防衛省・自衛隊は、外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動などに積極的に取り組んでいる。
防衛省・自衛隊が本来任務1として行う国際平和協力活動には、国連平和維持活動(国連PKO)への協力をはじめとする国際平和協力業務、海外の大規模な災害に対応する国際緊急援助活動、国際平和共同対処事態に際しての協力支援活動などがある。
参照II部6章(自衛隊の行動などに関する枠組み)、1章8節(平和安全法制施行後の自衛隊の活動状況など)、図表III-3-3-1(自衛隊による国際平和協力活動)、資料15(自衛隊の主な行動の要件(国会承認含む)と武器使用権限等について)、資料60(国際平和協力活動関連法の概要比較)、資料61(自衛隊が行った国際平和協力活動など)
自衛隊が国際平和協力活動に積極的に取り組むためには、引き続き、平素から各種体制の整備を進めることが重要である。このため、陸海空自がともに、派遣待機部隊などを指定し、常続的に待機態勢を維持している。また、国連本部が各国のPKO派遣にかかる準備状況を具体的に把握するための平和維持活動即応能力登録制度(PCRS:Peacekeeping Capability Readiness System)に施設部隊や司令部要員などのほか、C-2及びC-130H輸送機を登録している。
また、自衛隊は、国際平和協力活動などにおいて人員・部隊の安全を確保しつつ任務を遂行するために必要な、派遣先での情報収集能力や防護能力の強化を進めている。さらに、多様な環境や任務の長期化に対応するため、輸送展開能力や情報通信能力の向上、円滑かつ継続的な活動のための補給や衛生の体制整備にも取り組んでいる。
国際平和協力活動への従事にあたり必要な教育については、陸上総隊隷下の国際活動教育隊において、派遣前の陸自要員の育成、訓練支援などを行っている。また、統合幕僚学校の国際平和協力センターでは、国際平和協力活動などに関する基礎的な講習を行うとともに、国連PKOなどにおける派遣国部隊指揮官や、派遣ミッション司令部幕僚要員を養成するための専門的な教育を、国連標準の教材や外国人講師も活用して行っている。
さらに、平成26(2014)年度からは外国軍人や関係省庁職員に対する教育も行っている。これは、多様化・複雑化する現在の国際平和協力活動の実態を踏まえ、関係省庁や諸外国などとの連携・協力の必要性を重視したものであり、教育面での連携の充実を図ることで、より効果的な国際平和協力活動に資することを目指している。
防衛省・自衛隊では、任務に従事する隊員や留守家族の不安を軽減するよう、各種家族支援施策、派遣部隊に対するメンタルヘルス施策を実施している。派遣部隊の隊員に対しては、①ストレス軽減に必要な知識を与えるための派遣前教育、②派遣前・派遣中・派遣後などの各段階に応じたメンタルヘルスチェック、③メンタルヘルス要員などによる派遣中の隊員の不安や悩みなどの相談へのカウンセリング、④派遣中の隊員に対する専門的知識を有する医官を中心としたメンタルヘルス診療支援チームの本邦からの派遣、⑤帰国に際してのストレス軽減のための帰国前教育、⑥帰国後の臨時健康診断など、派遣部隊の特性に応じて必要な施策を実施している。