Contents

第III部 防衛目標を実現するための3つのアプローチ

4 施設の強靱化

防衛力の持続性・強靱性の基盤となる自衛隊施設の十分な機能を確保することは重要である。自衛隊施設の約4割は旧耐震基準時代に建設されているため、平素においては自衛隊員の安全を確保し、有事においても容易に作戦能力を喪失しない施設へ変容させる必要がある。

また、継続的な部隊運用に必要な各種弾薬の取得に連動し、火薬庫を整備する必要があるほか、自衛隊の運用にかかる基盤などの分散や、被害を受けた際の復旧及び代替などにより、多層的に強靱性を向上させるための各種取組を行うこととしている。

1 火薬庫の整備

スタンド・オフ・ミサイルをはじめとした各種弾薬の取得に連動して、必要な火薬庫を整備することとしており、火薬庫の確保にあたっては、陸海空自衛隊の効率的な協同運用、米軍の火薬庫の共同使用、弾薬の抗たん性の確保の観点から島嶼部への分散配置を追求、促進することとしている。

2 自衛隊施設の抗たん性の向上

主要な装備品、司令部などを防護し、粘り強く戦う態勢を確保するため、主要司令部などについては、地下化・構造強化、及び電力線などにフィルターを設置するなどの電磁パルス(EMP:Electro Magnetic Pulse)攻撃対策などを実施し、戦闘機を分散配置するための分散パッド、アラート格納庫のえん体化、電気や水道などのライフラインの機能を維持するための多重化などを実施することとしている。あわせて、省人化を図りつつ、基地警備機能を強化することとしている。

参照図表III-1-6-3(施設の抗たん性向上策(イメージ))

図表III-1-6-3 施設の抗たん性向上策(イメージ)

3 部隊新編や新規装備品導入に必要となる施設の整備

現整備計画期間中においても、引き続き、部隊新編や新規装備品導入に必要となる施設の整備を行うこととしている。具体的には、陸自における佐賀駐屯地(仮称)新設にかかる施設整備や海自の佐世保(崎辺東地区(仮称))の施設整備、空自におけるF-35(A・B)受入施設整備などを行うこととしている。

4 施設の構造強化、再配置・集約化など

既存施設の更新に際しては、爆発物、核・生物・化学兵器、電磁波、ゲリラ攻撃などに対する防護性能を付与するものとし、施設の機能・重要度に応じ、構造強化や離隔距離確保のための再配置、集約化などを老朽化対策と合わせて実施することで、施設の機能が十分に発揮できるようにする。

5 災害対処拠点となる駐屯地・基地などの機能維持・強化

大規模災害時などにおける自衛隊施設の被災による機能低下を防ぐため、被害が想定される駐屯地・基地において、津波などの災害対策を推進することとし、具体的には、受変電設備の高所化や出入り口の止水板の設置などを実施することとしている。今後、気候変動に伴う各種課題へ適応・対応し、的確に任務・役割を果たしていけるよう、駐屯地・基地の施設及びインフラの強靱化などを進めることとしている。