「江田島」は、我が国のすべての海軍士官(海上自衛隊を含む。)にとって、かけがえのない場所です。
1888年、海軍兵学校は東京築地からこの「江田島」に移転しました。後に英国のダートマス、米国のアナポリスとともに世界三大海軍兵学校として並び称せられることになる海軍士官養成のための学校は、ここに新たな歴史を刻み始めました。
以来、一万を超える海軍士官がここを巣立ち、それぞれ国防の任に就きましたが、国家発展に伴う幾多の戦争によってその多くが道半ばで斃れ、護国の英霊となりました。
1945年、我が国は大東亜戦争に敗れ、海軍は消滅しましたが、「江田島」の意義、精神はその後もこの地に残ることとなりました。戦後の占領軍による接収・管理が終了した後、この「江田島」の同じ場所に、海軍の後継者たる海上自衛隊の学校が設置されたからです。
我々は、「江田島」という言葉を耳にしたとき、その張りつめた空気や美しい景色、苦楽に彩られた様々な経験を想起し、望郷にも似た独特の感情を持ちます。
それは、海軍精神に根ざした、幹部自衛官としての素養を身に付けるための修練が、いかに厳しく、いかに充実したものであるかの証左であるとともに、厳然とした有形無形の海軍の伝統が「江田島」に息づいているからにほかなりません
。
すべての幹部海上自衛官の原点である「江田島」は、海軍の伝統、精神を受け継ぐ聖地であるとともに、次代を担う若者を育む、未来への出発点なのです。