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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

6 イスラエル

イスラエルは、ガザ地区におけるパレスチナ武装勢力との衝突やイランに対する攻撃において、無人航空機やAIなどを活用している。また、周辺国や組織による無人航空機やミサイルを使用した攻撃に対しては、複数のシステムを用いた多層的な防空体制に加え、米国などのシステムによる支援も受けながら対応している。さらに、イスラエルは、2026年4月、防空システム「アロー」の生産を加速する旨発表するなど、備蓄拡大に取り組んでいる。

イスラエル軍は、従来から、偵察、攻撃および国境警備などにおいて無人航空機を活用している。例えば、2025年6月の対イラン攻撃に際して、事前にイラン国内に無人航空機の基地を設置し、密輸した無人航空機などにより、イランのミサイルシステムなどを破壊したとされる。また、ガザ地区のパレスチナ武装勢力や、ヒズボラ、ホーシー派およびイランからの多種多様な無人航空機に対応する必要から、イスラエルは、2023年10月以降、スタートアップ企業による技術開発を促進している。ガザ地区での衝突においてイスラエル軍が使用したとされる対無人航空機システムの50%は、スタートアップ企業の開発によるものと指摘されており、さらなる開発動向も注目される。

また、イスラエルは2023年に発生したパレスチナ武装勢力との衝突において、攻撃目標の選定やハマスによる不審な動きの追跡を、AIを用いることで効果的に実施している。例えば、「ゴスペル」と呼ばれるAIシステムは、携帯電話のメッセージ、衛星画像、無人航空機による映像などの膨大な情報を集積し、攻撃目標を特定するうえでの意思決定を支援するものである。従来、イスラエル軍は、年間50件の標的を手作業で特定していたのに対し、「ゴスペル」は1日100件特定することができるようになったと指摘されている。こうしたAIが生成した情報をもとに、人間の分析官が確認し、承認された標的が各軍に伝達される仕組みとなっているものとみられる。

加えて、2025年12月、防空能力においても、AIを統合した、脅威の迅速な探知と迎撃判断を可能にする防空用レーザー兵器「アイアン・ビーム」がイスラエル軍の部隊に引き渡された。

さらに、イスラエル軍は、2026年2月以降のイランに対する攻撃において、無人航空機と戦闘機が共同作戦を展開し、イランのミサイル発射基地を攻撃するなど、有人航空機、無人航空機、AIなどを組み合わせて活用し、作戦を実施したとみられる。