自衛隊幹部候補生学校特集 目指せ!幹部自衛官

未来の幹部自衛官となる幹部候補生を養成する自衛隊幹部候補生学校。幹部候補生になるとこの自衛隊幹部候補生学校に入り、約1年間学ぶことになります。ここでは陸海空各幹部候補生学校を紹介するとともに、各地の地本から届いた現役幹部候補生の声をお届けします。

幹部自衛官を目指す自衛隊幹部候補生とは

自衛隊幹部候補生は、募集種目の中でも最初から幹部自衛官となる者を養成する制度です。幹部候補生の採用には「一般幹部候補生」「歯科幹部候補生」「薬剤科幹部候補生」と、3つのコースがあります。大学の文系および理工系から進む通常の幹部候補生コースが「一般幹部候補生」。(防衛大学校を卒業後に進むこともできます。)ここには、陸上自衛隊の音楽要員及び海上・航空自衛隊の飛行要員も含まれます。次に大学の歯学科から進むコースとして、自衛隊の衛生分野(病院勤務等)で活躍する歯科医官となる「歯科幹部候補生」。さらに大学の薬学科から進むコースとして、自衛隊の衛生分野(病院勤務等)で活躍する薬剤官となる「薬剤科幹部候補生」があります。これら以外に特定の要件を満たした者や部内選抜試験に合格した現役自衛官も幹部候補生になることができます。

幹部候補生が入校する幹部候補生学校

幹部候補生はそれぞれ採用された陸海空の各自衛隊ごとの幹部候補生学校に入ります。ここは幹部自衛官となるために必ず入校する全国唯一の学校で、約1年間にわたり幹部自衛官としての資質を養うとともに、初級幹部として職務を遂行するのに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行っています。 各自衛隊別の幹部候補生学校の概要については、下のリンクからムービーをご覧ください。

幹部候補生学校紹介

幹部候補生学校は陸海空の各自衛隊ごとに各地に設置されており、陸上は福岡県久留米市、海上は広島県江田島市、航空は奈良県奈良市にあります。それぞれの各幹部候補生学校についてさらにご紹介しましょう。

陸上自衛隊幹部候補生学校

陸上自衛隊幹部候補生学校は、九州の博多から鹿児島本線の電車で40分ほど、福岡県南部の久留米市にある前川原駐屯地内にあります。ここは昭和16年に設立された陸軍予備士官学校の跡地で、昭和27年1月に警察予備隊総隊普通科学校として開設され、昭和29年より幹部候補生学校として発足。その後恒久駐屯地化が決定され現在に至っています。
学校の校風として「質実剛健にして清廉高潔」を掲げ、卒業後の部隊における「幹部としてのあるべき姿」を目指した修練の指標とした幹部としての「資質」を養うとともに、初級幹部として必要な基礎的「知識・技能」を修得しています。

ここで学ぶ教育科目は、戦闘戦技訓練で戦闘行動及び部隊の指揮法に関する教育、戦術で部隊指揮の考え方等に関する戦術教育を受け、防衛基礎学として自衛隊の装備等に関する基礎理論、戦史や作戦戦闘史に関する教育の他、隊員指導の基本的事項や防衛に関する法規及び国際法、英語等の防衛教養があります。

また卒業までの1年の間にはさまざまな幹部候補生学校の伝統行事があり、毎年高良山登山走、藤山武装障害走、韓国研修、知覧研修などに参加します。

陸上自衛隊 幹部候補生学校サイト

陸上自衛隊 幹部候補生学校サイト

コラム

陸上自衛隊幹部候補生学校名物「 剛健 ごうけん ちゃんぽん」

幹部候補生学校には「剛健メニュー」と呼ばれるいくつかの料理があり、その一つが「剛健ちゃんぽん」です。平成14年に毎週水曜日が「ちゃんぽんの日」に設定されたことで始まり、調理スタッフが専門店に食べに行ったり、他部隊の情報、本等により材料、調理方法等を研究を重ね、「名物ちゃんぽん」と言えるような確信の持てるちゃんぽんを提供できるようになったそうです。現在は月に2回の基準で食べることができます。職員・候補生はもちろん、学校見学に訪れた方にも大好評の幹部候補生学校名物料理「剛健ちゃんぽん」です。

海上自衛隊幹部候補生学校

海上自衛隊幹部候補生学校のある江田島は風光明媚な広島湾に位置し、旧海軍士官の登竜門であった海軍兵学校のあった場所として、また周囲は美しい景観に恵まれ、白砂青松の地としても知られております。 現在は海上自衛隊幹部候補生学校となっている旧海軍兵学校は、明治21年に東京の築地から江田島へ移転された海軍将校養成の基地で、それ自体が歴史的建築物であり観光スポットにもなっています。本校のシンボルでもある庁舎(通称:「赤レンガ」)は、海軍兵学校の建物をそのまま使用しています。最近では映画などの効果もあり、年間で約10万人近い観光客が訪れており、呉の「大和ミュージアム」「海上自衛隊呉史料館(鉄のくじら館)」などと合わせて注目が集まっています。

ここでの教育は、幹部自衛官として必要な知的、精神的及び身体的な基盤を確立することと卒業後、部隊で勤務するにあたり必要な基礎的な知識・技能を理解させること、さらには、部下指導のためのリーダーシップ教育に重点が置かれています。訓練科目には、防火、防水、乗艦実習、遠泳、野外戦闘訓練、幕営などがあります。

また海上自衛隊には旧海軍以来継承されているよき伝統が数多くあり、その精神は幹部候補生学校でも培われています。

  • 五省
  • スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り
  • 5分前の精神
  • 3S精神
  • 出船の精神
海上自衛隊 幹部候補生学校サイト

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コラム

江田島にもある「赤レンガ」

幹部候補生学校庁舎である通称「赤レンガ」は1893年に竣工した歴史的建造物です。設計は日本の鉄道の基礎を造った外国人技師のイギリス人ジョン・ダイアックによるものです。赤レンガといえば横浜が有名ですが、ダイアックはわが国最初の鉄道である新橋-横浜間の測量に従事した他、酒造メーカーの醸造所の設計するなどの功績を残し日本で亡くなりました。彼の墓は赤レンガのある横浜の外人墓地に準鉄道記念物の碑とともにあります。1階は自習室、2階は寝室及び講堂として使用されていましたが、現在は庁舎、教務のための講堂及び候補生の自習室として使用されています。

航空自衛隊幹部候補生学校

航空自衛隊幹部候補生学校は、奈良市内北部、平城宮跡北東の宇和奈辺(うわなべ)、小奈辺(こなべ)の両古墳に接する古代から天平への歴史を伝える多くの史跡に囲まれた環境にあります。
入隊・入校式は、例年4月初旬に行われ、幹部候補生としての生活が始まります。入校から2ヶ月は自衛隊生活に慣れつつ、体力測定や部隊研修などにより基本動作の習得や基礎体力の向上を目指します。
6月に入ると自衛官としての基礎知識・技能の習得と体力の本格的な錬成に入ります。30キロの徒歩行進では、単なる体力向上ではなく、分隊長(10名の部下を率いる指揮官)としての動作を修得することが求められます。航空自衛隊といえども、海における保命法の基礎となる水泳能力及び精神力の向上のために1週間の遠泳訓練等を行い、地上戦闘訓練で基本的な戦闘要領を身に付けたり、小銃射撃訓練で小銃及び弾薬の取扱い等を習熟し、その成果を確認することで射撃管理要領を修得します。また実地に戦闘航空団を研修し、基地の機能等について学びます。
後期に入ると、沖縄や硫黄島での現地訓練を受けながら、座学の集大成として、実際の「航空作戦」を想定し、各種対応について研究・討論します。後期は前期より長い60キロの徒歩行進があり、肉体的、精神的困難を克服し、様々な「課題」に対応しつつ状況判断等の指揮活動を訓練します。
こうした1年を経て、2月には各人の職種が決定し、幹部候補生学校で培った知識・技能と共にそして同期の絆を胸に航空自衛隊の部隊へ羽ばたきます。

航空自衛隊 幹部候補生学校サイト

航空自衛隊 幹部候補生学校サイト

コラム

幹部候補生学校にもいるキャラクター

地本に限らず、自衛隊にはさまざまなキャラクターがいますが、航空自衛隊幹部候補生学校にもいます。それが奈良基地・幹部候補生学校のイメージキャラクター「ナキちゃん」です。
始まりは広報担当者の思いつきで、以下のような会話が。
「ゆるキャラ人気だねぇ……」
「奈良基地のゆるキャラなんかできないかな?」
「絵心ある隊員いないかなぁ?」
……で、発見しました。絵心のある隊員。そして出来上がったのが…

ナキちゃんが生まれた理由はいかに。さらに後ろにいる緑の2人もれっきとしたキャラクー。この2人が生まれたわけもあったりするのですが、詳細は下記からご覧ください。

さあ、あなたも地本の人に会ってみませんか?