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第IV部 共通基盤などの強化

3 人材の有効活用に向けた施策など

1 人材の有効活用

自衛隊の人的構成は、これまで全体の定数が削減されてきた一方、装備品の高度化、任務の多様化・国際化などへの対応のため、より一層熟練した者、専門性を有する者が必要となっている。

このような状況を踏まえ、知識・技能・経験などを豊富に備えた高齢人材の一層の活用を図るため、2020年以降、自衛官の若年定年年齢を1歳引き上げた。整備計画に基づき、2023年に1尉から1曹まで、2024年以降に1佐から3佐及び2曹から3曹までの定年を、それぞれ1歳ずつ引上げを行うこととしている。また、2023年に定年退職自衛官の再任用(定年から65歳に達する日以前)をさらに推進すべく、艦船乗組の一部、航空機操縦業務の一部を再任用自衛官が従事できる業務とした。

さらに、無人化・省人化などを推進するため、AIの活用促進などにかかるアドバイザー業務の外部委託など、AI活用に関する支援態勢を構築するとともに、部外委託講習により部内人材の育成を図るなど、AI活用にかかる環境整備を行っている。

加えて、一部艦艇では、複数クルーで交替勤務するクルー制を導入し、限られた人員による稼働率の確保に取り組んでいる。

参照図表IV-2-1-4(自衛官の階級と定年年齢)

図表IV-2-1-4 自衛官の階級と定年年齢

2 防衛省職員の自殺防止への取組

防衛省職員の自殺者数は、2022年度は79人であった。依然として、職員の尊い命が自殺により失われていることは、御家族にとって大変痛ましいことであり、また、組織にとっても多大な損失である。

参照図表IV-2-1-5(防衛省職員の自殺者数の推移)

図表IV-2-1-5 防衛省職員の自殺者数の推移

2022年度には、職員の自殺事故防止の観点から、「防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針」を策定し、各種施策を推進している。

具体的には、全職員を対象としたメンタルヘルスチェック、カウンセリングの利用啓発などの職員の意識改革、ワークライフバランスに関する施策などを推進することによる職場環境の整備、上司とカウンセラーとの連携や相談先の多様化といったサポート体制の強化などに取り組んでいる。