Contents

第II部 わが国の安全保障・防衛政策

防衛白書トップ > 第II部 わが国の安全保障・防衛政策 > 第2章 国家安全保障戦略 > 1 策定の趣旨

第2章 国家安全保障戦略

本章では国家安全保障戦略(安保戦略)の見直しの経緯や策定の趣旨、その内容について記載する。なお、策定の経緯については、第II部第1章第3節(わが国の安全保障政策の体系)を参照。

1 策定の趣旨

安保戦略では、「策定の趣旨」において、本戦略が目指すものや問題意識について次のように示している。

パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、国際秩序は重大な挑戦に晒されている。同時に、気候変動など地球規模課題等での協力も必要である。国際関係において対立と協力の様相が複雑に絡み合う時代となっている。

わが国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。また、わが国周辺では軍備増強が急速に進展しており、力による一方的な現状変更の圧力が強まっている。

サイバー攻撃、偽情報拡散などが平素から生起しており、有事と平時の境目はますます曖昧になっている。更に、安全保障の対象は、経済などにまで拡大し、軍事と非軍事の分野の境目も曖昧になっている。

こうした中、対立と協力が複雑に絡み合う国際関係全体を俯瞰し、外交力・防衛力・経済力を含む、総合的な国力を最大限に活用し、国益を守る。安保戦略は国家安全保障の最上位の政策文書である。

安保戦略に基づく戦略的な指針と施策は、戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換するものである。

参照図表II-2-1(国家安全保障戦略及び国家防衛戦略の構成)

図表II-2-1 国家安全保障戦略及び国家防衛戦略の構成