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第IV部 共通基盤などの強化

8 その他の取組

1 自衛隊機・米軍機に対するレーザー照射や凧揚げによる妨害事案への対応

飛行中の自衛隊機・米軍機に対するレーザー照射や凧揚げによる妨害事案が発生している。これらは、パイロットの操縦への障害につながり、墜落などの大惨事をもたらしかねない大変危険で悪質な行為である。そのため関係する地方公共団体の協力を得て、ポスターの掲示などにより、地域住民にこのような行為の危険性などについて周知するとともに、警察への通報について協力を依頼している。また、2016年12月に航空法施行規則が改正され、このような行為が規制対象とされるとともに、罰金などが科せられることとなった。

2 防衛施設の上空及びその周辺における小型無人機などの飛行への対応

近年、民生用を含むドローンを用いたテロ事案やテロ未遂事案が各国で発生しており、それらの中には軍事施設を対象としたものも含まれている。わが国においても自衛隊の施設や在日米軍の施設・区域に対するドローンを用いたテロ攻撃が発生する可能性があるが、これらの施設に対する危険が生じれば、わが国を防衛するための基盤としての機能に重大な支障をきたしかねない。このため、2019年6月13日、改正小型無人機等飛行禁止法が施行され、防衛大臣が指定する自衛隊の施設や在日米軍の施設・区域の上空及びその周辺における小型無人機などの飛行が禁止されることとなった。2023年3月末現在、主要部隊司令部などが所在する260の自衛隊の施設及び45の在日米軍施設・区域が対象施設に指定されている。

動画アイコンQRコード資料:小型無人機等飛行禁止法に基づき対象防衛関係施設として指定された施設一覧
自衛隊の施設一覧:https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/list.html

3 重要土地等調査法に関する対応

防衛省は、2013年12月に策定された前安保戦略において、安全保障の観点から防衛施設周辺における土地利用等のあり方について検討することとされたことを踏まえ、2013年度から防衛施設に隣接する土地所有の状況について、計画的に把握するための調査を行っている。

2020年7月、「経済財政運営と改革の基本方針2020について」(いわゆる「骨太の方針2020」)(令和2年7月17日閣議決定)において、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等のあり方について検討し、所要の措置を講ずる」ことが決定された。この閣議決定を受け、内閣官房に「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」が設置され、同会議の提言を踏まえた「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(いわゆる「重要土地等調査法」)」が、2021年6月23日に公布され、2022年9月20日に全面施行された。

2022年9月、「重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針」が閣議決定され、同年12月には初回の区域指定が公示された。一部の防衛関係施設の周囲は注視区域や特別注視区域に指定されている。

本法は、国防上の基盤である防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点からも大きな意義があり、防衛省としては、内閣府と連携のうえ、適切に対応していくこととしている。