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第IV部 共通基盤などの強化

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第2章 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化など

第1節 人的基盤の強化

防衛力の中核は自衛隊員である。全ての隊員が高い士気と誇りを持ち、個々の能力を発揮できる環境を整備すべく、人的基盤の強化を進めていく。

また、自衛隊員の人材確保が厳しくなる中、これまで以上に、民間の労働市場の動向や働き方に対する意識の変化といった社会全体の動きを踏まえて検討を進める必要があることから、2023年2月、防衛大臣のもとに部外の有識者からなる「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」を設置し議論を進めている。2023年3月31日現在、2回開催している。

防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会

防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会

1 採用の取組強化

1 募集

防衛省・自衛隊が各種任務を適切に遂行するためには、少子化による募集対象者人口の減少という厳しい採用環境の中にあっても、優秀な人材を安定的に確保しなければならない。このため、募集対象者などに対して、自衛隊の任務や役割、職務の内容などを丁寧に説明し、確固とした入隊意思を持つ人材を募る必要がある。

全国に50か所ある自衛隊地方協力本部では、地方公共団体、学校、募集相談員などの協力を得ながら、きめ細やかに、かつ、粘り強く自衛官等の募集・採用を行っている。なお、地方公共団体は、募集期間などの告示や広報宣伝などを含め、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行うこととされており、防衛省はこれに要する経費を負担している。また、募集に関する事務の円滑な遂行のために必要な募集対象者情報の提出を含め、所要の協力が得られるよう地方公共団体などとの連携を強化している。

地方協力本部における募集活動(合同企業説明会)

地方協力本部における募集活動(合同企業説明会)

また、2022年度から一般曹候補生及び自衛官候補生の採用試験の一部をオンライン化するなど、受験者の負担軽減に努めている。

動画アイコンQRコード動画:令和4年度自衛官採用CM
URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/movie.html

2 採用
(1)自衛官

自衛官は、個人の自由意志に基づく志願制度のもと、様々な区分に応じて採用される。一般曹候補生及び自衛官候補生の採用上限年齢は、民間企業での勤務経験を有する者など、より幅広い層から多様な人材を確保するため、2018年に「27歳未満」から「33歳未満」に引き上げた。

また、整備計画に基づき、有為な人材の早期確保を図るため、貸費学生制度1の拡充を行うこととしている。

さらに、民間の人材を活用するという点では、公募幹部として専門的技術に関する国家資格・免許などを保有する者を採用する取組や、中途退職した元自衛官の採用数の拡大など中途採用の強化に取り組んでいる。加えて、整備計画に基づき、サイバー領域などで活躍が見込まれる専門的な知識・技能を保有する人材を取り込むため、柔軟な働き方を可能とする自衛官の新たな人事制度の整備を検討している。

参照図表IV-2-1-1(募集対象人口の推移)、図表IV-2-1-2(自衛官の任用制度の概要)

図表IV-2-1-1 募集対象人口の推移

図表IV-2-1-2 自衛官の任用制度の概要

自衛官は、自衛隊の精強性を保つため、階級ごとに職務に必要とされる知識、経験、体力などを考慮し、大半が50歳代半ばで退職する「若年定年制」や2、3年を1任期として任用する「任期制」など、一般の公務員とは異なる人事管理2を行っている。

参照資料65(自衛官の定員及び現員並びに自衛官の定数と現員数の推移(過去10年間))資料66(自衛官などの応募及び採用状況)

(2)事務官、技官、教官など

防衛省・自衛隊には、自衛官のほか、約2万1,000人の事務官、技官、教官などが隊員3として勤務している。防衛省では、主に、人事院が行う国家公務員採用総合職試験及び国家公務員採用一般職試験、防衛省が行う防衛省専門職員採用試験の合格者から採用している。

事務官は、本省及び防衛装備庁の内部部局などでの防衛全般に関する各種政策の企画・立案、情報本部での分析・評価、全国各地の部隊や地方防衛局などでの行政事務に従事している。

技官は、本省及び防衛装備庁の内部部局などでの防衛施設(司令部庁舎、滑走路、火薬庫など)及び防衛装備品などの物的基盤に関する各種政策の企画・立案、情報本部での分析・評価、全国各地の部隊や地方防衛局などで、各種の防衛施設の建設工事、様々な装備品の研究開発・効率的な調達・維持・整備、隊員のメンタルヘルスケアなどに従事している。

教官は、防衛大学校、防衛医科大学校や防衛研究所などで、防衛に関する高度な研究や隊員に対する質の高い教育を行っている。

「令和5年度内閣の重要課題を推進するための体制整備及び人件費予算の配分の方針」(令和4年7月29日内閣総理大臣決定)において、「外交・安全保障や経済安保の強化」と記載されたことを踏まえ、増員などに取り組んだところである。

参照資料67(防衛省の職員等の内訳)

1 理学・工学等の学術分野における人材を確保する観点から、将来自衛隊で勤務する意思のある大学生等に対し、毎月一定額(月額54,000円)の学資金を貸与する制度

2 国家公務員法第2条に定められた特別職の国家公務員として位置づけ

3 防衛省の職員のうち、特別職の国家公務員を「自衛隊員」といい、自衛隊員には、自衛官のほか、事務官、技官、教官などが含まれる。