官が講師を務めるセミナーを開催し、サイバー空間で発生するインシデントにより適切に対応できるようになることをねらいとする。

23 諸外国の国防大臣クラスを集めて防衛問題や地域の防衛協力についての議論を行うことを目的として開催される多国間会議であり、民間研究機関である英国の国際戦略研究所の主催により始まった。2002年の第1回から毎年シンガポールで開催され、会場のホテル名からシャングリラ会合(Shangri-La Dialogue)と通称される。なお、2020年及び2021年は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、中止となった。

24 英国国際戦略研究所(IISS:The International Institute for Strategic Studies)が主催している中東諸国の外務・防衛当局など関係者を中心に安全保障に関して意見交換を行う国際会議であり、毎年、バーレーンのマナーマで開催されている。

25 欧米における安全保障会議の中で最も権威ある民間機関主催の国際会議の一つであり、1962年から毎年(例年2月)開催されている。欧州主要国の閣僚をはじめ、世界各国の首脳や閣僚、国会議員、国際機関主要幹部が例年参加している。