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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

2 能力発揮のための取組

防衛大綱は、日米共同の活動にあたり、日米がその能力を十分に発揮するため、装備、技術、施設、情報協力・情報保全などに関し、協力を強化・拡大することとしている。

1 防衛装備・技術協力

わが国は、日米安保条約や「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく相互協力の原則を踏まえ、技術基盤・産業基盤の維持に留意しつつ、米国との装備・技術面での協力を積極的に進めることとしている。

わが国は、日米の技術協力体制の進展と技術水準の向上といった状況を踏まえ、米国に対しては武器輸出三原則などによらず武器技術を供与することとし、1983年、「対米武器技術供与取極(とりきめ)」1を締結、2006年には、これに代わる「対米武器・武器技術供与取極」2を締結した。こうした枠組みのもと、弾道ミサイル防衛共同技術研究に関連する武器技術など20件の武器・武器技術の対米供与を決定している。また、日米両国は、日米装備・技術定期協議(S&TF:Systems and Technology Forum)などで協議を行い、合意された具体的なプロジェクトについて共同研究開発などを行っている。

さらに、2016年6月の日米防衛相会談において、両閣僚の間で、「相互の防衛調達に関する覚書(RDP MOU:Reciprocal Defense Procurement Memorandum of Understanding)」3が署名された。これは、日米の防衛当局による装備品の調達に関して、相互主義に基づく措置(相手国企業への応札に必要な情報の提供、提出した企業情報の保全、相手国企業に対する参入規制の免除など)を促進するものである。

なお、日米共通装備品(F-35戦闘機及びオスプレイ)の生産・維持整備については、IV部2章5節2項(米国との防衛装備・技術協力関係の深化)のとおりである。

参照資料20(日米共同研究・開発プロジェクト)
IV部2章5節2項(米国との防衛装備・技術協力関係の深化)

2 共同使用

施設・区域の共同使用の拡大は、演習場、港湾、飛行場など自衛隊の拠点の増加も意味し、日米共同の活動における、より緊密な運用調整、相互運用性の拡大、柔軟性や抗たん性の向上が可能となる。特に沖縄における自衛隊施設は、空自那覇基地などに限られており、その大半が都市部にあるため、運用面での制約がある。沖縄の在日米軍施設・区域の共同使用は、沖縄に所在する自衛隊の訓練環境を大きく改善するとともに、共同訓練・演習の実施や自衛隊と米軍間の相互運用性の拡大を促進するものである。また、即応性を向上させ、災害時における県民の安全の確保に資することが可能となる。

このため、南西諸島を含め、地域における自衛隊の防衛態勢や地元との関係に留意しつつ、日米間で精力的に協議を行っているほか、具体的な取組も進展している。例えば、2008年3月から陸自がキャンプ・ハンセンを訓練のために使用している。また、2012年4月の航空総隊司令部の横田移転や2013年3月の陸自中央即応集団司令部(当時)の座間移転なども行った。また、グアム及び北マリアナ諸島連邦(テニアン島及びパガン島)に、自衛隊及び米軍が共同使用する訓練場を整備することとしている。

1 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文

2 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器及び武器技術の供与に関する交換公文

3 正式名称:相互の防衛調達に関するアメリカ合衆国国防省と日本国防衛省との間の覚書(Memorandum of Understanding between the Department of Defense of the United States of America and the Ministry of Defense of Japan concerning Reciprocal Defense Procurement)